Archive for the ‘特殊な土地の評価’ Category

病院跡地の鑑定評価

2024-04-08

自治体が不足する財源を確保するため、老朽化した行政施設を統廃合し、不要となった不動産を売却する動きが加速しています。

その中でも公営の総合病院は、土地も広く立地によっては開発業者による需要が想定されることから、高額での売却を期待して強めの価格設定がされることが多いです。

一方、買い手である不動産業者は、当然、土地を安く仕入れたいですし、土壌汚染や心理的瑕疵(スティグマ)による市場性減価を考慮した価格を提示してくることになります。

このような病院跡地を鑑定評価する場合、土壌汚染に関しては、ボーリング調査により汚染の程度を調べ、除染や土の入れ替えに掛かる費用を土地の価格から控除することになりますが、スティグマについては評価主体の判断に委ねられることが多いです。

先日、東京で小学校が病院跡地に移転する計画に反対の声、との記事を見ました。土壌汚染による子供たちへの健康被害が心配、とのことです。

病院跡地の土地利用、土壌汚染は除染することが可能ですが、過去の歴史的経緯などを踏まえると、小学校への転用は簡単に進まないかもしれません。

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近隣不動産のお話

2024-03-15

自宅近隣にある店舗、例えばスーパーやコンビニエンスストアだと便利でよいという人もいれば、道路の混雑や風紀の点から敬遠する人もいます。

飲食店も場合も、焼肉屋さんなどの臭いのでるお店だと洗濯物を干すのも大変、と聞いたことがありますが、若い人でお酒が好きなので居酒屋の近くに住みたい、と言った人もいます。

飲食店が用途地域で建築可能な地域であれば、規制することは難しいのですが、先日、引っ越したら隣がヤギの飼育場だった、との記事を見ました。飼育場ということはある程度の数のヤギがいるのでしょうが、臭いも鳴き声もありますし、良好な住環境とは言い難いところがあります。

賃貸であれば他に引っ越すことも可能ですが、所有物件になると簡単に引っ越すことも難しく、争いになることも多いみたいです。

ちなみに私がヤギの飼育場の隣の土地鑑定評価した場合、やはり住環境などの項目で減価することになると思います。

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産業廃棄物が埋まった土地

2024-03-14

最近、度々ニュースになる地下に産業廃棄物などが埋まった土地、土壌汚染された土地と並び不動産鑑定士泣かせの土地でもあります。

不動産の鑑定評価を行う場合、その土地がガソリンスタンドなどの場合は土壌汚染の浄化レポートなどを頂けることが多いですが、通常の鑑定評価でエンジニアリングレポートを頂けることは稀で、鑑定評価を終了した後に土壌汚染や地下埋設物の存在がわかると問題になることがあります。

先日、新庁舎に移転した岐阜市役所の跡地駐車場から大量の産業廃棄物が見つかった、との記事を見ました。市は撤去費用として約1億9000万円を予算に見積もったそうです。

土壌汚染、地下埋設物は、私が不動産鑑定士の2次試験に受かった頃からニュースになるようになりました。それ以前は殆どの不動産鑑定士が不動産の鑑定評価を行う際、独自調査も行っていなかったと思います。

土地の規模が大きくなるほど高額な費用となる産業廃棄物の処分費用、資金力のない法人にとって辛い出費になるのは間違いありません。

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においと不動産鑑定評価

2023-12-18

下水処理場などの悪臭を発生させる施設は嫌悪施設と呼ばれており、その周辺の土地価格にマイナスの影響を与えることが多いです。

また、市街地にはあまりありませんが、豚舎や牛舎なども近くに住む人は臭いに悩むかもしれません。

また、産廃施設や肥料工場近くの土地鑑定評価したことがありますが、風向きによってはかなり臭いがきつく、環境要因で減価したことがあります。

先日、焼肉屋さんのにおいに付近の住民が困っている、との記事を見ました。お肉が焼けるにおいがひどく、外に洗濯ものを干せないくらいだそうです。

土地鑑定評価する場合、においを理由に減価するかは難しい判断になると思います。減価する場合、住環境劣るで減価するかもしれません。

においは日照や騒音などと違って影響を査定することが難しく、評価主体の感覚的な判断になることが多いようです。

今後、騒音などと同様、においを測定する装置が開発されれば、悪臭のする不動産の鑑定評価の精度が上がっていくと思われます。

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地下埋設物と土地の鑑定評価

2023-12-17

地下埋設物のある土地鑑定評価する場合、依頼者からコンクリート基礎等が埋まっていることを確認できる場合は稀で、実際に工事が始まってから埋設物の存在を知ることが殆どだと思います。

先日、東京の旧英国大使館跡地から弥生時代の遺跡が発見された、との記事を見ました。おそらく試掘で埋蔵文化財が埋まっていることが確認されたと思われますが、本掘に係る費用は事業者負担となるため、さらなる費用の負担と事業の遅れが発生することになります。

