Archive for the ‘鑑定評価の話’ Category

遊水地が近くにある土地

2024-07-24

異常気象による自然災害が多発するようになった昨今、土地の安全性に対する意識も高まってきました。

地盤の固い土地は地震に強く、高台は大雨に強く、内陸は津波に強いというのが通説ですが、このような条件を満たす土地は需要も多く、地価も高いエリアが多いです。

先日、住んではいけない場所、という記事で遊水地のあった土地、と書かれていました。不動産の鑑定評価をしていると遊水地のある土地に遭遇することは意外と多く、名古屋圏でも郊外や遊水地を設置している大工場もあります。

大雨が降った際、排水溝を通じて河川に雨水を流すのですが、一度に大量の雨水を処理できなかった場合に一時的に雨水を貯めておく池であり、そのエリアは雨水による浸水リスクが高いということになります。

この記事によると、遊水地は水があふれ出ることが前提として造られているとのこと、遊水地が造られた当時は周辺は農地であったと考えられ、人的な被害も少なかったと思料されます。

私も以前、鑑定評価の仕事で遊水地付近の土地の調査をしたことがありますが、東海豪雨で住宅が床下浸水の被害を受けていました。想定外の大雨で雨水が処理できなかったようです。

最近、災害リスクのある地域に住宅が建てられているケースに遭遇しますが、災害はいつ起こるか分かりません。少しでも安全な土地を選ぶことが大切だと思います。

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築年を経た建物の鑑定評価

2024-06-24

建物の鑑定評価額は、価格時点における再調達原価から減価修正(耐用年数に基ずく方法、観察減価法)を行い試算されますが、特に築年を経た建物の鑑定評価の場合、鑑定評価主体の判断で異なる結果になることがあります。

私は建物の鑑定評価を行う場合、残存価値を考慮しないのですが、税法に倣って残存価値を考慮した鑑定評価書を見ることもあります。

また、私は耐用年数に基ずく方法によって十分に減価された場合、観察減価法を考慮しないことが多いです。

老朽化や陳腐化が激しく、取り壊しを最有効とする場合は土地価格から解体撤去費を控除して鑑定評価額を求めますが、修繕維持がなされている場合などで経済的価値が残っている場合は何等かの価値を付けることが多いです。

先日、市保有の解体予定の倉庫建物及び土地を100万円で売却したのは違法、との記事を見ました。最低売却価格は64万円、土地価格から解体費用を引いた価格だそうです。ちなみに鑑定評価によると、土地建物価格は1630万円、評価主体は建物の継続利用を前提に鑑定評価を行ったことになります。

このようなケースに私も遭遇したことがあります。依頼者は解体を前提とした価格を考えていることが多いのですが、継続利用が可能と判断される場合は安易に取り壊し最有効を適用することはできないので、その旨を説明することになります。

建物の鑑定評価は、不動産の鑑定評価の中でも問題になるケースが意外と多いと感じています。

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擁壁のある土地の鑑定評価

2024-06-17

擁壁のある土地鑑定評価する場合、その擁壁の状態と確認し調査することになりますが、既存の擁壁が使用可能か否かで鑑定評価額が大きく変わることになります。

既存の擁壁が古く、クラックや反り、水抜き穴が不備などの場合、既存の擁壁は撤去し打ち直すことになりますが、擁壁の高さや長さ、隣接地の状態のよっては多額の費用が必要となります。

先日、野面積みで擁壁を造る職人の方の記事を見ました。とても美しく積まれていましたが、現在でも野面積みの擁壁が新設されていると知り驚きました。

現在はコンクリート擁壁、間知ブロック擁壁が代表的であり、間知石や野面の擁壁は新設では殆ど見かけなくなりました。

野面積みの既存擁壁を見かけなくなったのは、熟練の職人がいなくなったことに加えて、耐震性の基準が厳しくなったからだと思料されます。

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国登録有形文化財の鑑定評価

2024-06-03

国登録有形文化財は、国が建築物等の中でも歴史的・文化的価値のあるものとして指定するものですが、所有者が修繕・維持にかかる負担が大きく、手放すケースもあると聞いたことがあります。

先日、京都の学校法人が明治時代に建てられた国登録有形文化財とその土地を売却した、との記事を見ました。売却額は数十億円とのことです。

買い手である開発業者の方は、文化財としての価値を保つ方向で協議するとのことで、直ちに取壊しての開発は考えていないようです。

今回のような文化的価値のある不動産鑑定評価する場合、建物の価値をどう見るかがポイントになると思いますが、拝観料などが取れるような認知度のある寺社と違い、建物価格をつけることは難しいのでは、と思います。

日本の国力が衰退に入り、企業など法人の余力が無くなっており、今回のような国登録有形文化財の売却の話は増えてくると思われます。

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病院跡地の鑑定評価

2024-04-08

自治体が不足する財源を確保するため、老朽化した行政施設を統廃合し、不要となった不動産を売却する動きが加速しています。

その中でも公営の総合病院は、土地も広く立地によっては開発業者による需要が想定されることから、高額での売却を期待して強めの価格設定がされることが多いです。

一方、買い手である不動産業者は、当然、土地を安く仕入れたいですし、土壌汚染や心理的瑕疵(スティグマ)による市場性減価を考慮した価格を提示してくることになります。

このような病院跡地を鑑定評価する場合、土壌汚染に関しては、ボーリング調査により汚染の程度を調べ、除染や土の入れ替えに掛かる費用を土地の価格から控除することになりますが、スティグマについては評価主体の判断に委ねられることが多いです。

