築年を経た建物の鑑定評価
2024-06-24
建物の鑑定評価額は、価格時点における再調達原価から減価修正(耐用年数に基ずく方法、観察減価法)を行い試算されますが、特に築年を経た建物の鑑定評価の場合、鑑定評価主体の判断で異なる結果になることがあります。
私は建物の鑑定評価を行う場合、残存価値を考慮しないのですが、税法に倣って残存価値を考慮した鑑定評価書を見ることもあります。
また、私は耐用年数に基ずく方法によって十分に減価された場合、観察減価法を考慮しないことが多いです。
老朽化や陳腐化が激しく、取り壊しを最有効とする場合は土地価格から解体撤去費を控除して鑑定評価額を求めますが、修繕維持がなされている場合などで経済的価値が残っている場合は何等かの価値を付けることが多いです。
先日、市保有の解体予定の倉庫建物及び土地を100万円で売却したのは違法、との記事を見ました。最低売却価格は64万円、土地価格から解体費用を引いた価格だそうです。ちなみに鑑定評価によると、土地建物価格は1630万円、評価主体は建物の継続利用を前提に鑑定評価を行ったことになります。
このようなケースに私も遭遇したことがあります。依頼者は解体を前提とした価格を考えていることが多いのですが、継続利用が可能と判断される場合は安易に取り壊し最有効を適用することはできないので、その旨を説明することになります。
建物の鑑定評価は、不動産の鑑定評価の中でも問題になるケースが意外と多いと感じています。