条件の付いた不動産の価格

2023-02-13

不動産の鑑定評価においては、最有効使用(ある不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用方法)による価格を求めることが原則であり、対象不動産の存する地域性や個別性を判定し、最有効使用を判断することとなります。

但し、実際の不動産市場では、不動産の売買において条件が付されることがあり、例えば戸建住宅地などの土地の売買において建築条件付きの売買がなされることがあります。買い手は売り手である不動産業者の指定した建物を建てることを条件に、割安な価格で土地を購入することができるというメリットがあります。

また、市街地再開発などで中核となる施設を誘致する目的で、大規模地などが売るに出されることがあります。このような場合、売り手である事業者(主に自治体)は、売買にあたり条件と付けることがあります。

先日、広島県呉市の消防局跡地の売却で応募がゼロ、との記事を見ました。参考価格は5億7300万円、建物の用途の制限に加えて地域への貢献に加えて1年以内に既存建物を撤去・2026年までに供用開始と厳しい条件が付いていました。

おそらく、次回は参考価格を下げて再入札を行うと思いますが、解体撤去費及び建築費が高騰している現在、入札をためらった業者もあると思います。

東京をはじめ首都圏や都市圏の駅近物件であれば強気の価格設定でも入札が期待されますが、地方の再開発物件、需要は限られると思います。

次回の入札においてどのような条件が付されるか、また、参考価格はいくらになるか、興味深いところです。

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