Archive for the ‘特殊な不動産’ Category

鑑定評価と地歴調査のお話

2020-08-18

先日、ネットで江戸時代の処刑場跡地に建つホテルに霊が出るとの記事を見ました。霊感の強い人には成仏できなかった霊が見えたそうです。

不動産の鑑定評価を行う際、対象不動産とその周辺の地歴調査を行います。その際、資料として閉鎖登記簿、過去地図、必要な場合には過去の航空写真や過去の地形図などを使用して、地歴を調べます。但し、資料の収集には限界があるので、過去地図のある戦後以降の地歴を把握することが限界の場合が多いです。かなり前、ある地方で聞き取り調査をした際、対象不動産が屠殺場だったことがありました。山間の昼間でも暗い土地で、そこに向かう細い道は、牛や馬とそれを引く人が通れる広さにしたそうです。

現在は、名古屋でも江戸時代の地図などを見ることは可能なので、対象不動産がその当時どのような用途で使われていたかは知ることはある程度できますが、その当時の用途を鑑定評価額に反映させることはなく、また、あまり意味のないことだと思います。

もちろん、前記の屠殺場跡地は土も汚れていますし、市場性が著しく劣ることから相当の減価が発生しました。売却目的の鑑定評価でしたが、結局売れなかったと記憶しています。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

地価40億円の土地と再開発のお話

2020-08-14

大規模再開発が続く東京で、今年2月に新たな再開発計画が竣工しました。場所は東京の大手町1丁目、周辺の土地の価格は地価公示価格で1坪訳9091万円だそうです。

その開発計画ですが、平将門の首塚を残す形で計画されているそうです。何でも、過去、このような開発計画が起こる度に事故が多発し、一部は強化ガラスで保護されています。ちなみに、その首塚の広さは約44坪、公示価格ベースで40億円強になります。

今回のような大規模な再開発の場合、期間も長期に及びますし、工事期間及び開業後の安全を考慮したものではないかと考えられます。

このような畏敬の念から残されているものとして、今回の首塚の外、ご神木があげられます。大阪や名古屋でも、ご神木を残す形で道路の整備を行った場所があります。

そういえば、リニモ新幹線の工事に伴い移転されることが決まった名古屋市中村区の椿神社ですが、ご神木を伐採する業者が決まったと聞いたことがあります。神社の移設の際には丁重にお祀りして、無事に工事が終わることを祈っています。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

部屋の間取りと不動産価格の関係

2020-08-13

先日、ネットでおかしな間取りについて書かれた記事を見ました。お風呂やトイレの入り口の前に洗濯機置き場があったり、幅約90cmの4畳の廊下の部屋があったり、2.5畳の三角形の部屋だったり・・、家の形状から苦肉の設計だったのでしょうか。

建物がこのような特殊の間取りの場合、当然、市場性は劣ることになり不動産価格は安くなります。リフォームで修正できるのであれば、その分の費用+アルファが減価額の目安になると思います。

また、家族向けの建物の場合、浴室やトイレは必要として、LDKと個室(寝室)の数と広さはチェックポイントになると思います。なので、一般的なエンドユーザーを需要者とする建売住宅の間取りは、汎用性の高い使いやすい設計にすることが多いです。

不動産鑑定評価をしていて、前記のような特殊な間取りに遭遇したことはありませんが、思わず驚くような間取りを見てみたいと思いました。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

30年前の遺体が発見された不動産の鑑定評価

2020-08-12

フランスのパリで、競売により落札された不動産の地下室で30年前の遺体が発見された、との記事をみました。落札価格は3510万ユーロ(約44億円)、歴史的に重要な建物で、中庭や個人庭園を完備する高級住宅だそうです。

この競売を担当した弁護士の見解は、発見された遺体は30年前のものであり、案件に影響はない、とのことです。歴史的建物であり、18世紀半ば以降人が住んでいなかったことも考慮したのではないかと思います。

このような過去の遺体が発見された場合の不動産の鑑定評価ですが、居住用不動産あれば当然減価は発生すると思います。但し、死亡の原因(自殺か他殺かなど)によっても減価額は変わってきますし、不動産の用途が居住用ではなく、他の用途(博物館などの公共施設等)の場合は、減価なしの鑑定評価額になる可能性もあります。

減価額算定の一つの方法として、今後、地下室を使用しないことを前提に、閉鎖するための工事費を求めることも考えられると思います。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

新型コロナウィルス感染者の宿泊施設使用料

2020-08-09

先日、神奈川県が使用している新型コロナウィルス感染者の宿泊施設(ビジネスホテル)の使用料が2億8千6百万円とネット記事にでていました。期間は4月20日~8月31日、7日から31日までの25日間は原状回復期間だそうです。1日1室約4300円になります。

新しく借り上げる宿泊施設の借り上げ料は、1日当たり1室1万1千円、倍以上の金額になります。

この金額には、純粋な使用料だけではなく、今後の風評被害による損失額も含まれていると考えられますが、このような状況のもと、やむを得ない支出と考えられます。

新型コロナウィルス感染症の経済への影響、全く見通しが立たない状況となっています。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