先日、東京で小学校が病院跡地に移転する計画に反対の声、との記事を見ました。土壌汚染による子供たちへの健康被害が心配、とのことです。

病院跡地の土地利用、土壌汚染は除染することが可能ですが、過去の歴史的経緯などを踏まえると、小学校への転用は簡単に進まないかもしれません。

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近隣不動産のお話

2024-03-15

自宅近隣にある店舗、例えばスーパーやコンビニエンスストアだと便利でよいという人もいれば、道路の混雑や風紀の点から敬遠する人もいます。

飲食店も場合も、焼肉屋さんなどの臭いのでるお店だと洗濯物を干すのも大変、と聞いたことがありますが、若い人でお酒が好きなので居酒屋の近くに住みたい、と言った人もいます。

飲食店が用途地域で建築可能な地域であれば、規制することは難しいのですが、先日、引っ越したら隣がヤギの飼育場だった、との記事を見ました。飼育場ということはある程度の数のヤギがいるのでしょうが、臭いも鳴き声もありますし、良好な住環境とは言い難いところがあります。

賃貸であれば他に引っ越すことも可能ですが、所有物件になると簡単に引っ越すことも難しく、争いになることも多いみたいです。

ちなみに私がヤギの飼育場の隣の土地鑑定評価した場合、やはり住環境などの項目で減価することになると思います。

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地中からがれきが見つかった土地

2023-12-22

がれきは解体された建物のコンクリート片などで、「がら」と言うこともあります。

先日、兵庫県の球場建設予定地の公園の地中から、大量のがれきが見つかった、との記事を見ました。その量は最大約1万8000トンと推定され、撤去費用は約8億円とのことです。

今回見つかったがれきは、戦時中に空襲で焼失した工場基礎と推定され、建物解体後、基礎をそのまま地中に埋めたものと思われます。

不動産鑑定評価で行う地歴調査では、過去地図や航空写真などを使用しますが、地図や航空写真で取得できるものは主に戦後のもので、土地から戦前や戦時中の埋設物が出てきた場合、不動産鑑定士はお手上げ状態になります。

このような埋設物の推定するため考えれるのは、周辺住民などの地元精通者からの聞き取り調査になりますが、その当時を知っている方の多くが鬼籍に入り、今後、このような聞き取り調査も難しくなると思われます。

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事故物件の鑑定評価

2023-09-14

忌み物件は事故物件の代表的なものであり、主に、人が亡くなるような事件のあった物件を指すことが多いです。

殺人や自殺などが起こると、その不動産の市場性は一気に落ちることになり、マンションなどの解体が難しい不動産の場合、半値以下になると思われます。

なので建物の解体が可能な場合は、事故物件は解体され更地化されることが多く、建物が使用可能であり、耐用年数が残っている場合であっても鑑定評価額更地価格から解体費を控除し、その価格からさらに市場性減価を行って決定されると思われます。

先日、歌舞伎俳優の市川猿之助さんの自宅の資産価値が10分の1、との記事を見ました。この10分の1という価格、瑕疵物件や極端な過小地など市場性の著しく低い物件価格の指標となることが多く、買い手が殆どない不動産の場合、市場価格の1割の価格となる場合もあります。

但し、今回の猿之助さんのご自宅の場合、東京目黒と立地もよく、買い手が付かないことは考えにくいので、売買される場合の価格は10分の1になることはないと思われます。

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不整形地の鑑定評価

2023-09-11

不整形地の鑑定評価は難しい評価の一つで、形状が同じであっても土地の規模が違う場合、減価額も違ってくることが多いです。

規模の小さい過小地の場合、元々、有効利用率が低い上に不整形により土地の利用が制限若しくは通常の使用が困難となると、減価は限りなく大きくなります。

一方、ある程度の規模のある面大地のような土地であれば、不整形であっても建物や駐車場敷地として利用することが可能となり、過小地の場合より減価率は小さくなります。

また、形状が悪くても乗入れ可能な間口を確保できる土地であるか否かも重要になります。

先日、ネットで変形地に物流倉庫を建てた記事が載っていましたが、需要増により物流倉庫適地は少なくなっており、苦肉の策だったようです。

都心の住宅地でも不整形過小地戸建住宅を建てるケースも増えており、今後、不整形地の有効利用を提案するコンサルタントが増えていくかもしれません。

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不整形地の鑑定評価

2023-08-08

土地の形状は有効利用の観点から長方形が望ましく、土地の価格も長方形を含む整形から離れる程安くなることになります。

このような形状の劣る不整形地の鑑定評価、減価を考慮して価格を決めることになりますが、私は計算式をいくつか使用したり、公的な格差率を考慮したりして決定しています。

複数求められた減価率を総合的に勘案して、最終的な減価率を決定するのですが、土地には個別性があり、土地の大きさ、建物想定や敷地への乗り入れの難易、地域的な市場性なども十分考慮して格差率を決定するようにしています。

不整形地の鑑定評価は難しい評価の一つではありますが、客観的な数値を求める方法もいくつか確率されており、手順を守れば的確な鑑定評価が可能となると考えています。

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