Archive for the ‘特殊な土地の評価’ Category

不整形地の鑑定評価

2023-09-11

不整形地の鑑定評価は難しい評価の一つで、形状が同じであっても土地の規模が違う場合、減価額も違ってくることが多いです。

規模の小さい過小地の場合、元々、有効利用率が低い上に不整形により土地の利用が制限若しくは通常の使用が困難となると、減価は限りなく大きくなります。

一方、ある程度の規模のある面大地のような土地であれば、不整形であっても建物や駐車場敷地として利用することが可能となり、過小地の場合より減価率は小さくなります。

また、形状が悪くても乗入れ可能な間口を確保できる土地であるか否かも重要になります。

先日、ネットで変形地に物流倉庫を建てた記事が載っていましたが、需要増により物流倉庫適地は少なくなっており、苦肉の策だったようです。

都心の住宅地でも不整形過小地戸建住宅を建てるケースも増えており、今後、不整形地の有効利用を提案するコンサルタントが増えていくかもしれません。

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川の中州にある民家

2023-08-30

河川区域には1号地(流水地)、2号地(護岸)、3号地(堤外地)があり、堤外地であれば原則、民地であっても建物を建築することはできません。但し、既得権で堤外地に家が建っているケースがあります。

先日、川の中州に民家、との記事を見ました。川の流水地の中に中州があって、水門と民家があるそうです。川の中の小さな島のようにも見えます。

記事によれば、水門は昭和59年の設置だそうですが、300年以上前から民家は建っていたそうです。

私も以前、堤外民地の鑑定評価をしたことがありますし、ダムの護岸に集落があり民家を建てて人が住んでいるケースに遭遇したことがありますが、川の中州(島)に民家があるケースは全国的にも珍しいと思います。

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不整形地の鑑定評価

2023-08-08

土地の形状は有効利用の観点から長方形が望ましく、土地の価格も長方形を含む整形から離れる程安くなることになります。

このような形状の劣る不整形地の鑑定評価、減価を考慮して価格を決めることになりますが、私は計算式をいくつか使用したり、公的な格差率を考慮したりして決定しています。

複数求められた減価率を総合的に勘案して、最終的な減価率を決定するのですが、土地には個別性があり、土地の大きさ、建物想定や敷地への乗り入れの難易、地域的な市場性なども十分考慮して格差率を決定するようにしています。

不整形地の鑑定評価は難しい評価の一つではありますが、客観的な数値を求める方法もいくつか確率されており、手順を守れば的確な鑑定評価が可能となると考えています。

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人骨が発見された土地価格

2023-07-30

地下埋設物のある土地鑑定評価する場合、その土地の価格から埋設物の撤去に係る費用を控除することになります。また、忌み物が埋まっていた場合などは、心理的瑕疵(スティグマ)も考慮して鑑定評価を行うことになります。

先日、購入した住宅地の地中から人骨が出てきた、との記事を見ました。この人骨は100年以上前に埋葬されたもので、事件性は無いとのことでした。

埋まっていたのは深さ2.5mの地中、本格的な地盤調査を行う前だったそうです。

購入者はこの土地は心理的瑕疵物件にあたり土地価格から3%の減額を求めているそうです。

実際に鑑定評価を行う場合、何等かの減価は考慮すべきと思いますが、人骨が存在する経緯などから判断し、この程度の減価になるのかとは思います。

この事件、現在係争中とのことですが、裁判所の判断に注視したいと思います。

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他人所有が絡む不動産の問題

2023-07-20

他人が絡む不動産として代表的なものは、共有になると思います。共有不動産の問題は、管理や売却など単独で行うことができず、また、個人居住用建物の場合、単独で使用することができないという重大な生じる恐れがあります。

先日、ある弁護士の方は書かれた「不動産のもらい事故」のようなケースの記事をみました。このもらい事故の内容は、

1.所有している土地の中に、他人名義の土地が混入している

2.不動産に既に廃業した法人の抵当権が付いている

3.所有地に接する通路の掘削をしたいが、この通路の所有者が見つからない。

1に近いケースとして、国土調査で建物敷地が他人土地であることが判明し、買取の鑑定評価を行ったことがあります。広大な敷地の一部に他人の土地が入っており、経緯も不明とのことでした。

2は借金の完済は完了しており、抵当権の抹消請求をしていなかったケースだそうです。

3はこの通路の重要性も絡むと考えます。この通路を建築基準法の接面道路として建物を建築する場合、通常、地上権、賃借権等の通路使用権が必要であり、通路の所有者が見つからないといった問題は少ないのかな、と思います。但し、この土地に二方路等複数通路があり、所有者の確認を怠った通路がある場合などにおいて、後日、このような問題が生じる可能性があります。

不動産と法律に関する問題は様々で、複雑な案件が多いのですが、不動産鑑定士の力を試される場であり、私は積極的に弁護士の方からの案件を受けるようにしています。

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狭隘道路付の土地鑑定評価

2023-06-06

狭隘道路(きょうあいどうろ)は、幅員が道路法上の道路幅員である4m未満の道路であり、建物等を建築するには敷地部分の一部を道路用地に提供する、いわゆるセットバックすることが必要になります。

セットバックについては、自治体によって様々で、セットバック部分を買収するところもあれば、寄付のみ受け付けるところもあります。また、準防火地域などの防火規制のある地域の場合、測量費等を補助する自治体もあるそうです。

