Archive for the ‘不動産の価格’ Category
お寺の鑑定評価額
先日、ネットでお寺を買う富裕層が増えている、との記事を見ました。お寺は全国に約7万4千件程、その内住職のいない空き寺は1万~2万件だそうです。かなりの数ですが、人口減及び檀家の高齢化などでお寺の経営も楽ではないようです。
そのお寺を買うにあたっての価格ですが、お寺を鑑定評価する場合、宗教施設として継続使用するのか、他の用途(簡易宿泊所や合宿所など)に利用するかで価格の種類が違ってきます。前者の場合は特殊価格(一般的に「市場性を有しない」不動産の経済価値を表す価格)、後者の場合には通常の市場価値を有する価格、正常価格を求めることになります。今回のようなビジネス目的の売買の場合は、正常価格として鑑定評価額を決定することになると思います。
お寺の鑑定評価は私も遭遇したことはありませんが、以前、境内地(お寺の境内の土地の一部)を鑑定評価したことはあります。そこはとても大きなお寺の一部で、本堂などの修繕を行う大工さんなどの宿舎として使われていた土地でした。また、知り合いの不動産鑑定士さんは、実際のお城を鑑定評価したそうです。
お寺を利用したビジネスモデル、まだ普及していませんが今後増えていくかもしれません。
ある無人島の価格
昨日は山の価格のことを書きましたが、今日は無人島の価格のお話しです。少し前ですが、ある実業家の方が広さ5万坪の無人島を8500万円で購入した記事を見ました。場所は九州、電気のみ通っているとのことでした。
この方はリタイヤ後、個人的に楽しむために購入したそうです。これだけの広さがあれば、相模湾の初島のようにリゾートとして使用できると思います。
現在は、井戸を掘られて水は大丈夫のようです。自ら島を開発する苦労も全てが楽しみとのこと、素晴らしい方ですね。
ビジネスマン、実業家として忙しく生きてみえた島のオーナー、リタイヤしても力いっぱい生きてみえますね。
山の鑑定評価額
山の鑑定評価を行う際は、取引事例比較法(比準価格)と収益還元法(林地希望価方式・収益価格)を求めて鑑定評価額を決定することになります。但し、収益価格は収益性から価格を求める手法であり、1.その土地(山)の立木の種類(檜、赤松等)、2.傾斜度や伐採した際に運搬できる道路の有無、によっては十分な収益を確保することが難しく、収益価格はマイナスになることが多いと思われます。
先日、ある芸能人の方が、群馬県にキャンプ専用の山を購入したとの記事をみました。場所は都心から3時間以内、広さは455坪(約1500㎡)、プライベートのキャンプ場としては手ごろな広さだと思います。気になる価格は104万6000円、本当にキャンプの好きな方なら手の届く範囲だと思います。ちなみにこの土地は水道、電気、ガスはなく、固定資産税も380円とのことです。
但し、山は手を入れないと荒れていくので、固定資産税以外の費用も少しはかかるかな、とは思いますが、キャンプが大好きとのこと、有意義な買い物だったのではないでしょうか。
東京都心の地価に思うこと
今回の新型コロナウィルス蔓延の影響及びそれに伴う東京オリンピックの延期、中止の可能性により東京都心の地価の先が読めない状況です。
先日、経済評論家の森永卓郎氏が書かれた東京都心の地価についての記事を読みました。東京都心の地価は、東京オリンピックの前に大暴落を起こすとの予想です。森永氏は、収益性の観点から都心の地価はバブルだ、とのお考えのようです。
バブル経済崩壊の言葉のもととなった「バブル」とは、日本語で「泡」、実態無く膨らんだものが、最後弾けて終わったという意味で的を得た表現だったと思います。
森永氏はインカムゲインとキャピタルゲインの言葉を使って説明しておられましたが、記事で興味深かったのは、
1.今回国税庁から発表された相続税路線価の最高価格地、銀座5丁目ですが、約坪1億5154万円、バブルのピークだった1992年が坪1億2045万円、地価はバブル期を超えている。
2.東京都心の物件は、表面利回りが3%を下回っているものが沢山あるが、5%の利回りを確保しておきたい。
特に2.ですが、表面利回りが3%ということは、実質利回りは当然それ以下になりますから、物件によっては収支がマイナスになってしまいます。それでも買い手が付くということは、地価の上昇、すなわちキャピタルゲインを狙っての不動産投資となってしまい、地価が下落に転じた時、前回のバブル崩壊と同じ結果となってしまいます。
実際、将来の地価動向は誰にもわかりませんが、バブル崩壊の過去を参考に、慎重に不動産の動向を見極めることが必要になると思います。
不動産の価格は駅距離と道路
不動産の鑑定評価は、主に不動産(土地・建物)の価格を決めることですが、その価格は価格を形成する要因(主に地域要因と個別的要因)によって決まることになります。
私は、その中でも駅距離と道路幅員が重要だと考えています。もちろん、駅の規模や路線(名古屋だと地下鉄沿線が好まれます。)も重要ですが、地下鉄駅から徒歩圏で6m超程度の幅員の道路に接する土地は、極端に安くなることはない(需要がある)傾向にあります。
先日、スーモのアンケートを見ましたら、今回のコロナ禍でテレワークが増えた影響か、「広さ」と「駅距離」のどちらを重視するかの問いに対して、広さ派が52%、駅距離派が30%という結果になったそうです。ちなみに、一戸建て派が63%、集合住宅(マンション)派が22%、こちらも広さ重視の結果となりました。
私は、今回の結果は一時的なものであると考えていますが、もし、この傾向がスタンダードになるようであれば、不動産の鑑定評価を粉う際、価格決定において重視すべき要因も変えなければならなくなると思いました。
