アパホテルと収益還元法

2017-06-23

先日、アパホテルの元谷芙美子さんが書かれた「不動産は買いたい時に買ってはいけない」という記事を読みました。今期の経常利益率が30%強とのこと、同族会社であることも理由でしょうが、ものすごい利益率ですね。

現在は超低金利であり、これから上がろうとする今が投資のタイミング、不動産はタイミングを買うのが重要だと書かれています。ホテル経営をファンドとして捉えるなら、金利が安ければ全額借り入れて返済しても家賃収入が多くなる。アジアの主要都市と比較しても東京の地価、特に都心の超一等地の地価は安いとのことです。

東京など大都市の地価は、金融緩和の影響で上昇を続け、バブルの傾向が見られるとの意見が出始めました。アパホテルのような世界から日本をみるという視点をもつと、地価の安い今、積極的な投資行動に出る時期だと判断されるのだと思います。

元谷社長は日本の不動産の価格のことを書かれていますが、元谷社長は今までの日本の主要な評価方法である原価法(不動産の再調達原価にて評価する方法)ではなく、収益還元法(不動産の収益性を重視して評価する方法)を重視して判断されていると思います。元谷社長は、バブル期、収益還元法による価格が世界の4.5倍割高になっており、一気に撤退したそうです。

収益還元法、不動産鑑定評価基準には、「~なお、市場における土地取引価格の上昇が著しいときは、その価格収益価格との乖離が増大するものであるので、先走りがちな取引価格に対する有力な験証手段として、この手法が活用されるべきである。」と書かれています。もちろん、ホテルのような投資物件は収益還元法を重視して価格決定がなされるべきですが、利回りインデックス等が整備されていない日本では、原価法も勘案しながら価格を決めることが多いです。適正な鑑定評価を行うためにも、国が主導して投資利回り等のインデックスの整備をして欲しいと思います。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」