このような狭隘道路付きの土地の場合、住宅地であればまず車等の通行が困難になることから幅員による減価を行い、提供することになるセットバック面積を敷地面積割合から試算した率で減価することになります(幅員による減価を強く見たりして、セットバック減価を考慮しないケースも考えられます。)。

また、地域内の標準的な街路の幅員が狭くても、地域によってはほぼセットバックが完了していたり、空き地や未利用地が多く車の通行に支障がないケースもあり、これらも十分に考慮して鑑定評価額を決定することが大切になります。

先日、国交省が狭隘道路付きの建築規制を市町村が緩和できるようにする、との記事を見ましたが、このような地域内の建物の建て替えを進んでいくのか注視したいと思います。

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道路と不動産鑑定評価

2023-04-17

道路は不動産の価格を決める重要な要因であり、住宅地であれば道路幅員が広ければ日照や通風を確保する上で有利ですが、広すぎても交通量が増え、結果、騒音や振動の問題がでることもあります。

商業地の場合は、特に高度利用が可能な地域の場合、道路幅員が広い方が土地上の建物の制約が少なくなるため有利であり、土地の価格も高くなります。

先日、神戸市に車道5m、歩道8mの道路の整備が進められている、との記事を見ました。車道を一方通行にするために、このようなアンバランスな道路となったそうです。

鑑定評価を行う対象地がこのような道路に接する土地の場合、道路格差をつける時に迷うのでは、と思います。住宅地であれば、日照等に関しては有利ですが、歩道が8mもあると、道というよりミニ広場に近いものになってしまうので、車道にでるのも楽ではないですし、快適性や利便性などで劣る可能性も出てくると思います。

そのことだけをテーマに本が出ているくらい奥が深い道路と不動産鑑定評価の関係、車道と歩道の関係も新たなテーマになりそうな予感です。

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軟弱地盤の土地の鑑定評価

2023-04-13

土地は通常、建物等を建築することで有効利用できるものであり、そのためには地盤が固い方が望ましいです。

地盤が軟弱な土地、例えば田地や海岸、湖沼などの埋め立て地は、地震などで建物が倒壊したり傾いたりするリスクが高い上に、埋め立てを行っても下から湿気が上がってきて、建物の老朽化を早めることも多いそうです。

このような軟弱地盤の土地は、表層改良を行ったり、石やコンクリートを埋めたり、コンクリートを張ったり、地中にパイルを打ち込んだりして土壌を固めることになりますが、当然、費用が掛かることになり、鑑定評価を行う場合、改良工事にかかる費用を土地の価格から控除して鑑定評価額は決定されます。

先日、大阪にIR予定地が軟弱地盤であり、土壌も汚染されている、との記事を見ました。土壌汚染対策委は約790億円、膨大な金額となりました。

これほどまでの費用をかけて計画されるIR、それに見合う収益が上がるということだと思います。

世界的に成功例があるからでしょうか、IR誘致に自治体が誘致に鎬を削る理由がわかります。

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ため池の鑑定評価額

2023-02-21

ため池は昔、用水の整備が十分でなかった頃、主に農業の灌がいを目的に造られたもので、現在も水源に乏しい地域では貴重な水がめとして用いられています。

このため池、最近では用水の整備も進み、又、農業用水の需要も減ったことから放置されているものもあると聞いたことがあります。また、災害の際、被害を発生させる可能性があるとのことで、管理する自治体も頭を悩ませているそうです。

先日、京都府にある農業用のため池を売却、との記事を見ました。ため池を住宅用地に転用し、その売却益集会所の建て替え費用に充てる意向だそうです。

このため池は広さ約4700㎡、売却に向けて今年度中に不動産の鑑定評価を受けるそうです。

今回のような宅地化を目的とした鑑定評価の場合、不動産の種別は宅地見込地として評価することになりますが、宅地としての需要が弱い地域であれば、池の取引事例から比準した比準価格を重視して価格が決まることになると思います。

このようなケースは今後増えていくと思われますが、地方のため池の需要者の想定は難しく、実際に売買が成立するケースは少ないと思われます。

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島の鑑定評価

2023-02-07

尖閣諸島や馬毛島の売買で注目を集めた島の鑑定評価額、私は遭遇したことはありませんが、難しい鑑定評価になると思います。

最近のアウトドアブームで、瀬戸内海などの孤島が売買されるとの話は聞いたことはありますが、相場を形成する程の取引数ではなく、その売買金額が表に出てくることも少ないことが理由です。

また、実際の取引金額が分かったとしても、島は千差万別であり、個別性が強いことから比準が難しいこともあげられます。

先日、中国の女性が日本の島を購入した、との記事を見ました。広さは約70万㎡、サンゴ礁が見えるとのことなので沖縄付近の島なのかと思います。

気になるお値段は不明ですが、入札開始価格は1100万円とのこと、落札金額はそれ以上になったと思われます。

島、特に無人島は水道などのインフラがなく、交通手段となる船も必要となることから、需要者はインフラ整備にお金を掛けられる人に限られると思います。

将来、所有する無人島が開発されて生活が可能となった日には、自分一人だけのプライベートビーチでの休暇を楽しむことができる、夢のような話ですね。

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