Archive for the ‘不動産の価格’ Category

訳あり不動産の価格

2024-07-09

事件や殺人などがあった不動産、所謂事故物件の鑑定評価額ですが、忌み物件であり市場性が著しく劣ることから実勢価格より大幅に安い価格になります。対象となる不動産によっても異なりますが、減価率は50%程度になることが多いです。

先日、建ぺい率オーバー、接面私道の長さオーバー、接面長さ(2m)未満を理由とした訳ありの不動産の価格について書かれた記事を見ました。全て再建築不可の物件になります。ちなみに建ぺい率オーバー、接面私道の長さオーバーの不動産実勢価格の50%減価、接面長さ未満の不動産は約40%減価の売り出し価格だそうです。

今回のケースはあくまで売り出し価格ではありますが、おそらく成約価格は売り出し価格に近い価格になることが予想されます。

最近、新築不動産の価格上昇に伴い注目が集まってきた訳あり不動産建物の修繕・維持により長期間居住が可能であれば、お買い得な不動産かもしれません。

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再建築不可の不動産の価格

2024-07-08

再建築不可の不動産とは、対象土地上の建物が建てられた当時は合法であったものの、その後、建築基準法上、再建築が認められないものをいい、接面道路が建築基準法上の道路でなかったり、道路に接面する長さが2m未満だったりすることが多いです。

先日、東京都内にある狭隘道路に接面する再建築不可物件を1100万円で購入、との記事を見ました。内訳は土地建物700万円、リフォーム代400万円、建物価値はゼロ円と推測すると、14坪の土地単価は50万円となります。再建築不可でこの価格は高く感じますが、東京都内なら破格なのかもしれません。

再建築不可物件を賃料徴収を目的とした投資目的で購入する投資家もいるとのことですが、このような物件は建物の老朽化が進んでいるケースが多く、投資採算性の判断は慎重に行う必要がありそうです。

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築年を経た建物の鑑定評価

2024-06-24

建物の鑑定評価額は、価格時点における再調達原価から減価修正(耐用年数に基ずく方法、観察減価法)を行い試算されますが、特に築年を経た建物の鑑定評価の場合、鑑定評価主体の判断で異なる結果になることがあります。

私は建物の鑑定評価を行う場合、残存価値を考慮しないのですが、税法に倣って残存価値を考慮した鑑定評価書を見ることもあります。

また、私は耐用年数に基ずく方法によって十分に減価された場合、観察減価法を考慮しないことが多いです。

老朽化や陳腐化が激しく、取り壊しを最有効とする場合は土地価格から解体撤去費を控除して鑑定評価額を求めますが、修繕維持がなされている場合などで経済的価値が残っている場合は何等かの価値を付けることが多いです。

先日、市保有の解体予定の倉庫建物及び土地を100万円で売却したのは違法、との記事を見ました。最低売却価格は64万円、土地価格から解体費用を引いた価格だそうです。ちなみに鑑定評価によると、土地建物価格は1630万円、評価主体は建物の継続利用を前提に鑑定評価を行ったことになります。

このようなケースに私も遭遇したことがあります。依頼者は解体を前提とした価格を考えていることが多いのですが、継続利用が可能と判断される場合は安易に取り壊し最有効を適用することはできないので、その旨を説明することになります。

建物の鑑定評価は、不動産の鑑定評価の中でも問題になるケースが意外と多いと感じています。

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立退料の鑑定評価

2024-06-20

老朽化ビルなどの建て替えの際、入居者や店子の立ち退きが問題になることがあります。入居者や店子は立ち退きに反対することが殆どなので、建て替えを考えている所有者は、立退料を提示して退去を促すことになります。

立退料の鑑定評価は、移転費用(次の住居や店舗などの入居に掛かる費用+引っ越し費用)、店舗などの場合はそれに加えて営業補償やなどを考慮して立退料を算定することになります。

立退料の鑑定評価は個別性が強く、特に依頼者が所有者か店子かで入手できる資料も異なり、作業量が違ってきます。

先日、富山県の公営住宅の1階にある店子の立退料の裁判についての記事を見ました。立退料1000万円の提示に対し、店子は1900万円を求めていました。

判決は立退料として1014万円、引き替えに建物の明け渡しを命じ、市の提示した立退料をほぼ認める判決結果となりました。

今回は他の店舗への補償が終了した後の争いであり、ある程度結果が予想された裁判だったのでは、と思います。

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幅1.8mの狭小住宅

2024-06-19

都心部の地価や建築費の高騰により急速に増えてきた狭小戸建住宅、中には延面積が60㎡以下の見られるようになりました。

先日、アメリカの首都ワシントンD.C.に、一番狭いところの幅た1.8m(約1間)の住宅という記事を見ました。敷地は約65㎡、かって私道だった土地とのことで、建物は長細い帯状地に建っているようです。

