Archive for the ‘鑑定評価の話’ Category
土地の一部が他人の土地建物の鑑定評価
先日、京都市で市営住宅の一部の土地が50年間私有地であったとの記事を見ました。但し、この私有地は売買契約の不備で、登記移転手続きをしていなかったことが理由です。
土地の一部が他人の土地建物を鑑定評価する場合、その一部の土地について賃貸借契約等の土地使用権があれば土地及び借地権付建物の鑑定評価、使用借権であれば土地及び使用借権付建物の鑑定評価、不法占有等の無権利者であれば土地価格から建物の取り壊し費用を控除した価格が鑑定評価額になると考えられます。
但し、土地使用借権は個別性が強く、案件に応じて鑑定評価の方針を決定し評価することになると思います。
自治体の消防車両の公売
最近、自治体が設備更新に伴い不要となった自動車等を競売サイトで売却するケースが増えています。このような公有財産の売却は、競売ではなく公売という方が適切かもしれません。
先日、竜ケ崎市が消防車両5台を売却し、売却金額が327万円になったとの記事を見ました。ちなみに、消防指揮車として使われていたランドクルーザーは予定価格80万円に対して156万円で売れたそうです。
不動産の競売はもちろん、公売の場合でも、最低落札価格(開始価格)は不動産鑑定士が鑑定評価を行いますが、不動産以外のものは予定価格をどのようにつけているのでしょうか?ひょっとしたら中古車販売サイトなどを参考に決めているかもしれませんね。
隣地の建物と鑑定評価
既に建物が建っている市街地では、隣地が空き地であることもありますが、通常は何等かの建物が建っているものです。用途地域が住居系の住宅地域の場合、建蔽率や容積率、建物の高さの制限などがありますから隣地の建物の存在で著しく日照や通風が害されるケースは少ないと思います。
以前、北垂れの北側の土地建物を買った方から、空き地だった南側に家が建ってしまい1階の室内が真っ暗になってしまった、との話を聞いたことがありますが、隣地が空き地の不動産を買う場合は注意が必要です。
商業系地域の場合、隣地に高層の建物が建つ場合があり、日照や通風が阻害されるケースがよくあります。今まだ享受していた眺望も得られなくなし、私も日照権阻害影響を反映した鑑定評価書を書いたことがあります。
隣地に建物が建つ、また特に商業系用途地域の場合は居住権の方が尊重されるケースは少なく、裁判で隣地の建物の建築制限が認められた話は聞いたことがありませんが、実際はどうなのでしょうか。
最近、このような隣地建物による日照・通風阻害を訴える記事を見ますが、今後、居住者の訴えを認める判決がでるか興味深く見守りたいと思います。
1階が飲食店舗マンションの鑑定評価
駅の近くや路線沿いの商業地域に建つマンションは、低層階が店舗や事務所になっている建物が多いです。賃貸マンションの場合、店舗や住居より家賃が高いことから収益性は上がることになります。
分譲マンションの場合、低層階が特に飲食店舗の場合、臭いや虫の発生に悩まされることがあります。1階が仕出し屋さんのマンションを買った方が、換気扇から入ってくる臭いに困った、との話を聞いたことがあります。また、虫やネズミが上層階の住居に上がってくるとの話もあります。
このような1階が飲食店舗マンションの鑑定評価をする場合、特に減価は行いませんが、臭いや許容の限度を超えていると判断した場合、環境要因で減価することになると思います。
1階が飲食店舗のマンション、鑑定評価の際には臭いの外にもお店のお客さんの騒音など調査する必要があると思います。
地上構造物の鑑定評価額への影響
日本は電気や電話線などを引くため、地上に電柱を設置しています。メンテナンスがしやすい反面、景観を損ねるとの声を聴くこともあります。
ネットで、福知山市が福知山城に向かう景観をよくするため、道路の電柱を地中化、との記事を見ました。古い街並みが残っている地域などでは、景観に与える影響は大きと思います。
以前、富士宮市で携帯電話の鉄塔を建てたとき、地元や地権者の方から反対が多く設置に難航した記憶があります。毎日、身近で富士山を見て生活している人にとっては、鉄塔の存在が富士山の美観を損ねるとの思いがあるようです。その時は鉄塔の色を、極力目立たないよう茶色に塗ったりし、地元の方の承諾を得て建設しました。
このような鉄塔などの地上構造物の存在が鑑定評価額に与える影響ですが、観光地など、景観を売りにしている地域では減価要因になると思います。但し、その減価も鉄塔などの存在により、俗にいうインスタ映えに悪影響がある場合は大きくなりますが、展望台などからの風景の一部で、その鉄塔などの存在がわかる程度であれば、減価の発生はないと考えられます。
上杉謙信の愛刀と鑑定評価
岡山県瀬戸内市の博物館が、上杉謙信の愛刀を個人から5億円で購入しました。今月の10日から公開されているそうです。ちなみにこの愛刀は国宝で、偽物の疑いはないと考えられます。
今回の刀は国宝でしたが、国宝、重要文化財等国が認めた美術品ではない場合の鑑定評価はどうなるのでしょうか?美術品は不動産とは違い、偽物や贋作を作ることが可能ですし、製作年や製作者の特定を間違える可能性もあると思います。
