Archive for the ‘特殊な不動産’ Category

神奈川大学ひらつかキャンパス跡地の売買価格

2024-02-26

大学の都心回帰が進む中、閉鎖された神奈川大学ひらつかキャンパス跡地の記事を見ました。

当キャンパスは市街化調整区域内にあり、用途の制限があることから売買は難航しているとの話でしたが、都市計画法に定められた地区計画の策定により用途緩和を目指す方向で買い手を募るようです。

名古屋市近郊の長久手市や日進市でも、市街化調整区域内の大規模地に地区計画を定めて住宅団地になっているケースは見られます。

プロポーザル方式により売却先を決定するとのことです。

売却希望価格は示されていませんが、約31ヘクタールの土地+建物+造成費の簿価の合計182億3600万円が参考価格として記載されています。

私も不動産鑑定士の仕事を始めたころ、大規模な学校跡地の鑑定評価に関わったことがありますが、買い手がその土地建物を学校として利用する目的だったため、売り手はよい売買ができたと思います。

今回のひらつかキャンパスのケース、建物をそのまま使う買い手の想定は難しく、実際の売買価格土地価格-建物解体費になるのでは、と思われます。

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事故物件の家賃

2024-01-21

都心部を中心に不動産価格の高騰が続く中、より割安な不動産を求めて事故物件に注目が集まっています。

自己物件とは、以前、自殺や犯罪などがあった不動産を言い、忌み物件とも言われます。このような不動産は当然、市場性が劣ることになるため、通常の不動産より安い価格で取引されることが多いです。

先日、事故物件の家賃について書かれた記事を見ました。賃貸であっても市場性は劣ることになり、価格と同様安くなることが多いですが、この記事では、通常家賃の20%~30%安いとのことでした。

自己物件の価格ですと、通常価格の50%以上安くなることが多いですが、賃貸は所有価値ではなく使用価値になるので、この程度の減価になるものと思われます。

専門に扱う不動産業者もある程人気にある事故物件、霊感の無い人やその物件の過去を気にしない人にはお買い得な不動産なのかもしれません。

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廃止される知事公舎の価格

2023-09-24

全国的に知事公舎の廃止が続く中、島根県知事公舎が廃止される、との記事を見ました。

この知事公舎、敷地約2400㎡、建物は木造平屋建てで延面積191㎡、公邸部分と私邸部分からなっており、敷地には日本庭園もあるそうです。

建物は1986年築で築37年経過しており、老朽化も見られるそうです。

気になる価格ですが、路線価に基づく評価額土地1億8800万円、建物約1300万円とのことです。

公舎は門や白壁を残すことを条件に売却される見通しですが、開発に条件についた面大地であり、建物の解体費や日本庭園の撤去費などがかるため、想定される買い手はこれら費用を勘案した価格で買い取りを希望すると思います。

松江城に近く、立地は悪くないと思いますが、需要の弱い地方の面大地であり、実際の売買価格がいくらになるか注目したいと思います。

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事故物件の鑑定評価

2023-09-14

忌み物件は事故物件の代表的なものであり、主に、人が亡くなるような事件のあった物件を指すことが多いです。

殺人や自殺などが起こると、その不動産の市場性は一気に落ちることになり、マンションなどの解体が難しい不動産の場合、半値以下になると思われます。

なので建物の解体が可能な場合は、事故物件は解体され更地化されることが多く、建物が使用可能であり、耐用年数が残っている場合であっても鑑定評価額更地価格から解体費を控除し、その価格からさらに市場性減価を行って決定されると思われます。

先日、歌舞伎俳優の市川猿之助さんの自宅の資産価値が10分の1、との記事を見ました。この10分の1という価格、瑕疵物件や極端な過小地など市場性の著しく低い物件価格の指標となることが多く、買い手が殆どない不動産の場合、市場価格の1割の価格となる場合もあります。

但し、今回の猿之助さんのご自宅の場合、東京目黒と立地もよく、買い手が付かないことは考えにくいので、売買される場合の価格は10分の1になることはないと思われます。

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不整形地の鑑定評価

2023-09-11

不整形地の鑑定評価は難しい評価の一つで、形状が同じであっても土地の規模が違う場合、減価額も違ってくることが多いです。

規模の小さい過小地の場合、元々、有効利用率が低い上に不整形により土地の利用が制限若しくは通常の使用が困難となると、減価は限りなく大きくなります。

一方、ある程度の規模のある面大地のような土地であれば、不整形であっても建物や駐車場敷地として利用することが可能となり、過小地の場合より減価率は小さくなります。

また、形状が悪くても乗入れ可能な間口を確保できる土地であるか否かも重要になります。

先日、ネットで変形地に物流倉庫を建てた記事が載っていましたが、需要増により物流倉庫適地は少なくなっており、苦肉の策だったようです。

都心の住宅地でも不整形過小地戸建住宅を建てるケースも増えており、今後、不整形地の有効利用を提案するコンサルタントが増えていくかもしれません。

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人骨が発見された土地価格

2023-07-30

地下埋設物のある土地鑑定評価する場合、その土地の価格から埋設物の撤去に係る費用を控除することになります。また、忌み物が埋まっていた場合などは、心理的瑕疵(スティグマ)も考慮して鑑定評価を行うことになります。

