Archive for the ‘鑑定評価の話’ Category

不動産鑑定評価を行う際の条件

2023-07-19

不動産の鑑定評価を行う際、地域要因及び個別的要因について想定上の条件を付ける場合があります。例えば道路拡幅における用地買収の際、買収する土地の個別性(規模や形状など)が拡幅前より悪くなる場合など、買収地の所有者が事業によって不利にならないよう「事業の影響は考慮しない」、との条件を付けることが多いです。

但し、このような想定上の条件は、無条件で認められるものではなく、社会的に公平妥当なものである必要があります。

最近、大阪のIR予定地の賃料の鑑定評価がニュースになっていますが、その際の鑑定評価において、「IRを考慮外とする」との条件が付いていた、との記事を見ました。鑑定賃料が不当に安い、との批判がある中、この記事をみれば鑑定評価額が低めの試算値になった理由がわかります。

土地新規地代鑑定評価する際、その土地の利用方法、建物が堅固か非堅固か、収益物件か否か、その土地を利用してどの適度の収益が上がるのか、などを判断し、その土地の合理的使用に応じた賃料が試算されることになります。

なので、IRを考慮外として、埋め立て地の賃料の鑑定評価をどのように行ったのか、とても興味深く感じました。

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不動産鑑定評価書の作成

2023-07-11

不動産鑑定評価書を作成し発行するためには、不動産鑑定士の試験に合格し、不動産鑑定士び不動産鑑定業者の登録を行う必要があります。

不動産鑑定評価書は、単に試験に受かって士登録をすれば作成できるものではなく、合格後の実務修習、その後、実際に不動産評価の案件をこなすことが必要になってきます。

先日、無資格で不動産鑑定評価書を作成した人の裁判がありました。この方は無資格で不動産鑑定評価書を144通作成したそうです。無資格者とのことなので、公的評価は含まれないと思いますが、相当の数をこなしたものだと思います。

この方が作成された鑑定評価書が、比較的評価が安易な一般的な更地であったのか、複雑な案件であったかは不明ですが、無資格で鑑定評価書を作成しながらノウハウを身に着けていったのか、それとも内容が伴わないものであったのか、とても興味深く思いました。

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狭隘道路付の土地鑑定評価

2023-06-06

狭隘道路(きょうあいどうろ)は、幅員が道路法上の道路幅員である4m未満の道路であり、建物等を建築するには敷地部分の一部を道路用地に提供する、いわゆるセットバックすることが必要になります。

セットバックについては、自治体によって様々で、セットバック部分を買収するところもあれば、寄付のみ受け付けるところもあります。また、準防火地域などの防火規制のある地域の場合、測量費等を補助する自治体もあるそうです。

このような狭隘道路付きの土地の場合、住宅地であればまず車等の通行が困難になることから幅員による減価を行い、提供することになるセットバック面積を敷地面積割合から試算した率で減価することになります(幅員による減価を強く見たりして、セットバック減価を考慮しないケースも考えられます。)。

また、地域内の標準的な街路の幅員が狭くても、地域によってはほぼセットバックが完了していたり、空き地や未利用地が多く車の通行に支障がないケースもあり、これらも十分に考慮して鑑定評価額を決定することが大切になります。

先日、国交省が狭隘道路付きの建築規制を市町村が緩和できるようにする、との記事を見ましたが、このような地域内の建物の建て替えを進んでいくのか注視したいと思います。

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鑑定評価額を上回る売買価格

2023-05-13

不動産の鑑定評価によって求める鑑定評価額は、特別な場合を除き、市場価格実勢価格)=正常価格時価を求めることになっています。

但し、不動産を実際に売買を行う場合など、時価鑑定評価額との乖離が発生する時があり、不動産価格の上昇、下落が激しいときなど、鑑定評価額実勢価格に追い付かない場合などがあげられます。

また、投資物件などの鑑定評価を行う場合、将来の予測などを慎重に判断した結果、保守的な価格が求められ、実勢価格を下回ることもあります。

先日、奈良県の市が公用地を購入した際、その購入価格鑑定評価額の3倍超であった、との記事を見ました。その経緯は不明ですが、地方の都市で、実勢価格鑑定評価額の3倍というのはやはり乖離が大きすぎると思います。

鑑定評価額は国土交通省が定めた鑑定評価基準に則って求められた価格であり、手順を守って試算作業を行えば、実勢価格から大きく逸脱することはありません。公共の土地購入で鑑定評価額が低すぎたとは考えにくく、やはり、購入価格が異常な高値であったと考えられます。

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悪臭と不動産鑑定評価

2023-05-05

悪臭というと、工場からの排煙や養豚場や肥料工場、下水処理場からの臭いなどがあげられますが、それらの施設自体が嫌悪施設になることが多く、臭いのみを原因に鑑定評価額が減価されることはありません。

但し、その中でも著しい悪臭の場合、それを減価要因として不動産の鑑定評価を行うことも考えられます。

先日、お引越し先に焼肉屋さんの匂いが流れてきて、確認しなかったことを後悔されている方の記事を見ました。食べ物の匂いは中々大変で、この方の気持ちはわかる気がします。

