Archive for the ‘鑑定評価の話’ Category
事故物件の鑑定評価
忌み物件は事故物件の代表的なものであり、主に、人が亡くなるような事件のあった物件を指すことが多いです。
殺人や自殺などが起こると、その不動産の市場性は一気に落ちることになり、マンションなどの解体が難しい不動産の場合、半値以下になると思われます。
なので建物の解体が可能な場合は、事故物件は解体され更地化されることが多く、建物が使用可能であり、耐用年数が残っている場合であっても鑑定評価額は更地価格から解体費を控除し、その価格からさらに市場性減価を行って決定されると思われます。
先日、歌舞伎俳優の市川猿之助さんの自宅の資産価値が10分の1、との記事を見ました。この10分の1という価格、瑕疵物件や極端な過小地など市場性の著しく低い物件価格の指標となることが多く、買い手が殆どない不動産の場合、市場価格の1割の価格となる場合もあります。
但し、今回の猿之助さんのご自宅の場合、東京目黒と立地もよく、買い手が付かないことは考えにくいので、売買される場合の価格は10分の1になることはないと思われます。
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不整形地の鑑定評価
不整形地の鑑定評価は難しい評価の一つで、形状が同じであっても土地の規模が違う場合、減価額も違ってくることが多いです。
規模の小さい過小地の場合、元々、有効利用率が低い上に不整形により土地の利用が制限若しくは通常の使用が困難となると、減価は限りなく大きくなります。
一方、ある程度の規模のある面大地のような土地であれば、不整形であっても建物や駐車場敷地として利用することが可能となり、過小地の場合より減価率は小さくなります。
また、形状が悪くても乗入れ可能な間口を確保できる土地であるか否かも重要になります。
先日、ネットで変形地に物流倉庫を建てた記事が載っていましたが、需要増により物流倉庫適地は少なくなっており、苦肉の策だったようです。
都心の住宅地でも不整形の過小地に戸建住宅を建てるケースも増えており、今後、不整形地の有効利用を提案するコンサルタントが増えていくかもしれません。
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不整形地の鑑定評価
土地の形状は有効利用の観点から長方形が望ましく、土地の価格も長方形を含む整形から離れる程安くなることになります。
このような形状の劣る不整形地の鑑定評価、減価を考慮して価格を決めることになりますが、私は計算式をいくつか使用したり、公的な格差率を考慮したりして決定しています。
複数求められた減価率を総合的に勘案して、最終的な減価率を決定するのですが、土地には個別性があり、土地の大きさ、建物想定や敷地への乗り入れの難易、地域的な市場性なども十分考慮して格差率を決定するようにしています。
不整形地の鑑定評価は難しい評価の一つではありますが、客観的な数値を求める方法もいくつか確率されており、手順を守れば的確な鑑定評価が可能となると考えています。
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不動産鑑定評価を行う際の条件
不動産の鑑定評価を行う際、地域要因及び個別的要因について想定上の条件を付ける場合があります。例えば道路拡幅における用地買収の際、買収する土地の個別性(規模や形状など)が拡幅前より悪くなる場合など、買収地の所有者が事業によって不利にならないよう「事業の影響は考慮しない」、との条件を付けることが多いです。
但し、このような想定上の条件は、無条件で認められるものではなく、社会的に公平妥当なものである必要があります。
最近、大阪のIR予定地の賃料の鑑定評価がニュースになっていますが、その際の鑑定評価において、「IRを考慮外とする」との条件が付いていた、との記事を見ました。鑑定賃料が不当に安い、との批判がある中、この記事をみれば鑑定評価額が低めの試算値になった理由がわかります。
土地の新規地代を鑑定評価する際、その土地の利用方法、建物が堅固か非堅固か、収益物件か否か、その土地を利用してどの適度の収益が上がるのか、などを判断し、その土地の合理的使用に応じた賃料が試算されることになります。
なので、IRを考慮外として、埋め立て地の賃料の鑑定評価をどのように行ったのか、とても興味深く感じました。
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不動産鑑定評価書の作成
不動産鑑定評価書を作成し発行するためには、不動産鑑定士の試験に合格し、不動産鑑定士及び不動産鑑定業者の登録を行う必要があります。
不動産鑑定評価書は、単に試験に受かって士登録をすれば作成できるものではなく、合格後の実務修習、その後、実際に不動産評価の案件をこなすことが必要になってきます。
先日、無資格で不動産鑑定評価書を作成した人の裁判がありました。この方は無資格で不動産鑑定評価書を144通作成したそうです。無資格者とのことなので、公的評価は含まれないと思いますが、相当の数をこなしたものだと思います。
この方が作成された鑑定評価書が、比較的評価が安易な一般的な更地であったのか、複雑な案件であったかは不明ですが、無資格で鑑定評価書を作成しながらノウハウを身に着けていったのか、それとも内容が伴わないものであったのか、とても興味深く思いました。
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狭隘道路付の土地鑑定評価