気になる価格ですが、売り出し価格は約80万ドル、現在は値下げして約57万ドル(約8千9800万円)だそうです。

狭小住宅は物を極力持たないことで快適な生活ができるとの意見もありますが、生活スタイルは戸建住宅よりもマンションに近いイメージがあります。

日本でも今後ますます増えるであろう狭小戸建住宅、物価上昇が続くアメリカでも増えていく予感がします。

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擁壁のある土地の鑑定評価

2024-06-17

擁壁のある土地鑑定評価する場合、その擁壁の状態と確認し調査することになりますが、既存の擁壁が使用可能か否かで鑑定評価額が大きく変わることになります。

既存の擁壁が古く、クラックや反り、水抜き穴が不備などの場合、既存の擁壁は撤去し打ち直すことになりますが、擁壁の高さや長さ、隣接地の状態のよっては多額の費用が必要となります。

先日、野面積みで擁壁を造る職人の方の記事を見ました。とても美しく積まれていましたが、現在でも野面積みの擁壁が新設されていると知り驚きました。

現在はコンクリート擁壁、間知ブロック擁壁が代表的であり、間知石や野面の擁壁は新設では殆ど見かけなくなりました。

野面積みの既存擁壁を見かけなくなったのは、熟練の職人がいなくなったことに加えて、耐震性の基準が厳しくなったからだと思料されます。

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特定の用途に供された不動産の価格

2024-06-14

不動産の鑑定評価を行って求める価格は、通常、正常価格であり、正常価格は一般的な市場で売買される価格、すなわち時価(実勢価格)となります。

このようなことを前提とすると、特定の用途に供された特殊な不動産は売買が難しく、鑑定評価額も低めに決定されることが多いです。

先日、京都市の出先機関の土地建物の売却が難航している、との記事を見ました。場所は観光客で賑わう東山区にあり、立地的には一等地とされています。

問題は、建物内にある職員用のお風呂と駐車場地下にある巨大な給水槽の存在です。建物は特殊な配置となっており、特に給水槽は売却不可とのこと。買い手が取り壊し再建築する際の設計に制限が掛かることになり、市場性は大きく劣ることになります。

今回のようなケースは名古屋でも見られ、当初は土地建物一括を売り手が希望しても、最後、更地を前提として売買されることが多い印象です。

ちなみに地下の給水槽は売却不可とのこと。駐車場部分は一部地上権の設定された土地として売買するのでしょうか?地上権の内容によっては、賃料徴収獲得も目的とする投資家が購入するかもしれません。

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駅近の目安は?

2024-06-12

不動産鑑定評価の仕事していて、最近、不動産の二極化の傾向がますます強まっていると感じます。私の住んでいる名古屋市名東区でも、地下鉄東山線沿線、その中でも人気のある星ヶ丘駅、一社駅、藤が丘駅の駅近はびっくりするほどの高値での取引が見れら、郊外、特に最寄り駅までバスを使用する圏域は値頃感があり、価格も横ばい傾向に感じます。

先日、駅近の定義は徒歩5分以内、と書かれた記事を見ました。昔は徒歩15分以内であれば十分徒歩圏でしたが、最近は10分を超えると競争力が落ちる印象があります。

私は名東区内の同じ町内で引っ越しをしたのですが、駅徒歩約8分から約13分と遠くなりました。今は慣れましたが、当初、徒歩10分超の上、歩く時間が5分長くなったこと、辛く感じました。

ちなみにこの徒歩圏の定義も地域差があり、春日井市に精通している不動産鑑定士の方の話では、春日井市は徒歩20分でも十分徒歩圏とのことです。

ますます短くなる駅近の目安、日本人が忙しくなったのか、体力が無くなったのか分かりませんが、駅近物件が好まれる傾向はますます進んでいくと思われます。

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景観権のお話

2024-06-10

最近、タワーマンションなどで夜景を楽しむことができることを売りにするものが多くなりましたが、これも景観権の一種と言えると思います。

このような景観権は、風景を楽しむことができる権利であり、当然、遮るものがあればその価値が無くったり半減してしまいます。

但し、このような景観権そのものを価格で表すことは難しく、景観権の阻害を理由に補償を求めても認められないことが殆どだと思います。

先日、東京で完成間近のマンションが解体される、との記事を見ました。富士山の眺望や日照阻害を理由に反対運動が起きていたそうです。

ちなみにこのマンションは10階建て、戸数は18戸と規模は大きくはなく、周辺住民は富士山が見える眺望の中にマンションが入ることを嫌がったようです。

マンションの建設計画が持ち上がると、周辺住民からの反対運動が起こることは多いのですが、完成間近での解体は稀なケースだと思います。

マンション建設が続く昨今、今回のようなケースが続くのか、注視したいと思います。

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築70年の木造住宅が3億円

2024-06-09

日本でも土地や建築資材、人件費などの高騰により住宅の価格上昇が続いていますが、激しいインフレの続くアメリカの住宅事情はさらに厳しいものになっているようです。

先日、アメリカ・カリフォルニア州のある街に建つ普通の家の売り出し価格が約3億円、との記事を見ました。この家は築約70年の木造住宅で、広さ105平米、寝室は3つと日本にある標準的な戸建て住宅並みですが、驚きの価格となっています。

ちなみにこの住宅が建つ街はシリコンバレー発祥の地として知られ、この3億円という価格も業界内では納得済とのことです。

「夢のマイホーム」という言葉がありますが、日本でも多くの庶民が家をもつことが夢で終わりつつある状況の中、既にアメリカでは家を持つことがアメリカン・ドリームの実現なのかもしれません。

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