以前、マンションを買われた方から、下階の仕出し屋さんの匂いが気になる、と聞いたことがあります。換気扇を回すと入ってきて、その点は後悔したと言っておられました。

臭いは、日照や騒音のように、測定して影響を判定することが難しく、減価が発生する場合でも数値化が困難ですが、今後、臭い測定の技術が進歩した場合、不動産鑑定評価においても臭い減価の方法が確定されるかもしれません。

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擁壁のある土地の鑑定評価

2023-05-02

土地が地盤面より高い場合、土が流れないように擁壁を打って建物を建てることになりますが、土地の高さが高いほど、擁壁にかかる費用は高くなります。

また、擁壁は修繕維持の状態が悪いとクラックが入ったり、最悪の場合、反りが入り倒壊する危険性があります。

このような土地の鑑定評価をする場合、擁壁の高さや状態によって程度はことなりますが、減価を行うことになります。

先日、関東の限界団地内の擁壁のある土地が売れない、との記事を見ました。その土地を写真でみると、確かに擁壁は売ってありますが、擁壁の高さは1m程度、反りやクラックもなく、状態は悪くないように感じました。

今回の限界団地の土地が売れない理由、擁壁の存在も考えられますが、その他の要因もあるのでは、と思いました。

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高低差のある土地の鑑定評価

2023-04-30

市街地の鑑定評価の場合、高低差は等高か+1m程度のものが多く、特に格差率で差をつけることはありませんが、GLからマイナスの土地はもちろんプラスであっても2mを超えるような高さの土地は減価することになります。

高さがマイナスの土地は、大雨の際、水が溜まったり、日照や通風の確保でも劣り、道路への出入りも難儀なため、減価は当然ともいえますが、その減価の算定として、等高の土地を標準とした場合、同じ高さの土地にするために要する造成費分を引くという方法をとることもあります。

高低がプラスの土地の場合、水の侵入を防げたりして良い面もありますが、高すぎる土地は擁壁の設置にお金がかかったり、土地上の建物の建築費が割高になったりとマイナスの面もあり、やはり減価の対象となることが多いです。

また、最近は、高齢化社会が進み、上り下りに苦労する地域や土地の価格が下がり気味であるという特徴もあげられます。

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旧耐震基準のマンションの鑑定評価

2023-04-29

日本でも阪神淡路大震災、東日本大震災という2度の大きな地震により、建物の耐震性に関心が高まるようになりました。

建物の耐震性については、昭和56年に建築基準法が改正され、それ以降の建物は耐震性が向上しており、旧耐震基準のマンションは地震の規模によっては倒壊の恐れがあるとされています。

旧耐震基準のマンションのメリットそしては、築年が40年を超える建物となり、価格が十分にこなれていること、敷地に余裕があったり、専有部分も広めであることがあげられます(中には60㎡程度のマンションも多く見られますが。)。

デメリットとしては、耐震性が劣ること(特にピロティー式の駐車場の物件は地震に弱いと言われています)に加えて、間取りや設備に古さを感じさせることだと思います。

先日、旧耐震基準のマンションの鑑定評価を行いました。施工の質や量がよく、修繕維持の程度もよいマンションであり、ここ最近のマンション価格の上昇の影響を受け、価格も上がっている印象を受けました。

マンションは築年ではなく管理を買う、という言葉もありますが、地盤のよい敷地に建つ旧耐震基準のマンションで程度のよいものを探すのも面白いかもしれません。

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宗教施設のある地域の鑑定評価

2023-04-23

宗教施設には色々あって、お寺や神社などのように昔から存在し、その地域に馴染んでいるものもあれば、新興宗教の施設のように、最近になって建てられたものもあります。

また、カトリック教会や天理教などの教会は、その地域のランドマーク的な存在になっており、その地域で不動産の鑑定評価をする場合、特に意識することはありません。

問題なのは社会的に問題を起こす一部の新興宗教の施設で、今でも大音響を出したり事件を起こす団体も存在しています。

では、このような施設のある地域の不動産の鑑定評価を行う場合、これらの施設の存在をどのように扱うかは難しいところです。

これらの施設が明らかに特異な建築物である場合などは市場性などで考慮することも可能かと思われますが、ビルの一室などが宗教施設の場合は、鑑定評価額の決定に迷うことになると思います。

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反社勢力の事務所の価格

2023-04-21

法律の規制が厳しくなったからか、反社会的勢力に関連する施設の閉鎖が増える中、大阪市にある反社会的勢力の事務所が売買された、との記事を見ました。

気になる売買価格土地建物で3億3000万円とのこと、建物は解体予定とのことですが、土地と建物価格配分は不明です。

このような解体予定済みの建物がある場合の土地建物鑑定評価する場合、老朽化などが進み建物の価値がないと判断される場合は建物をゼロ、又は解体費等を控除して鑑定評価額を決める場合もあります。

今回のケースでは、建物の残存耐用年数は残っていたと思われますが、特殊な不動産であり、建物の価値をどのように判定するか難しかったのでは、と思います。

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