建築確認がない不動産の鑑定評価

2020-08-05

不動産建物の売買の場合、通常は契約の際、権利証とともに建物に関する書類(確認済証や設計図書)を売り主から引き継ぐことになりますが、古い建物や転売(前の所有者が紛失してしまった)の場合、これらの建物書類がない場合があります。

このような建物鑑定評価を行う場合、書類の有無が鑑定評価額に影響を与えるかが問題となります。私も何度か書類のない建物評価に遭遇しましたが、建物がかなり古く価値ゼロであったため、減価は行いませんでした。対象建物が築浅物件で価値が残っている場合は、何等かの減価を行う必要があると思います。

もちろん、調査によって違法建築物であるとわかれば市場性減価、場合によっては適法な建物に戻す費用や除去費用を控除して鑑定評価額を求めることになります。

建物鑑定評価額は、確認済証はもちろん設計図書や請負契約書等書類の有無で精度が違ってきます。鑑定評価を行う際は、依頼者に可能な限り書類を準備して頂くようお願いしています。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

マイナスの不動産価格の内訳

2020-07-30

以前、越後湯沢のリゾートマンションの鑑定評価額が10万円というブログを書いたことがあります。需要よりも供給、圧倒的に売り圧力が強い市場では、新築購入価格に関わらず10万円という価格になってしまうようです。但し、実際、成約になった場合の価格は10万円以下、0円かもしれません。

先日、ネットで越後湯沢のリゾートマンションの所有者に、マイナス180万円で購入希望、とのダイレクトメールが届いた、との記事を見ました。ちなみにその金額の内訳は、修繕積立金・管理費の2年分(月額5万円)として120万円(滞納していると仮定)、室内の家具・家電類の撤去費用20万円、室内清掃費・設備修繕費20万円、不動産取得税・登録免許税30万円、合計190万円を不動産価格の10万円から控除して180万円だそうです。

このようなリゾートマンション、間取りにもよりますが小規模のものが多く、家具・家電類の撤去費用20万円と室内清掃費・設備修繕費20万円は高いと思います。但し、所有するだけで管理費として年間60万円かかるとすると、単純計算で3年で元はとれることになりますが。

このような買取業者は、主に中国人向けの販売を目的としてるようですが、短期で転売できる当てがあるのでしょうか。もし、これがビジネスとして成立するのであれば、越後湯沢にリゾートマンション価格も10万円よりは上がっていくものと思われます。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

特殊な不動産の鑑定評価

2020-07-27

不動産の鑑定評価における収益価格は、更地の場合、最有効使用を前提とした建物を想定し、その不動産から得られる純収益を土地と建物に配分、その土地部分の純収益に還元利回りを考慮して求めることになります(土地建物の純収益から一体の収益価格を求め、その価格から建物価格を控除して求める方法もあります。)。

対象不動産土地建物の場合は、土地建物一体が生み出す純収益から収益価格を求めるので、鑑定評価額も一体の価格になります。

その収益価格ですが、延べ面積に対する賃貸面積の割合が大きいほど収益は多くなりますから、当然、収益価格は高くなることになります。なので、賃貸に出すことを想定しない特殊な建物の場合、収益を生み出さない面積が大きくなりますし、また、借り手も限定されるため収益価格は低くなることが多いです。

先日、東京の三陽商会のビル売却の記事を見ました。売却額は約117億円(簿価50億円+売却益67億円)、広さは100坪強、自社ビル目的で設計されており、階段とエレベーターが複数設置されているそうです。

このような特殊なビルは、やはり需要が限られ市場性は劣ることが多いです。賃貸を想定して自社ビルを設計することはないと思いますが、やはり汎用性のある無難な設計の方が、収益に出す際は有利だと思いました。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

豊洲用地訴訟の鑑定評価額

2020-07-24

先日、東京都豊洲移転用地訴訟の東京地裁判決がでました。結果は、割高購入は認定したものの、土地の取得は不合理ではなく、住民敗訴でした。

今回、東京都の購入費(取得価格)が約578億円、裁判官は、正常価格は購入費から土壌汚染対策費を引いた額、取得価格は134億円高かったと認定しました。正常価格は約444億円、但し、取得価格との差額が3割程度なので不当な高値ではない、という判断のようです。

不動産の鑑定評価額の高値上限は3割程度まで、という指標と示した今回の判決、今後の用地買収における鑑定評価に影響を与えそうです。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

瑕疵物件の鑑定評価額

2020-07-20

不動産の瑕疵物件(自殺、殺人事件、孤独死等があった不動産)の鑑定評価を行う場合があります。このような忌み物件は、通常、市場性が落ちることから減価することになりますが、減価額が問題となります。

一般的に、人の死があった物件が該当することになりますが、その程度、残忍な殺人事件があれば通常買い手はつかず、建物は取り壊し、土地も相当に減価が生ずることになります。最近増えている孤独死ですが、遺体の損傷が激しいなどの事情がなければ減価なし、又は故人の生活の面影を完全に消す程度のリフォーム代+αの減価になると考えられます。

私も過去、瑕疵物件に遭遇したことがありますが、あるマンションで事故死と自殺、親子で二人死亡した不動産がありました。売買目的でしたが、後で聞いたところ、買い手があったそうです。価格は事故物件にしては若干高めに感じました。

このような事故物件の鑑定評価、心理的に辛く、故人のご冥福を祈りながら評価しています。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

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