Archive for the ‘不動産の価格’ Category

瑕疵物件の鑑定評価額

2020-07-20

不動産の瑕疵物件(自殺、殺人事件、孤独死等があった不動産)の鑑定評価を行う場合があります。このような忌み物件は、通常、市場性が落ちることから減価することになりますが、減価額が問題となります。

一般的に、人の死があった物件が該当することになりますが、その程度、残忍な殺人事件があれば通常買い手はつかず、建物は取り壊し、土地も相当に減価が生ずることになります。最近増えている孤独死ですが、遺体の損傷が激しいなどの事情がなければ減価なし、又は故人の生活の面影を完全に消す程度のリフォーム代+αの減価になると考えられます。

私も過去、瑕疵物件に遭遇したことがありますが、あるマンションで事故死と自殺、親子で二人死亡した不動産がありました。売買目的でしたが、後で聞いたところ、買い手があったそうです。価格は事故物件にしては若干高めに感じました。

このような事故物件の鑑定評価、心理的に辛く、故人のご冥福を祈りながら評価しています。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

不動産鑑定評価の積算価格

2020-07-19

不動産の鑑定評価を行う際もとめる不動産の価格には、主に、積算価格(原価法:不動産の再調達原価より価格を求める方法)、比準価格(取引事例比較法:不動産の市場性に着目して価格を求める方法)、収益価格(収益還元法:不動産の収益性に着目して価格を求める方法)があります。

その中でも積算価格は、不動産の再調達原価、すなわち費用性に着目して価格を求める方法であり、対象不動産土地建物である場合、必ず試算する重要な手法になります。

昨日、投資判断に基準で積算価格も重視してみえる投資家の方について書きました。この方は、土地は路線価から求め、総額から先に求めた土地価格を控除して建物価格を求めていると思います。但し、都心の商業地などでは路線価が地価の上昇に追い付いていない、また、地方などでは路線価が地価の下落に追い付いていない場合があり、必ずしも路線価が実勢価格を反映していないことに注意は必要だと感じました。

このような配分法(総額から土地又は建物価格を控除して価格を求める方法)は、私も利回りを求める場合などで多用していますが、土地価格は周辺取引事例価格、建物価格は構造、経過年数などから妥当であるかの検証を加えています。

路線価は一般的に、実勢価格の8掛けと言われており、相場価格を調べる際にはとても便利なものですが、投資物件など高額な取引の場合、求められた価格を慎重に判断することが必要だと思います。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

投資家が不動産を選ぶ条件

2020-07-18

賃貸マンションなどの収益物件からの家賃収入、いわゆる不労所得による生活を夢見る人は多いですが、上手くいっている人は少ないものです。上手くいかない理由は、まず、収益性の高いよい物件を選ぶ眼がないことですが、それ以外でも賃貸経営のノウハウがないことも理由だと思います。

先日、ネットで家賃収入11億円という税理士さんが書いた記事を見ました。シンプルな物件選びの基準を持ってみえて、私もなるほど、と思いました。

この方は、全国的な規模で不動産投資を行っていると察しましたが、人口の増えている地域の物件、特に東京を中心に投資を行っていました。以前、人口の少ない地域を中心に不動産投資を行っている人の本を読みましたが、この税理士さんは正統派の不動産投資だと思います。

また、よく言われる駅距離ですが、東京都内で徒歩15分以内、郊外で10分以内が限界だそうです。やはり東京だからでしょうか、名古屋だと徒歩10分を超えると急に競争力が落ちる印象があります。

あと、積算価格を重視して物件を見極めておられました。積算価格は、土地と建物の価格の和から構成されますが、融資の関係から土地価格(面積)割合の高い物件がよいとのお考えです。収益価格は土地建物一体で鑑定評価額がでますので、積算価格による土地建物割合も考慮し慎重な判断をしているのだと思います。

