Archive for the ‘鑑定評価の話’ Category
容積率の緩和のお話
容積率とは、敷地面積に対する建築延べ面積(延べ床)の割合のことをいい、建蔽率とともに建築可能な建物の規模を規定するものとなります。この容積率は、不動産の鑑定評価で土地の価格を求める際、大きな決定要因となります。
最近、容積率緩和の話を目にすることがおおくなりました。名古屋市ですと名駅や栄地区などで高級ホテル等を誘致するため、京都では大規模マンション建設のため、また、最近多発している水害対策の施設整備を目的とするために容積率を緩和する、又は緩和の検討中とのことです。
容積率は、道路等の公共施設の能力に対応した機能の維持と増進を図ることを目的としており、既に既存の容積率を前提に建物建築を行った事業者との公平性を図るためにも、安易な容積率の緩和は認められるべきではないと思います。
都市の活性化も重要だと思いますが、美しい街並みを守るためにも容積率の緩和は慎重な検討の上行って欲しいと思います。
瑕疵物件の鑑定評価額
不動産の瑕疵物件(自殺、殺人事件、孤独死等があった不動産)の鑑定評価を行う場合があります。このような忌み物件は、通常、市場性が落ちることから減価することになりますが、減価額が問題となります。
一般的に、人の死があった物件が該当することになりますが、その程度、残忍な殺人事件があれば通常買い手はつかず、建物は取り壊し、土地も相当に減価が生ずることになります。最近増えている孤独死ですが、遺体の損傷が激しいなどの事情がなければ減価なし、又は故人の生活の面影を完全に消す程度のリフォーム代+αの減価になると考えられます。
私も過去、瑕疵物件に遭遇したことがありますが、あるマンションで事故死と自殺、親子で二人死亡した不動産がありました。売買目的でしたが、後で聞いたところ、買い手があったそうです。価格は事故物件にしては若干高めに感じました。
このような事故物件の鑑定評価、心理的に辛く、故人のご冥福を祈りながら評価しています。
不動産鑑定評価の積算価格
不動産の鑑定評価を行う際もとめる不動産の価格には、主に、積算価格(原価法:不動産の再調達原価より価格を求める方法)、比準価格(取引事例比較法:不動産の市場性に着目して価格を求める方法)、収益価格(収益還元法:不動産の収益性に着目して価格を求める方法)があります。
その中でも積算価格は、不動産の再調達原価、すなわち費用性に着目して価格を求める方法であり、対象不動産が土地建物である場合、必ず試算する重要な手法になります。
昨日、投資判断に基準で積算価格も重視してみえる投資家の方について書きました。この方は、土地は路線価から求め、総額から先に求めた土地価格を控除して建物価格を求めていると思います。但し、都心の商業地などでは路線価が地価の上昇に追い付いていない、また、地方などでは路線価が地価の下落に追い付いていない場合があり、必ずしも路線価が実勢価格を反映していないことに注意は必要だと感じました。
このような配分法(総額から土地又は建物の価格を控除して価格を求める方法)は、私も利回りを求める場合などで多用していますが、土地価格は周辺取引事例価格、建物価格は構造、経過年数などから妥当であるかの検証を加えています。
路線価は一般的に、実勢価格の8掛けと言われており、相場価格を調べる際にはとても便利なものですが、投資物件など高額な取引の場合、求められた価格を慎重に判断することが必要だと思います。
お寺の鑑定評価額
先日、ネットでお寺を買う富裕層が増えている、との記事を見ました。お寺は全国に約7万4千件程、その内住職のいない空き寺は1万~2万件だそうです。かなりの数ですが、人口減及び檀家の高齢化などでお寺の経営も楽ではないようです。
そのお寺を買うにあたっての価格ですが、お寺を鑑定評価する場合、宗教施設として継続使用するのか、他の用途(簡易宿泊所や合宿所など)に利用するかで価格の種類が違ってきます。前者の場合は特殊価格(一般的に「市場性を有しない」不動産の経済価値を表す価格)、後者の場合には通常の市場価値を有する価格、正常価格を求めることになります。今回のようなビジネス目的の売買の場合は、正常価格として鑑定評価額を決定することになると思います。
お寺の鑑定評価は私も遭遇したことはありませんが、以前、境内地(お寺の境内の土地の一部)を鑑定評価したことはあります。そこはとても大きなお寺の一部で、本堂などの修繕を行う大工さんなどの宿舎として使われていた土地でした。また、知り合いの不動産鑑定士さんは、実際のお城を鑑定評価したそうです。
お寺を利用したビジネスモデル、まだ普及していませんが今後増えていくかもしれません。
不動産の価格は駅距離と道路
不動産の鑑定評価は、主に不動産(土地・建物)の価格を決めることですが、その価格は価格を形成する要因(主に地域要因と個別的要因)によって決まることになります。
私は、その中でも駅距離と道路幅員が重要だと考えています。もちろん、駅の規模や路線(名古屋だと地下鉄沿線が好まれます。)も重要ですが、地下鉄駅から徒歩圏で6m超程度の幅員の道路に接する土地は、極端に安くなることはない(需要がある)傾向にあります。
先日、スーモのアンケートを見ましたら、今回のコロナ禍でテレワークが増えた影響か、「広さ」と「駅距離」のどちらを重視するかの問いに対して、広さ派が52%、駅距離派が30%という結果になったそうです。ちなみに、一戸建て派が63%、集合住宅(マンション)派が22%、こちらも広さ重視の結果となりました。
私は、今回の結果は一時的なものであると考えていますが、もし、この傾向がスタンダードになるようであれば、不動産の鑑定評価を粉う際、価格決定において重視すべき要因も変えなければならなくなると思いました。
レトロな古民家郵便局の鑑定評価額
