Archive for the ‘特殊な土地の評価’ Category
異臭の不動産価格への影響
日照が制限されたり、騒音の酷い不動産の価格は減価が発生することになり、その減価額の算定が問題になります。日照ですと、日照が阻害される前後の日影図などを作成し、減価額を判定することが一般的です。騒音の場合も同様に、実際の騒音のデシベルを測り、許容される数値との比較から減価額を判定する方法が考えられます。
先日、ネットで異臭のするマンションの記事を見ました。豚骨等のラーメンのスープを大量に作っていたことが原因だったそうです。
このような場合はスープの作成を止めることで解決しますが、臭いを排除することができない場合、不動産の減価の合理的な算定は難しいと思います。このような不動産を鑑定評価する場合、財産評価基準などの数値や、過去の判例などを参考にして減価額を判断することになると思われます。
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土壌汚染地の鑑定評価
土地の鑑定評価を行う場合、閉鎖登記簿や過去地図、土壌汚染対策法の指定区域であるか否か、水質汚濁防止法における特定施設の届出がなされているか、などの地歴調査を行います。もちろん、専門業者が行った調査結果が記載されたエンジニアリングレポートが頂ければ確実ですが、そのようなことは稀なことになります。
土壌汚染地の鑑定評価は、汚染土の入れ替えに要する費用や地下水が汚染されている場合などは、再び汚染しないような処置を講ずる費用を土地の価格から控除することになりますが、汚染の程度などや広さなどによって処置費用が異なるため、とても難しい評価になります。
先日、富山市の市有地からヒ素が検出され、処理費用が2億円との記事を見ました。ヒ素は毒性が強く処理費用も高額になったと思われます。
この土地は民間企業に売却予定とのことですが、売却額はいくらだったのでしょうか?興味深く思いました。
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地下埋設物のある鑑定評価
土地の鑑定評価をする際、基礎杭がある等、外観から明らかに地下埋設物の存在を推測させる場合は少なく、その殆どが地中に存在していることになります。エンジニアリングレポートを頂けたり、聞き取り調査から地下埋設物の存在がわかるケースもありますが、鑑定評価においては過去地図や閉鎖登記簿、過去の航空写真などを頼りに地歴調査行います。
もちろん、依頼者の方から費用を頂ける場合はボーリング調査なども可能ですが、広い土地の場合にはその費用も膨大となってしまうという問題もあります。
先日、長野県の空き家解体中に地中よりコンクリート破砕機が出てきた、との記事をみました。当初は拳銃、筒状のダイナマイトの可能性があるとのことでした。
名古屋市でも、リニモの工事現場から不発弾が発見されたり何かと問題になる地下埋設物、後から発見されることも多く地下埋設物のある土地は不動産鑑定士泣かせの土地といえます。
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周辺隣地の不動産価格への影響2
不動産の価格形成に影響を与える要因、駅距離や道路幅員、接面方位、形状などがあげられますが、風水や風習など、客観的に把握することが難しい要因もあります。
火葬場や葬儀場など、忌み物件と呼ばれるものが近くにある場合、その不動産の価格が安くなるのが一般的ですが、警察署、消防署、病院の近くも避けた方が良い、との記事を見ました。これらはネガティブな気が集まる施設だからだそうです。神社仏閣は聖域であり、住居からあまり近くない方がよいそうです。
不動産鑑定の仕事を始めたころ、警察署の裏の土地の公売評価をしたことがあります。国道沿いの広大地でしたが、当初の鑑定評価額では売れず、再鑑定で相当値下げした記憶があります。不動産業者の方からのヒアリングでは、警察署の裏地であり売却は苦戦する、と聞いていましたが、想像以上でした。
風水や風習、長年伝わるにはやはり意味があり、決して無視はできないと改めて感じました。
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路線沿いの土地の鑑定評価
幅員が広く交通量の多い路線沿いの土地は、一般的に郊外であれば低層店舗、市街地で駅距離や容積率に優れた土地あれば店舗付きマンション、中心市街地であればオフィスビルとして利用されることが多いと思います。最近は中心市街地であっても高層マンション、コロナ禍前であればホテルになることも多いです。
路線沿いの土地、交通量や背後地に優れ、収益力のある地域であれば商業系施設として利用されることが多いですが、路線が衰退傾向にあったり、商業性、収益力に劣る地域になると、最近は分割されて戸建住宅になるケースも多く見られます。
このような土地を住宅地として鑑定評価するとなると、やはり騒音や振動、車庫の出し入れの容易性が劣ることから、背後の住宅地との比較で低めの鑑定評価額になることが多いです。
路線沿いの住宅地、騒音や振動に加えて、風水的にもよくないとの記事を見ました。風水を鑑定評価額決定の要因にすることは難しいですが、やはり住宅地として好ましくない土地は価格に織り込まれており、取引価格も低くなるように感じます。
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墓地の隣のマンション価格
墓地に近接する不動産は敬遠されるためか市場性が劣り、不動産の価格や賃料は安くなるのが一般的です。理由としては、墓地が人の死に関係する施設であることはもちろん、お線香の臭いやお供え物を物色するカラスによる被害、お彼岸などの渋滞をあげる方もいました。
私は昔、アパートを探したことがありましたが、候補物件の一つが覚王山墓地の近くで、駅からも近かったのですが、夜は真っ暗でした。家賃は相場より安く感じましたが、建物も古く入居は断念しました。