収益不動産の鑑定評価は作業量や判断を要する箇所が多く、難しい評価になることが多いのですが、やりがいもあり私は得意としています。いつかこのような投資家の方とお会いして、一緒にお仕事できたらと思います。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

都心の商業地の価格

2020-07-17

都心の商業地の価格が高いのは、繁華性や駅距離もありますが、容積率と前面道路の幅員などが優れ、高層マンションや事務所ビルなど収益性の高い建物が建てられることが理由です。さらに最寄り駅から近かったり、土地の形状、規模などがよいと非常な高値で取引されています。

特に最近、そのような土地は訪日外国人向けのホテルが多く建てられ、名古屋市でも沢山のホテルが建ち並ぶようになりました。何でも稼働率は8割以上、収益性も高く今後の需要も見込まれると読んだのか、かってはマンション適地という言葉が流行りましたが、ホテル用地との言葉も一般的になりました。

このホテルですが、今回の新型コロナウィルス感染症の影響で、訪日外国人が訪れなくなったため、ホテル建設も中止しているとの記事を見ました。もし、この傾向が長期に及び場合、都心の地価への影響はどうなるでしょうか?

マンションや事務所ビルの利用に変わられると思いますが、収益性の高さから驚く高値で取引されていたホテル需要がなくなる場合、商業地の地価の高騰も落ち着いてくのではないかと思います。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

築約170年の古民家の価格

2020-07-16

先日、古民家の鑑定評価額について書きましたが、先日、ネットで築173年の古民家の売り価格が1990万円との記事を見ました。

場所は青森県弘前市、広さは693坪(2290平米)、建物は6LDKの古民家ですが、フルリフォームされており、買い手は手を入れることなく住めるそうです。

ちなみに建物内には、売り主の社長さんが集めたアンティーク家具などの調度品も置かれており、買い主にそのまま譲りたいとのことです。

この古民家が高いか安いかは、人によるかと思いますが、ここまでのリフォームにかかる費用と調度品の価格、そして歴史的価値を考えると、価値のわかる方には安い買い物なのかもしれません。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

新型コロナウィルス蔓延による不動産価格への影響

2020-07-15

現在、少し落ち着いてきた感はありますが、今回の新型コロナウィルス蔓延の経済への影響は甚大なものがありました。特に、営業自粛を余儀なくされた商業店舗の売り上げ減の影響は大きく、廃業若しくは賃料の値下げ要求が相次いだとの声も聞きました。

一方、住宅地ですが先行きの不透明感から取引自体減っており、特に一時取得者層の給与等、購入及び返済資金の見通しが立たないケースが多く、買い控えが起きているようです。

今後の不動産価格ですが、新型コロナウィルス蔓延の第二波の規模にもよると思いますが、第一波のような大規模な営業自粛が要請されるような事態になれば、商業地の価格は大きく下落することが予想されます。また、金融機関の融資姿勢は厳しくなることが予想され、体力のなくなった企業が人減らしに走るような事態になった場合、住宅地の価格も下がるものと予想されます。

これらは全て私の予想ですが、経済情勢と密接に結びついている不動産の価格、予断を許さない状況であることは間違いなさそうです。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

お寺の鑑定評価額

2020-07-14

先日、ネットでお寺を買う富裕層が増えている、との記事を見ました。お寺は全国に約7万4千件程、その内住職のいない空き寺は1万~2万件だそうです。かなりの数ですが、人口減及び檀家の高齢化などでお寺の経営も楽ではないようです。

そのお寺を買うにあたっての価格ですが、お寺を鑑定評価する場合、宗教施設として継続使用するのか、他の用途(簡易宿泊所や合宿所など)に利用するかで価格の種類が違ってきます。前者の場合は特殊価格(一般的に「市場性を有しない」不動産経済価値を表す価格)、後者の場合には通常の市場価値を有する価格、正常価格を求めることになります。今回のようなビジネス目的の売買の場合は、正常価格として鑑定評価額を決定することになると思います。

