Archive for the ‘特殊な不動産’ Category

自治体の不動産の売却が難しい理由

2026-09-18

財政難から自治体が所有する不動産の売却を進めていますが、先日、静岡市にある静岡県男女共同参画センター「あざれあ」が売却される見込み、との記事を見ました。静岡駅から徒歩約10分に立地しており、1993年にオープン、地上8階、地下1階の比較的規模の大きな施設になります。

自治体が保有するホール・貸会議室施設は、一般的なオフィスビル等と比べ、民間事業者への売却が難しい傾向があります。静岡県男女共同参画センター「あざれあ」は、その典型例です。

「あざれあ」のような施設は、ホールや会議室、研修室など、公共サービスを提供するための特殊な設備・構成となっています。そのため、民間事業者が購入しても、オフィスや住宅、ホテル、商業施設などへ容易に転用できず、公共施設としての価値と民間不動産としての市場価値が一致しにくいという課題があります。

また、ホールや舞台・音響設備、大規模な共用部分などは、公共施設としては必要であっても、民間事業者にとっては改修費や維持管理費などの負担となる可能性があります。

さらに、売却によってホールや貸会議室、相談・情報提供などの公共サービスを失うため、売却後の代替施設や既存利用者への対応も必要となります。

加えて、自治体が想定する売却価格に対し、民間事業者は購入費だけでなく、改修費、設備更新費、維持管理費、用途変更費、将来の建替え・解体費などを含めて投資採算を判断します。そのため、自治体が考える不動産価値より、民間事業者が評価する投資価値が低くなる可能性があります。

したがって、こうした施設の売却では、単純な土地・建物価格だけでなく、①公共目的、②特殊な施設構成、③大規模な共用部分、④維持管理費、⑤民間転用の難しさ、⑥公共サービスの代替を総合的に考える必要があります。

公共施設としては価値が高くても、その機能や規模が民間事業者の収益性につながるとは限らないことが、売却を難しくする最大の要因であるとかんがえられます。

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タワーマンションの眺望権

2026-09-09

「眺望」という言葉を辞書で調べると、「遠くを見わたすこと。また、見わたしたながめ。見晴らし。」とありました。人が山や展望台に上るのは、眺望を楽しむことが目的であることが多いです。

眺望は都市部でも楽しむことは可能で、夜景などの風景を楽しむことができるタワーマンションは上層階にいくほど価格がなるのが一般的です。

中でも最上階はペントハウスと呼ばれ、風景を楽しむことが購入動機の大きな要素と考えますが、そのペントハウスの室内から景色を楽しめないことを理由に裁判になった、との記事を見ました。

判決は眺望価値を認めず。請求棄却となりました。但し、この判決には「物件に眺望の価値が織り込まれていたとは認められない」とあり、裁判所は眺望権の存在価値を認めていないわけではないとも解釈できます。

今回のケースは、景色が楽しめないことを考慮した価格であり、購入価格は妥当であると裁判所が判断したと考えられます。

但し、マンションのパンフレットには、室内から周りの景観が楽しめる写真が掲載されていたとのことなので、今後の裁判の行方が注目されます。

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不動産の無償譲渡

2026-08-31

ショッピングモールやネット通販の普及により苦戦が続く地方の百貨店の閉店が続いています。先日、来年、閉店する百貨店の土地建物を所在する自治体に無償譲渡の申し入れ、との記事を見ました。

自治体への無償譲渡といえば、2項道路に接する土地所有者が敷地の一部を道路用地として寄付することがありますが、百貨店の土地建物を無償譲渡するケースは珍しいと思います。

自治体としても、利用目的がないものを受け入れることは難しく、受け入れた場合の維持管理や将来的な修繕費用の発生、固定資産税等が入らなくなるなど問題は多いです。

特に大規模な百貨店の場合、区分所有であったり地権者が多数いたりすることが多く、権利調整に手間と時間がかかります(今回のケースは単独所有かもしれませんが)。

政令指定都市であっても駅前百貨店の跡地利用が進まない昨今、閉店した地方百貨店の再生、再利用は難しく、今回のケースも受け入れを断念する可能性が高いと思われます。

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旗竿地のお話

2026-08-28

奥まった土地を利用する場合、前面道路に出入りするための敷地利用権を確保する必要がありますが、その通路部分と宅地部分の形状が旗竿と旗に似ていることから、このような土地を旗竿地と呼ぶことがあります。袋地と呼んだり、敷延、延敷と呼ぶ地域もあるそうです。