古民家の鑑定評価、まだ遭遇したことはありませんが、難しい評価になると思います。難しいのは土地より建物、文化的価値のない普通の古民家であれば建物価値はゼロになると思いますが、維持管理がされており、住居として使用可能であれば、建物にある程度の価値を見て、必要とされる修繕費を控除すること建物価格を求める場合も考えられます。
先日、鹿児島県枕崎市の旧郵便局の建物(事務所付住居)が土地付きで100万円で売りに出されたとの記事を見ました。明治37年に建てられたレトロな建物で、1980年代後半まで人が居住していたそうです。ちなみに建物は当時としてはモダンな洋風の造りで、文化的価値があるとのことです。
このような不動産を鑑定評価する場合、土地の価格に加えて建物の価値をどの程度見るかが問題となりますが、記事によると老朽化が激しく、修繕費に少なくても300万円~400万円掛かるとのこと。私がこの不動産を鑑定評価するとしたら、建物価値はゼロ円、文化的価値を考慮して取り壊し費用を考慮しない、という評価方針になると思います。
取壊し最有効の鑑定評価
不動産鑑定士は、土地及び建物(自用の建物及びその敷地、貸家及びその敷地等)の鑑定評価を行う場合があります。土地上の建物の老朽化が激しかったり、建物と敷地との適応、環境との適合を著しく欠いていると判断した場合、その建物を取り壊すことを前提に鑑定評価を行います。そのような評価を「取り壊し最有効」といいますが、最近は建物の解体費用、特にRC造の建物のコンクリート屑の処分費が高く、取り壊し費用が高額になる傾向にあります。
取り壊し費用が高額なら、そのまま現状で使っては?との声もありますが、古い建物は効率が悪く、修繕・維持費も高額となります。また、敷地との適応性や環境との適合性を欠いた建物の場合、十分な収益を生むことができず、結果として不動産の価値を下げることになります。
先日、ネット記事に滋賀県の廃墟マンションの解体費が1億1800万円と出ていました。3階建ての建物、写真で規模をみると妥当な金額と思われます。また、別に記事では100戸の分譲マンションの解体費が少なく見積もって3億円と出ていました。先程の滋賀県のマンションの規模と比較すると、やはり低めの見積額だと思います。
建物の解体費及び処分費は、今後も上がっていくと考えられますが、コンクリート屑を上手く分別して2次砕石として活用するなどの工夫が必要になってくると思います。
境界のわからない土地の鑑定評価
土地の鑑定評価を行う場合、まず、依頼者から頂いた書類などをもとに対象不動産の確定を行います。そのために、実際に現地に行って境界杭などの調査を行いますが、市街地の場合、擁壁などの下に埋まっていることが多く境界杭を確認できることは多くはないです。
以前、かなり広い中学校の敷地を鑑定評価した際、校庭など学校敷地以外の道路なども含まれていることが分かり、その際は境界について条件をつけて鑑定評価を行いました。また、係争中であったため、公図に地番ごとの境界線がひかれておらず、他の方法で対象不動産を確定したこともありました。
先日、有名芸能人の自宅が越境しており、越境部分にある擁壁を取り壊すことになったとの記事を見ました。1筆だった土地を分筆し、その芸能人と隣地所有者が購入、越境し擁壁設置、建物建築に至ったようです。
土地を分筆する場合、土地家屋調査士の方が測量後、関係者の立ち合いものと境界杭を設置し、建物を設計する建築士もその際作成された地積測量図をもとに図面を引くのが普通なので、通常、今回のような越境はあり得ないのですが。
今回のケース、弁護士同士の話し合いになっているようですが、責任の所在はどこのあるのでしょうか?興味深いところです。
高級住宅街は高台の理由
一般的に、高級住宅街は高台というイメージがあるかと思います。大手ハウスメーカーなど街並みがでるコマーシャルでも、高台から街並みが見下ろせたり、なだらかな坂になったロケーションが多いと思います。このような住宅地は人気があり、鑑定評価額も高くなります。
高台の住宅地域が好まれるのは、眺望・景観に優れるのはもちろん、人間が高い所に住みたいという本能なのかもしれません。私の住んでいる名古屋市でも、名古屋市中央部から東に向かって登りの丘陵地になっており、地下鉄東山線沿線に優良な住宅地域が多いのも、利便性はもちろん地勢がよいことも理由だと思われます。
また、名古屋市内で大きな河川は新川庄内川、矢田川くらいですが、東京や大阪は河川が多く、河川の氾濫等による災害リスクが少ないことから高台が好まれたようです。
最近続く自然災害の影響で、この傾向はますます強くなったと感じます。
欠陥マンションの鑑定評価額
耐震性の不足や雨漏りなど、欠陥マンションの問題が増えています。販売会社が大手のディベロッパーであれば、建て替えなどで問題を解決するケースもありますが、中小の不動産会社であれば修繕で済ます、又は裁判で責任を否定するケースもあります。
滋賀県で、耐震性や雨漏りによる瑕疵が発生したマンションが裁判になっているケースがあります。販売会社が施工を請け負った企業を訴えたケースだそうです。
この欠陥マンションの価格ですが、最上階で3800万円だったものが、資産価値50万円まで下落したそうです。減価額はどのように査定したのでしょうか?
区分マンションを鑑定評価する場合、いくつかの手法を使いますが、減価額は、原状回復費用に加えて市場性の減価を加算して求めることになると思います。今回の査定額50万円ですが、買い手が現れてたらこれくらいの価格では?との推定値のような気がします。
欠陥のある住宅は売るのも難しくなるので、購入は慎重に行う必要があると思います。
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