相続における限定承認
限定承認とは
相続人は,相続の発生を知った日から3ヶ月以内に,単純承認するのか,限定承認をするのか,相続放棄をするのかを決める必要があります。
限定承認とは,相続人が,被相続人から受け継いだ相続財産を責任の限度として相続することをいいます。すなわち,その範囲内で被相続人の債務を支払い,受け継いだ財産を超える負債は負わないとする相続の方法です。
限定承認と時価
相続税の計算上は相続税評価額を用いますが,限定承認の場合の譲渡所得税の計算は時価を用いることに注意が必要です。
所得税法59条1号により、限定承認によって相続した不動産については、相続の時に、相続時の価額(時価)に相当する金額により譲渡があったものとみなして、相続人が譲渡所得税を納めることになります。
また,限定承認の場合は、相続した不動産を売却しなくても、売却した場合と同様に譲渡所得税を納める必要がありますが,この場合の譲渡所得税は、相続財産の限度で支払えばよいことになります。
相続において限定承認を行った場合など税務上時価が必要とされるケースにおいて,その全ての場合に鑑定評価を行う必要はありませんが,何らかの方法で客観的な時価を把握しておくことは,申告及び税務調査の際の説明資料として重要となります。