日本の不動産鑑定士、将来、不動産以外の鑑定評価も可能となる話もありますが、やはり餅は餅屋、私は美術品の鑑定評価をするのは難しいと感じました。
旗竿地の鑑定評価
旗竿地とは、間口に対して奥行が長い土地などを分割する場合などで、手前側の画地の側方を通路や駐車場、その奥の土地を建物敷地とするL字型の土地を言います。
建物の建築には建築基準法で2m道路に接する必要があり、旗竿地の間口は2m以上であることが通常ですが、建築基準法が施工される前の古い土地で尺貫法の時代の土地などでは間口2m未満のものも見られます。
このような間口が2m未満の土地ですが、私も鑑定評価で何度か遭遇したことがあります。再建築ができない場合、土地の減価は大きく、価格は安くなることになります。また、鑑定評価の対象となった土地の隣地が間口狭小の旗竿地だったこともあります(その隣地は、間口要件を満たすために境界杭を移動させて越境していました。)。このような悪意のケースはまれですが、旗竿地は間口が2mあるかないかで土地の価格が大きく変わってくるので、所有者も悪いことを考えるのだと思います。
通常の間口2m以上の旗竿地の鑑定評価額は、間口と路地上部分の長さが重要となります。間口が広ければ駐車が可能だったり日照・通風にも有利ですから。このような旗竿地は当然、当然価格は割安になります。日照・通風等に目をつむるのなら道路から奥まっている分静かですから、静かな土地が好きな人にはお買い得に感じるかもしれません。
鉄道施設の鑑定評価
以前、岐阜市及び近郊を走る名鉄市電が廃止された際、その線路敷跡の鑑定評価をしたことがあります。但し、その際は現況線路用地ではないので、通常の宅地として評価を行いました。
先日、鉄道会社の駅舎ビルや線路用地の競売にからむ裁判があったことを知りました。原告の不動産会社が、交渉過程で得た情報を悪用されたと落札した鉄道会社を訴えたものでした。
ちなみに鉄道会社が落札した価格は2億5503万円、競売に負けた不動産会社の価格は落札価格を少し下回る金額だったと思います。
鉄道会社も駅舎ビルや線路敷の適正な価格がわからなかったのでしょうか。上記の交渉過程で悪用された主な情報は、おそらく不動産会社が出した査定価格だったと思います。。
現況線路敷の鑑定評価は、私も遭遇したことはありませんが、もし依頼された場合は、過去の取引事例などから価格を出すことになると思います。とても難しい鑑定評価になることが予想されます。
不動産の鑑定評価と駐車場の有無
私の住んでいる愛知県は、自動車産業の盛んな地域であり、車普及率の高い県でもあります。なので新築の戸建住宅は、駐車2台可能な物件が一般的なイメージがありました。
最近、マンション価格や土地価格の上昇により、俗に狭小戸建住宅の需要が増えてきました。このような狭小戸建住宅は敷地規模が狭く、駐車場が1台、中には駐車場がない物件も見られるようになりました。名古屋市内の場合、地下鉄やJR,名鉄沿線の最寄駅から徒歩圏であれば、車を持たない世帯も増えているそうです。また、空き駐車場も増えており、車が必要になった場合でも、以前のように貸駐車場を探す苦労がなくなったことも理由かと思います。
先日、ネットで大都市圏以外の地方で家を購入する際重視する点の記事を見ました。結果は、駐車場付き(60.4%)、日当たりのよさ(53.3%)、治安の良さ(46.5%)、部屋の数(45.9%)となりました。やはり地方は車で移動する機会が多いためか、駐車場の有無を気にする人が多いようです。あと、部屋数については、テレワークで在宅する機会が増えたためでしょうか?大都市圏と同じ風潮となっています。
最後に、鑑定評価を行う場合、駐車場の有無の価格への影響ですが、駐車スペースの有無が直接価格形成要因になることはなく、敷地が狭小であることや、需要が劣ることなどを理由に市場性で減価することになります。
不動産鑑定評価とAIによる価格査定
最近、AIによる価格査定が増えているようです。以前コラムで書いた骨とう品や貴金属はもちろん、車もナンバープレートと走行距離で相場金額がわかるそうです。但し、車の傷や汚れなどの状態は実車をみて判断することになるため最終的な金額は決まることになります。
不動産の価格の場合、価格形成要因のうち駅距離や道路幅員、用途地域(建蔽率や容積率)など、具体的な数字がわかる要因については、AIによる査定も可能だと思います。但し、地域の品等や隣接地の状態など数値化できないものに関しては、現時点ではAI査定は難しいと思います。
不動産の存する地域が異なる場合、駅距離や道路幅員、容積率など数字上同じであったも、偶然の一致を除いてその不動産の価格は同じになることはほとんどなく、通常価格差は発生することになります。
但し、AIが発展し、品等などの地域性や土地及び建物の詳細な個別性を判断できるようになった場合、不動産の鑑定評価の仕事も不動産鑑定士からAIに取って代わられることになると思います。
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