墓地の近くの物件のメリットとしては、価格や賃料の安さに加えて、静かであることをあげる人もいました。先程の覚王山墓地の近くのアパートも、とても静かな環境でした。
墓地の隣のマンション価格ですが、そのネット記事の中に、あるマンションが相場より1割安かった、と書かれていました。墓地の隣の不動産の鑑定評価を行う場合、市場性減価は考慮することになりますが、1割減という数字はある程度納得できると感じました。
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旗竿地の鑑定評価
旗竿地とは、宅地部分と路地状部分からなっている土地をいい、袋地(法律の観点では無道路地を指す言葉だそうです。)、敷地延長、敷延、延敷などと呼ばれることもあります。
旗竿地は前面道路から奥まったところに建物が建つことになるので、日照、通風や眺望などが一般的な土地より劣ることになるので、価格は安くなる傾向があります。また、最近は敷地に車を2台以上駐車できる土地が好まれ、縦列での駐車となることも敬遠される要因のようです。
旗竿地の鑑定評価は、私は主に土地価格比準表や坪田式、仲介査定で用いられる計算式にで減価率を試算し、不動産業者からのヒヤリング結果や実際の売買事例などから把握した減価率を比較検討して鑑定評価額を決定しています。今までの経験では、15%~20%程度の減価になることが多いです。
旗竿地ですが、建築基準法が施行される以前の古い旗竿地の場合、間口が1.8mの土地も多くあり、再建築が困難なケースがあることには注意が必要です。このような間口要件を満たさない土地の鑑定評価は、前記旗竿地とは違ったアプローチ、無道路地の鑑定評価に近い方法にて減価額を査定することになります。
なお、旗竿地のメリットとしては、価格が割安であることに加えて、奥まったところに建物があるので静かだ、との声を聴いたことがあります。近隣の音は住んでみると意外と気になるものなので、静かに生活したい人には良い買い物なのだと思います。
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暗渠を含む土地の鑑定評価
水路の存在は鑑定評価額に影響を与える要因であり、水路を介して道路に面している土地の場合、その水路の幅や専有許可の可否、水路に蓋をしてよいかの有無、占有料の有無、許可される蓋の長さなどによって土地の価格が変わります。
その水路の種類ですが、蓋のされた水路を暗渠、蓋のない水路を開渠といいます。また、道路には直接接しているものの、対象土地内に水路を含む土地の鑑定評価を行う場合もあります。その場合、その水路の位置や規模、対象土地の面積や形状などを考慮し、水路の存在が対象土地の有効利用に与える影響を判断して減価額を査定し、鑑定評価額を決定します。
先日、ネットで暗渠上に建てられた朽廃建物を自治体が取り壊すとの記事を見ました。記事によるとその土地と建物は未登記とのことですが、土地が公図に載っているのであれば未登記ではなくおそらく官地だと思います。不法占拠者による違法建築物である可能性が高いです。
建物が建築されたのは1958年頃、河川法に適用前とのことですが、公費を使っての解体とのこと、長年に渡って違法状態を放置してきた自治体の責任が問われます。
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三角形の土地の鑑定評価
土地の形状は不動産の価格に与える影響が大きく、特に三角形の土地は有効利用率が低く、一般的な整形地よりも土地の価格は大きく下がることになります。形状による減価率ですが、土地の面積が一般的な建物建築が可能な規模である場合と建物建築が困難又は不可の場合とでは異なり、当然、後者の方が大きな減価となります。また、風水的にも三角形の土地は敬遠されることが多く、市場性減価を考慮する必要があると思います。
このような不整形地を鑑定評価する場合、その減価率の判定が重要となります。私は土地価格比準表などの減価率数値を検討し、有効利用率からの判定、坪田式による査定、仲介査定基準などの計算式を複数使用して鑑定評価額を求めています。
先日、ネットに三角形の土地に自宅を建てた建築家の方の記事が出ていました。建築家の方が設計した家らしく、随所に工夫が見られ素敵な家になっていました。
これからのマイホーム、今回のケースのように土地の価格を抑えて建物にお金をかけるスタイルが流行っていくかもしれません。
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地下埋設物のある土地の鑑定評価
地中に埋まっている地下埋設物ですが、地下の正確な状態は掘ってみなければわかりませんし、広い土地であれば、なおさら掘削調査は困難となります。また、埋設物の種類も、解体さらた建物の基礎であったり、コンクリートガラであったり、電気や水を流す導管である場合もあります(埋蔵文化財も地下埋設物の一つになります。)
このような土地を鑑定評価する場合、聞き取り調査はもちろん、閉鎖登記簿、過去地図、過去の航空写真などで地歴調査を行いますが、詳細な調査が必要な場合は、専門業者によるエンジニアリングレポートを使用することもあります。不動産の鑑定評価においては、土地の価格からその撤去費用を積算し控除することになります。
先日、ネットにNHKが購入した土地にコンクリート片が残されており、売り主の滋賀県に約8100万円の損害賠償を求める訴えを起こしたとの記事が出ていました。8100万円の内訳は、撤去費用と工期が遅れた分の損害だそうです。更地引き渡しの条件であったたのことであり、NHKの主張は認められる可能性が高いと思われます。
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