近隣で事故のあった不動産の価格
2020-10-19
過去の殺人事件や事故死などがあった不動産は事故物件と呼ばれますが、当然、売買や賃貸は困難となり価格や賃料は下がることになります。特に、凶悪事件があった物件などは、そのまま売買や賃貸に出すことが難しく、取り壊されることもあります。
その事故が不動産価格に与える影響ですが、対象となった不動産に減価が発生するとして、その近隣周辺に影響を及ぼすかが問題となります。
名古屋近郊での話ですが、殺人事件が起きた不動産の近隣で売り物件が出たそうですが、中々買い手がつかず相場よりも安い価格で取引された、とのことです。地方の不動産取引は地縁的な人間関係に基づくものが中心であり、風評を恐れて買い手が少なくなり、取引価格も安くなったと考えられます。
一方、都心の住宅地域においては、事故物件の近隣までマイナスの影響が続くとは考えにくく、当初は販売に苦戦するかもしれませんが、相場に大きな影響はないものと考えられます。
不動産の鑑定評価額は想定される需要者で決まることになり、地縁的な取引が中心の地方と想定される需要者の存する圏域の広い都心部では事故の不動産価格への影響の程度も違ってくると考えられます。
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