宅地に家を建てる場合、道路に2m以上接する必要があることから、分譲地の場合は2m以上の間口が確保されているはずですが、建築機基準法が施行される以前の古い土地の場合、昔の尺貫法の名残で間口が1.8mしかない土地も時々見られます。

このような土地は再建築が難しく、土地の価格は著しく安くなるのですが、横の土地を買ったり賃貸借などで土地の利用権を確保することで再建築を行うことは可能となります。

但し、2mですと普通車の駐車や出し入れが難しいので、分譲地の場合、通路部分は2.5m以上は確保されていることが殆どです。

先日、十分な通路幅を確保したい隣地所有者から土地の一部を使いたいとの要望に対し地役権設定をした、との記事を見ました。口約束で土地を使わせると、地代の支払いが滞ったり、後で時効所得などを主張される危険性もあるため地役権の登記は一番確実な方法だと思います。

私も以前、仕事である土地を調べた際、対象地の隣地が旗竿地で越境していました。確定測量の際、越境が判明したのですが、隣地所有者は間口が1.8mでは車が停めれない、と言って最後まで境界確定に抵抗されていました。

このように相続などで取得した土地を調べて初めてわかるケースもあり、土地を沢山お持ちの方などは一度、ご自身の土地を調べてみるのも大切だと思いました。

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廃業ホテルの鑑定評価

2026-08-10

ホテルを鑑定評価する場合、費用性、再調達原価に着目して価格を求める原価法、収益性に着目して価格を求める収益還元法を適用して鑑定評価額を決定することになります。

先日、京都にある廃業したホテルを京都府が49億円で購入との記事を見ました。稼働中のホテルであれば収益価格を重視して価格を決定することになりますが、廃業したホテルの鑑定評価の場合、鑑定評価額の決定の際悩むと思います。

廃業の理由が経営状態の悪化などで将来的に収益性の回復が見込めない場合は積算価格重視になると思いますし、今回のコロナ禍などの一時的な要因で立地や設備などから十分な収益確保可能な場合は収益価格重視になるのかと思います。

但し、廃業ホテルの場合、現行の損益計算書などの入手が不可のため、過去の財務諸表、営業を再開した場合に予想される損益などから収益価格を試算することになるため説得力は劣ることになります。

今回のホテルの価格49億円が積算価格なのか収益価格なのか気になるところですが、京都御所のすぐそばという立地のよさに加えて敷地内に約1600㎡の日本庭園があり、映画のロケ地にもなったという知名度もあり、私は高くはないと思います。

さらに今回は共済組合運営のホテルを京都府が買収したとのこと、第三者取引であれば立地のよさからさらに高額の取引になったと思われます。

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幅2mの戸建住宅

2026-07-25

狭小戸建住宅、狭い敷地を有効に利用して効率的に生活できるように工夫されたものが多いです。

先日、イギリスに幅2mの家、という記事を見ました。延べ面積は約50㎡、家族向けとしてはやや狭い印象ですが寝室は2部屋、DK、シャワールームもあり快適な生活が可能な造りをなっているそうです。

但しスペースの関係から収納スペースの確保は難しいそうです。

最近、主流になっている狭小戸建住宅ですが、既成市街地には古くから存在しており、昔、よく見られた長屋も狭小宅地に含まれるのでは、と思います。

既成市街地にある3階建の狭小戸建住宅に2世帯で住む人の話では、3階の子供部屋は2段ベッド、階段を書斎代わりにしているとのことでした。

日本のみならず海外でも増えつつある狭小戸建住宅、工夫次第で快適に生活することは十分可能なようです。

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リノベーションされた建物

2026-07-16

以前、高層マンションの耐震偽装が問題となったとき、倒壊を恐れ周辺の賃貸マンションに引っ越した該当マンションの居住者もいたそうです。

知り合いの建築士に聞いた話では、想定外の地震が起きたりした場合を除き、耐震偽装されたマンションが倒壊することはまずなく、旧耐震のマンションの方がよほど危険、と言っていました。