狭隘道路(きょうあいどうろ)は、幅員が道路法上の道路幅員である4m未満の道路であり、建物等を建築するには敷地部分の一部を道路用地に提供する、いわゆるセットバックすることが必要になります。
セットバックについては、自治体によって様々で、セットバック部分を買収するところもあれば、寄付のみ受け付けるところもあります。また、準防火地域などの防火規制のある地域の場合、測量費等を補助する自治体もあるそうです。
このような狭隘道路付きの土地の場合、住宅地であればまず車等の通行が困難になることから幅員による減価を行い、提供することになるセットバック面積を敷地面積割合から試算した率で減価することになります(幅員による減価を強く見たりして、セットバック減価を考慮しないケースも考えられます。)。
また、地域内の標準的な街路の幅員が狭くても、地域によってはほぼセットバックが完了していたり、空き地や未利用地が多く車の通行に支障がないケースもあり、これらも十分に考慮して鑑定評価額を決定することが大切になります。
先日、国交省が狭隘道路付きの建築規制を市町村が緩和できるようにする、との記事を見ましたが、このような地域内の建物の建て替えを進んでいくのか注視したいと思います。
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鑑定評価額を上回る売買価格
不動産の鑑定評価によって求める鑑定評価額は、特別な場合を除き、市場価格(実勢価格)=正常価格=時価を求めることになっています。
但し、不動産を実際に売買を行う場合など、時価と鑑定評価額との乖離が発生する時があり、不動産価格の上昇、下落が激しいときなど、鑑定評価額が実勢価格に追い付かない場合などがあげられます。
また、投資物件などの鑑定評価を行う場合、将来の予測などを慎重に判断した結果、保守的な価格が求められ、実勢価格を下回ることもあります。
先日、奈良県の市が公用地を購入した際、その購入価格が鑑定評価額の3倍超であった、との記事を見ました。その経緯は不明ですが、地方の都市で、実勢価格が鑑定評価額の3倍というのはやはり乖離が大きすぎると思います。
鑑定評価額は国土交通省が定めた鑑定評価基準に則って求められた価格であり、手順を守って試算作業を行えば、実勢価格から大きく逸脱することはありません。公共の土地購入で鑑定評価額が低すぎたとは考えにくく、やはり、購入価格が異常な高値であったと考えられます。
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悪臭と不動産鑑定評価
悪臭というと、工場からの排煙や養豚場や肥料工場、下水処理場からの臭いなどがあげられますが、それらの施設自体が嫌悪施設になることが多く、臭いのみを原因に鑑定評価額が減価されることはありません。
但し、その中でも著しい悪臭の場合、それを減価要因として不動産の鑑定評価を行うことも考えられます。
先日、お引越し先に焼肉屋さんの匂いが流れてきて、確認しなかったことを後悔されている方の記事を見ました。食べ物の匂いは中々大変で、この方の気持ちはわかる気がします。
以前、マンションを買われた方から、下階の仕出し屋さんの匂いが気になる、と聞いたことがあります。換気扇を回すと入ってきて、その点は後悔したと言っておられました。
臭いは、日照や騒音のように、測定して影響を判定することが難しく、減価が発生する場合でも数値化が困難ですが、今後、臭い測定の技術が進歩した場合、不動産鑑定評価においても臭い減価の方法が確定されるかもしれません。
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擁壁のある土地の鑑定評価
土地が地盤面より高い場合、土が流れないように擁壁を打って建物を建てることになりますが、土地の高さが高いほど、擁壁にかかる費用は高くなります。
また、擁壁は修繕維持の状態が悪いとクラックが入ったり、最悪の場合、反りが入り倒壊する危険性があります。
このような土地の鑑定評価をする場合、擁壁の高さや状態によって程度はことなりますが、減価を行うことになります。
先日、関東の限界団地内の擁壁のある土地が売れない、との記事を見ました。その土地を写真でみると、確かに擁壁は売ってありますが、擁壁の高さは1m程度、反りやクラックもなく、状態は悪くないように感じました。
今回の限界団地の土地が売れない理由、擁壁の存在も考えられますが、その他の要因もあるのでは、と思いました。
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高低差のある土地の鑑定評価
市街地の鑑定評価の場合、高低差は等高か+1m程度のものが多く、特に格差率で差をつけることはありませんが、GLからマイナスの土地はもちろんプラスであっても2mを超えるような高さの土地は減価することになります。
高さがマイナスの土地は、大雨の際、水が溜まったり、日照や通風の確保でも劣り、道路への出入りも難儀なため、減価は当然ともいえますが、その減価の算定として、等高の土地を標準とした場合、同じ高さの土地にするために要する造成費分を引くという方法をとることもあります。
高低がプラスの土地の場合、水の侵入を防げたりして良い面もありますが、高すぎる土地は擁壁の設置にお金がかかったり、土地上の建物の建築費が割高になったりとマイナスの面もあり、やはり減価の対象となることが多いです。
また、最近は、高齢化社会が進み、上り下りに苦労する地域や土地の価格が下がり気味であるという特徴もあげられます。
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