地方の豪邸と都会のマンション
時々、愛知県外で鑑定評価をすることがありますが、都市部から離れた俗にいう田舎になると、ものすごい豪邸の鑑定評価額がびっくりするほど低くなることがあります。地方は土地の値段も安く、建築費も都市部よりやすくなります。また、そのような豪邸の需要も少ないことが理由です。
一方、都会のマンションは、当然、共有持ち分とはいえ土地の価格も高いですし、特にRCのマンション建築費の高騰は激しく、一般のサラリーマンでは購入が難しい段階になっています。
最近、都市部で狭小戸建住宅が人気なのは、マンション価格の高騰により、需要者が両者を比較した結果、より安い狭小戸建住宅を購入することが理由と考えられます。
地方では、「一戸建てを建てて一人前」という風潮が残っているようですが、これからは、「都会でマンションを買うことはそれ以上に大変」、という傾向になっていくと思われます。
レトロな古民家郵便局の鑑定評価額
古民家の鑑定評価、まだ遭遇したことはありませんが、難しい評価になると思います。難しいのは土地より建物、文化的価値のない普通の古民家であれば建物価値はゼロになると思いますが、維持管理がされており、住居として使用可能であれば、建物にある程度の価値を見て、必要とされる修繕費を控除すること建物価格を求める場合も考えられます。
先日、鹿児島県枕崎市の旧郵便局の建物(事務所付住居)が土地付きで100万円で売りに出されたとの記事を見ました。明治37年に建てられたレトロな建物で、1980年代後半まで人が居住していたそうです。ちなみに建物は当時としてはモダンな洋風の造りで、文化的価値があるとのことです。
このような不動産を鑑定評価する場合、土地の価格に加えて建物の価値をどの程度見るかが問題となりますが、記事によると老朽化が激しく、修繕費に少なくても300万円~400万円掛かるとのこと。私がこの不動産を鑑定評価するとしたら、建物価値はゼロ円、文化的価値を考慮して取り壊し費用を考慮しない、という評価方針になると思います。
取壊し最有効の鑑定評価
不動産鑑定士は、土地及び建物(自用の建物及びその敷地、貸家及びその敷地等)の鑑定評価を行う場合があります。土地上の建物の老朽化が激しかったり、建物と敷地との適応、環境との適合を著しく欠いていると判断した場合、その建物を取り壊すことを前提に鑑定評価を行います。そのような評価を「取り壊し最有効」といいますが、最近は建物の解体費用、特にRC造の建物のコンクリート屑の処分費が高く、取り壊し費用が高額になる傾向にあります。
取り壊し費用が高額なら、そのまま現状で使っては?との声もありますが、古い建物は効率が悪く、修繕・維持費も高額となります。また、敷地との適応性や環境との適合性を欠いた建物の場合、十分な収益を生むことができず、結果として不動産の価値を下げることになります。
先日、ネット記事に滋賀県の廃墟マンションの解体費が1億1800万円と出ていました。3階建ての建物、写真で規模をみると妥当な金額と思われます。また、別に記事では100戸の分譲マンションの解体費が少なく見積もって3億円と出ていました。先程の滋賀県のマンションの規模と比較すると、やはり低めの見積額だと思います。
建物の解体費及び処分費は、今後も上がっていくと考えられますが、コンクリート屑を上手く分別して2次砕石として活用するなどの工夫が必要になってくると思います。
市民農園利用権付住宅の価格
最近は、趣味で農園を耕す方も増えており、私も昨年まで旧下山村で畑のお手伝いをしていました。そのような方をターゲットにした戸建住宅が売りに出された記事を見ました。
場所は埼玉県春日部市、東武伊勢崎線の最寄り駅から徒歩23分に立地しています。土地は200㎡超、テレワークに対応した書斎とスタディーカウンターを完備しています。その中でも特に特筆すべき点は、市民農園利用権付であること、その地主が栽培等のノウハウを教えるイベントもあるそうです。
市民農園は名古屋でもかなり盛んで、以前、市民農園を廃止して売買に出される方の鑑定評価をしたことがありますが、市の担当者から市民農園の継続をお願いされて困っている、と言っておられました。利用者がとても楽しみにしており、順番を待っている人もいたそうです。
最後にこの分譲住宅の価格ですが、約3000万円弱から3600万円、安いとみるか高いとみるかは人それぞれだと思いますが、私は通勤可能な方で別荘地の気分も味わいたい方にはお手頃な値段だと思います。
高級住宅街は高台の理由
一般的に、高級住宅街は高台というイメージがあるかと思います。大手ハウスメーカーなど街並みがでるコマーシャルでも、高台から街並みが見下ろせたり、なだらかな坂になったロケーションが多いと思います。このような住宅地は人気があり、鑑定評価額も高くなります。
高台の住宅地域が好まれるのは、眺望・景観に優れるのはもちろん、人間が高い所に住みたいという本能なのかもしれません。私の住んでいる名古屋市でも、名古屋市中央部から東に向かって登りの丘陵地になっており、地下鉄東山線沿線に優良な住宅地域が多いのも、利便性はもちろん地勢がよいことも理由だと思われます。
また、名古屋市内で大きな河川は新川庄内川、矢田川くらいですが、東京や大阪は河川が多く、河川の氾濫等による災害リスクが少ないことから高台が好まれたようです。
最近続く自然災害の影響で、この傾向はますます強くなったと感じます。
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