先日、購入した住宅地の地中から人骨が出てきた、との記事を見ました。この人骨は100年以上前に埋葬されたもので、事件性は無いとのことでした。

埋まっていたのは深さ2.5mの地中、本格的な地盤調査を行う前だったそうです。

購入者はこの土地は心理的瑕疵物件にあたり土地価格から3%の減額を求めているそうです。

実際に鑑定評価を行う場合、何等かの減価は考慮すべきと思いますが、人骨が存在する経緯などから判断し、この程度の減価になるのかとは思います。

この事件、現在係争中とのことですが、裁判所の判断に注視したいと思います。

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他人所有が絡む不動産の問題

2023-07-20

他人が絡む不動産として代表的なものは、共有になると思います。共有不動産の問題は、管理や売却など単独で行うことができず、また、個人居住用建物の場合、単独で使用することができないという重大な生じる恐れがあります。

先日、ある弁護士の方は書かれた「不動産のもらい事故」のようなケースの記事をみました。このもらい事故の内容は、

1.所有している土地の中に、他人名義の土地が混入している

2.不動産に既に廃業した法人の抵当権が付いている

3.所有地に接する通路の掘削をしたいが、この通路の所有者が見つからない。

1に近いケースとして、国土調査で建物敷地が他人土地であることが判明し、買取の鑑定評価を行ったことがあります。広大な敷地の一部に他人の土地が入っており、経緯も不明とのことでした。

2は借金の完済は完了しており、抵当権の抹消請求をしていなかったケースだそうです。

3はこの通路の重要性も絡むと考えます。この通路を建築基準法の接面道路として建物を建築する場合、通常、地上権、賃借権等の通路使用権が必要であり、通路の所有者が見つからないといった問題は少ないのかな、と思います。但し、この土地に二方路等複数通路があり、所有者の確認を怠った通路がある場合などにおいて、後日、このような問題が生じる可能性があります。

不動産と法律に関する問題は様々で、複雑な案件が多いのですが、不動産鑑定士の力を試される場であり、私は積極的に弁護士の方からの案件を受けるようにしています。

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旗竿地の間口の歴史

2023-07-15

旗竿地とは読んで字のごとく、「旗竿の形をした土地」であり、袋地や敷延、延敷(延長敷地の略のようです)と呼ばれることもあります。

旗竿地の多くは、路地状部分が駐車場、その奥が建物敷地となるのが一般的ですが、建物建築には建築基準法上の道路に2m以上接面する必要があります。

不動産鑑定評価をしていると、古いミニ開発地などでは、間口が1.8mの旗竿地を見かけることがありますが、日本が以前、メートル法ではなく尺貫法であったころの名残です。現行法では再建築が出来ませんが、最近は自治体によっては条件付きで再建築を認めるところも出てきたと聞いたことがあります。

少し前に区画割された旗竿地の場合、2.5m程度の間口の土地が多いですが、駐車場の多くが幅2.5mであるように、路地状部分を駐車場として利用することを意識して決めたと考えられます。

最近は、3.0mを超える間口の旗竿地が多くなった印象ですが、車が大型化し、駐車スペース+通路を確保するために広くなったのだと思います。

先日、間口2.7m、縦17mの土地に3階建ての家を建てた方の記事を見ましたが、間口はほぼ駐車場の幅、キャンピングカーを3階建てにした感じなのでしょうか?

キャンピングカーはスペースに制約がある分、機能的に造られており、間口2.7mの家もきっと機能的な住みやすい家なのだと思います。

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地域のシンボルと景観のお話

2023-05-16

都市部であれ地方であり、その地域地域には大なり小なりシンボルがあり、その地域の住む人々は誇りとしているものです。

例えば、静岡県や山梨県の方にとって、富士山は地域のシンボルであり、その地域に行くと度々富士山をデザインしたマークを目にすることになります。

かなり前、携帯電話の基地局設置のお仕事をしていた時、富士川町で建設しないよう要請を受けたことがあります。その地域は街から少し上ったところにあり、富士山を正面に街を見渡すことのできるところでした。基地局鉄塔の存在により、景観が損なわれることを心配しておられました。

先日、京都市で夏に行われる送り火の景観が変わることを理由に、住宅建設を反対、との記事を見ました。開発許可は既に出ており、業者としては予想外の反対だったようです。

歴史のある送り火の景観を守ることと、開発業者の権利を尊重すること、この2者を両立させるのは難しい問題です。

私個人の意見としては、景観への配慮は必要ですが、開発許可基準に適合した合法の開発であれば、建物の建築を認めるべきだと思います。

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悪臭と不動産鑑定評価

2023-05-05

悪臭というと、工場からの排煙や養豚場や肥料工場、下水処理場からの臭いなどがあげられますが、それらの施設自体が嫌悪施設になることが多く、臭いのみを原因に鑑定評価額が減価されることはありません。

但し、その中でも著しい悪臭の場合、それを減価要因として不動産の鑑定評価を行うことも考えられます。

先日、お引越し先に焼肉屋さんの匂いが流れてきて、確認しなかったことを後悔されている方の記事を見ました。食べ物の匂いは中々大変で、この方の気持ちはわかる気がします。

以前、マンションを買われた方から、下階の仕出し屋さんの匂いが気になる、と聞いたことがあります。換気扇を回すと入ってきて、その点は後悔したと言っておられました。

臭いは、日照や騒音のように、測定して影響を判定することが難しく、減価が発生する場合でも数値化が困難ですが、今後、臭い測定の技術が進歩した場合、不動産鑑定評価においても臭い減価の方法が確定されるかもしれません。

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