福島県では、産業団地の予定地から巨石が見つかった、との記事を見ました。この巨石は少なくとも10m以上ある上、硬く砕くことが難しいため砕石は断念するとのことです。

この石のある場所は調整池予定地で、貯水量を確保するためより深く土地を掘るため、費用が2億7100万円から9億9900万円に増加したそうです。

地下埋設物は地上からその存在を確認することが難しく、特に遺跡や石のような自然物の場合、地歴調査では何ともならない不動産鑑定士泣かせの土地であるといえます。

土壌汚染地と並び度々裁判になる地下埋設物のある土地鑑定評価、少しでもその可能性のある土地はより慎重な調査及び鑑定評価の実施が求められます。

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不整形地の鑑定評価

2023-09-11

不整形地の鑑定評価は難しい評価の一つで、形状が同じであっても土地の規模が違う場合、減価額も違ってくることが多いです。

規模の小さい過小地の場合、元々、有効利用率が低い上に不整形により土地の利用が制限若しくは通常の使用が困難となると、減価は限りなく大きくなります。

一方、ある程度の規模のある面大地のような土地であれば、不整形であっても建物や駐車場敷地として利用することが可能となり、過小地の場合より減価率は小さくなります。

また、形状が悪くても乗入れ可能な間口を確保できる土地であるか否かも重要になります。

先日、ネットで変形地に物流倉庫を建てた記事が載っていましたが、需要増により物流倉庫適地は少なくなっており、苦肉の策だったようです。

都心の住宅地でも不整形過小地戸建住宅を建てるケースも増えており、今後、不整形地の有効利用を提案するコンサルタントが増えていくかもしれません。

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川の中州にある民家

2023-08-30

河川区域には1号地(流水地)、2号地(護岸)、3号地(堤外地)があり、堤外地であれば原則、民地であっても建物を建築することはできません。但し、既得権で堤外地に家が建っているケースがあります。

先日、川の中州に民家、との記事を見ました。川の流水地の中に中州があって、水門と民家があるそうです。川の中の小さな島のようにも見えます。

記事によれば、水門は昭和59年の設置だそうですが、300年以上前から民家は建っていたそうです。

私も以前、堤外民地の鑑定評価をしたことがありますし、ダムの護岸に集落があり民家を建てて人が住んでいるケースに遭遇したことがありますが、川の中州(島)に民家があるケースは全国的にも珍しいと思います。

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不整形地の鑑定評価

2023-08-08

土地の形状は有効利用の観点から長方形が望ましく、土地の価格も長方形を含む整形から離れる程安くなることになります。

このような形状の劣る不整形地の鑑定評価、減価を考慮して価格を決めることになりますが、私は計算式をいくつか使用したり、公的な格差率を考慮したりして決定しています。

複数求められた減価率を総合的に勘案して、最終的な減価率を決定するのですが、土地には個別性があり、土地の大きさ、建物想定や敷地への乗り入れの難易、地域的な市場性なども十分考慮して格差率を決定するようにしています。

不整形地の鑑定評価は難しい評価の一つではありますが、客観的な数値を求める方法もいくつか確率されており、手順を守れば的確な鑑定評価が可能となると考えています。

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人骨が発見された土地価格

2023-07-30

地下埋設物のある土地鑑定評価する場合、その土地の価格から埋設物の撤去に係る費用を控除することになります。また、忌み物が埋まっていた場合などは、心理的瑕疵(スティグマ)も考慮して鑑定評価を行うことになります。

先日、購入した住宅地の地中から人骨が出てきた、との記事を見ました。この人骨は100年以上前に埋葬されたもので、事件性は無いとのことでした。

埋まっていたのは深さ2.5mの地中、本格的な地盤調査を行う前だったそうです。

購入者はこの土地は心理的瑕疵物件にあたり土地価格から3%の減額を求めているそうです。

実際に鑑定評価を行う場合、何等かの減価は考慮すべきと思いますが、人骨が存在する経緯などから判断し、この程度の減価になるのかとは思います。

この事件、現在係争中とのことですが、裁判所の判断に注視したいと思います。

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他人所有が絡む不動産の問題

2023-07-20

他人が絡む不動産として代表的なものは、共有になると思います。共有不動産の問題は、管理や売却など単独で行うことができず、また、個人居住用建物の場合、単独で使用することができないという重大な生じる恐れがあります。

先日、ある弁護士の方は書かれた「不動産のもらい事故」のようなケースの記事をみました。このもらい事故の内容は、

1.所有している土地の中に、他人名義の土地が混入している

2.不動産に既に廃業した法人の抵当権が付いている

3.所有地に接する通路の掘削をしたいが、この通路の所有者が見つからない。

1に近いケースとして、国土調査で建物敷地が他人土地であることが判明し、買取の鑑定評価を行ったことがあります。広大な敷地の一部に他人の土地が入っており、経緯も不明とのことでした。

2は借金の完済は完了しており、抵当権の抹消請求をしていなかったケースだそうです。

3はこの通路の重要性も絡むと考えます。この通路を建築基準法の接面道路として建物を建築する場合、通常、地上権、賃借権等の通路使用権が必要であり、通路の所有者が見つからないといった問題は少ないのかな、と思います。但し、この土地に二方路等複数通路があり、所有者の確認を怠った通路がある場合などにおいて、後日、このような問題が生じる可能性があります。

不動産と法律に関する問題は様々で、複雑な案件が多いのですが、不動産鑑定士の力を試される場であり、私は積極的に弁護士の方からの案件を受けるようにしています。

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