先日、アメリカニューヨークの高層マンションが崩壊の危険性、との記事を見ました。建物の築年、階層などは書いてありませんでしたが鉄骨造の建物とのことです。

オフィスビルからレジデンスへの用途転換を行っており、工事により建物の重量が増し、鉄骨梁がたわみ始めたことが原因のようです。

私も以前、店舗を一般住宅にリノベーションした際、室内の壁を取り払った結果、強度が不足した建物鑑定評価をしたことがあります。通常の居住に問題はありませんが、地震などが起きた際には上層階の重みに耐えられず、1階部分が崩壊する危険性はあります。

建築費の高騰によりリノベーション住宅が増えていますが、建築業者に耐震性が確保されているか確認することも必要だと思います。

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観光ホテルの価格

2026-07-03

ホテルのようなホテルアセットの場合、DCF法による価格を重視して価格を決定することが多いのですが、都心のビジネスホテルや人気のある観光地にあるホテルのような収益性の高いものでない場合、十分な収益性の確保が難しく、価格も低めになることが多いと考えられます。

私も以前、岐阜市にあるホテルの価格を付けたことがありますが、市中心部からも距離があり、また、周辺にこれといった観光地もない地域にあり、ホテルがあることが不思議に感じたました。確か建物が古く、修繕費等を考慮したら価格がほとんどつかなかった記憶があります。

先日、新潟県にある一棟ホテルが売りに出たとの記事を見ました。客室は40、土地約3500㎡、延べ面積約4800㎡、駐車場は40台ありとのことです。記事では特に大規模な修繕は必要ではないとのことです。

気になる価格ですが総額9500万円、さらに仲介手数料、固定資産税は年間約520万円、さらに修繕・管理費などがかります。

地方の観光地で苦戦しているところが多い中、今回の新潟県のホテルの売買が成立するか、その場合の成約価格がいくらになるかは興味深いところです。

ひょっとしたら湯快リゾートのようなホテル経営にノウハウがある企業が興味を示すかもしれません。

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マンガ図書館の価格

2026-06-26

古い建物付きの不動産の場合、その建物が使用できるか否かで価格が大きく違ってきます。そのまま現状利用できれば理想的ですが、古い建物ですと中々そうはいきません。簡易な修繕で済めばよいのですが、水回りの交換や雨漏り、耐震補強などが必要となると取り壊して再建築するケースが多いです。

但し、地方の場合は土地の価格が低いので、場合によっては解体・処分費が土地価格を上回ってしまい、不動産価格がマイナスになる可能性すらあります。

先日、山形県にあるマンガ専門図書館だった一等ビルが売りに出された、との記事を見ました。気になる価格は190万円、以前はかなりの利用者があったようで、古いマンガ本も残された価格になります。

記事を見ると建物はかなり老朽化しており、現状での利用は困難なようです。大規模な修繕、場合によっては取り壊しになるこの不動産ですが、買い手は建物を延命させてマンガ図書館として再開するのか、又はマンガ本のみを目的とするマニアが想定されるところです。

昨今の建築の高騰により再建築もままならない状況の中、この不動産に買い手が現れるのか、現れた場合の売買価格はいくらになるか、とても興味深いです。

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狭隘道路に面した土地の価格

2026-05-22

幅が極端に狭い道路を狭隘道路と呼ぶことがありますが、一般的には普通自動車が通れない3m未満の道を指すことが多いようです。

日本では従来、尺貫法を用いたこともあり、地方の集落には今も1間(約1.82m)や1.5間(約2.73m)の道路を見ることができます。

1.5間あれば何とか普通自動車が通れるかと思いますが、1.5間ですと軽自動車がやっと通れる幅になると思います。特に1.5間の道路についた土地は市場性に劣り、実際の取引価格も安くなる傾向があります。

私も以前、市街化調整区域内の既存宅地を鑑定評価しましたが、1.5間道路に面していました。周辺では宅地としての利用をあきらめ、農地に転用した土地もあったそうです。農地にすると固定資産税が安くなります。

先日、4トントラックが入らない土地について書かれた記事を見ました。この土地は周辺相場より300万円安かったそうです。

4トントラックが入れないと、まず、古家があると解体に苦労しますし、新たに建物も通常の建築費では建てられないことになってしまいます。

旧来の集落、特に狭隘協議のない自治体ですと、将来的なセットバックによる道路拡幅の可能性も低く、マイカーも軽自動車に限られるなど制約が多いです。

但し、駅から近い土地で車を持たない、車移動中心ではない世帯であれば割安に土地が購入できるのはメリットだと思います。

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