お寺の鑑定評価は私も遭遇したことはありませんが、以前、境内地(お寺の境内の土地の一部)を鑑定評価したことはあります。そこはとても大きなお寺の一部で、本堂などの修繕を行う大工さんなどの宿舎として使われていた土地でした。また、知り合いの不動産鑑定士さんは、実際のお城を鑑定評価したそうです。

お寺を利用したビジネスモデル、まだ普及していませんが今後増えていくかもしれません。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

ある無人島の価格

2020-07-13

昨日は山の価格のことを書きましたが、今日は無人島の価格のお話しです。少し前ですが、ある実業家の方が広さ5万坪の無人島を8500万円で購入した記事を見ました。場所は九州、電気のみ通っているとのことでした。

この方はリタイヤ後、個人的に楽しむために購入したそうです。これだけの広さがあれば、相模湾の初島のようにリゾートとして使用できると思います。

現在は、井戸を掘られて水は大丈夫のようです。自ら島を開発する苦労も全てが楽しみとのこと、素晴らしい方ですね。

ビジネスマン、実業家として忙しく生きてみえた島のオーナー、リタイヤしても力いっぱい生きてみえますね。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

山の鑑定評価額

2020-07-12

山の鑑定評価を行う際は、取引事例比較法(比準価格)と収益還元法(林地希望価方式・収益価格)を求めて鑑定評価額を決定することになります。但し、収益価格は収益性から価格を求める手法であり、1.その土地(山)の立木の種類(檜、赤松等)、2.傾斜度や伐採した際に運搬できる道路の有無、によっては十分な収益を確保することが難しく、収益価格はマイナスになることが多いと思われます。

先日、ある芸能人の方が、群馬県にキャンプ専用の山を購入したとの記事をみました。場所は都心から3時間以内、広さは455坪(約1500㎡)、プライベートのキャンプ場としては手ごろな広さだと思います。気になる価格は104万6000円、本当にキャンプの好きな方なら手の届く範囲だと思います。ちなみにこの土地は水道、電気、ガスはなく、固定資産税も380円とのことです。

但し、山は手を入れないと荒れていくので、固定資産税以外の費用も少しはかかるかな、とは思いますが、キャンプが大好きとのこと、有意義な買い物だったのではないでしょうか。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

東京都心の地価に思うこと

2020-07-11

今回の新型コロナウィルス蔓延の影響及びそれに伴う東京オリンピックの延期、中止の可能性により東京都心の地価の先が読めない状況です。

先日、経済評論家の森永卓郎氏が書かれた東京都心の地価についての記事を読みました。東京都心の地価は、東京オリンピックの前に大暴落を起こすとの予想です。森永氏は、収益性の観点から都心の地価はバブルだ、とのお考えのようです。

バブル経済崩壊の言葉のもととなった「バブル」とは、日本語で「泡」、実態無く膨らんだものが、最後弾けて終わったという意味で的を得た表現だったと思います。

森永氏はインカムゲインとキャピタルゲインの言葉を使って説明しておられましたが、記事で興味深かったのは、

1.今回国税庁から発表された相続税路線価の最高価格地、銀座5丁目ですが、約坪1億5154万円、バブルのピークだった1992年が坪1億2045万円、地価はバブル期を超えている。

2.東京都心の物件は、表面利回りが3%を下回っているものが沢山あるが、5%の利回りを確保しておきたい。

特に2.ですが、表面利回りが3%ということは、実質利回りは当然それ以下になりますから、物件によっては収支がマイナスになってしまいます。それでも買い手が付くということは、地価の上昇、すなわちキャピタルゲインを狙っての不動産投資となってしまい、地価が下落に転じた時、前回のバブル崩壊と同じ結果となってしまいます。

実際、将来の地価動向は誰にもわかりませんが、バブル崩壊の過去を参考に、慎重に不動産の動向を見極めることが必要になると思います。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

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