Archive for the ‘鑑定評価の話’ Category

30年前の遺体が発見された不動産の鑑定評価

2020-08-12

フランスのパリで、競売により落札された不動産の地下室で30年前の遺体が発見された、との記事をみました。落札価格は3510万ユーロ(約44億円)、歴史的に重要な建物で、中庭や個人庭園を完備する高級住宅だそうです。

この競売を担当した弁護士の見解は、発見された遺体は30年前のものであり、案件に影響はない、とのことです。歴史的建物であり、18世紀半ば以降人が住んでいなかったことも考慮したのではないかと思います。

このような過去の遺体が発見された場合の不動産の鑑定評価ですが、居住用不動産あれば当然減価は発生すると思います。但し、死亡の原因(自殺か他殺かなど)によっても減価額は変わってきますし、不動産の用途が居住用ではなく、他の用途(博物館などの公共施設等)の場合は、減価なしの鑑定評価額になる可能性もあります。

減価額算定の一つの方法として、今後、地下室を使用しないことを前提に、閉鎖するための工事費を求めることも考えられると思います。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

定期借地権付きのマンションの鑑定評価

2020-08-07

マンション(区分所有建物及びその敷地)鑑定評価は、作業量が多く時間のかかることが多いです。そのマンション(区分所有建物及びその敷地)ですが、土地部分の使用権が所有権の共有持ち分である場合と定期借地権である場合があります。当然、所有権の方が強い権利ですし、定期借地権の場合、通常、解約期間の満了時には建物を解体し、更地にして返還することになるので、立地や建物の仕様等の条件が同じである場合、定期借地権付きのマンションの方が鑑定評価額は安いことが多いです。また、通常、区分建物の所有者は地代の支払い義務がある代わりに、固定資産税等の支払いは不要となります。

この定期借地権ですが、マンションの場合は契約期間が長期となることが多いですが、借地権の残存期間が短い場合は、その点を考慮した鑑定評価となります。但し、建物の状態も良く、地主が十分な地代を得ている場合などは、定期借地契約の契約期間が延長される可能性も否定できません。

地価上昇が続く昨今、事業用定期借地権で建てられた店舗など、契約満了時に終了しているケースが多いのですが、将来、契約満了時に経済環境が悪化している場合など、定期借地契約の契約期間が延長されるケースも出てくるのでは、と思います。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

建築確認がない不動産の鑑定評価

2020-08-05

不動産建物の売買の場合、通常は契約の際、権利証とともに建物に関する書類(確認済証や設計図書)を売り主から引き継ぐことになりますが、古い建物や転売(前の所有者が紛失してしまった)の場合、これらの建物書類がない場合があります。

このような建物鑑定評価を行う場合、書類の有無が鑑定評価額に影響を与えるかが問題となります。私も何度か書類のない建物評価に遭遇しましたが、建物がかなり古く価値ゼロであったため、減価は行いませんでした。対象建物が築浅物件で価値が残っている場合は、何等かの減価を行う必要があると思います。

もちろん、調査によって違法建築物であるとわかれば市場性減価、場合によっては適法な建物に戻す費用や除去費用を控除して鑑定評価額を求めることになります。

建物鑑定評価額は、確認済証はもちろん設計図書や請負契約書等書類の有無で精度が違ってきます。鑑定評価を行う際は、依頼者に可能な限り書類を準備して頂くようお願いしています。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

がけ地を含む土地の鑑定評価

2020-08-04

先日の大雨は全国に大きな被害をもたらしましたが、がけ地の斜面を支える擁壁が崩れる被害も相次ぎました。

京都で崩落したがけ地の擁壁は、約50年前に造成された住宅団地の端で、玉石済みの上にコンクリートブロックの積み増しで、長年、基礎に負担が掛かっていたようです。水抜き穴もなく違法建築の可能性が高く、工事時期も不明、今回の大雨で崩落が起きました。

崩落が起きた地域は都市計画区域外、宅地造成区域外であり造成許可も不要、建築確認申請も行っていないと思われます。

がけ地を含む土地鑑定評価は、そのがけ割合やがけの傾斜度、擁壁があればその維持管理や補修の状態を調査して行います。今回のような違法の可能性の高い擁壁の場合、有効利用できる土地価格から既存擁壁を取り壊し費用及び、擁壁の再工事にかかる費用を控除して求めることになります。おそらく今回のケース、土地価格が低い場合、鑑定評価額もマイナスになると思われます。

がけ地の鑑定評価は、何件か遭遇しましたが、中々難しい評価になることが多いです。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

飛び地の鑑定評価額

2020-08-01

先日、ネットで東京都渋谷区と港区の境のある飛び地の記事を読みました。このケースは同じ東京都区部内の飛び地ですが、練馬区の西大泉町は、埼玉県新座市に囲まれた飛び地になります。

練馬区西大泉町の場合、県をまたいだ飛び地であり、上下水道をはじめ行政サービスを受ける際、解決する問題は出てくると思います。おそらく、費用負担することで、埼玉県新座市のサービスを受けることになると思います。

以前、私も飛び地の鑑定評価にあたり、問い合わせを受けたことがあります。大きな緑地公園で分断され、市をまたいだ飛び地でした。この土地は、現況、道路敷の緑地であり、上下水道はなし、共用をうけることも難しい土地でした。飛び地の解消を目的とした公共の買収でしたが、土地面積も狭く、妥当な鑑定評価額が付けられていたと思いました。

また、名古屋市ですと市街地の中に区界がある地域がありますが、商業地鑑定評価の場合、需要者である法人の選好性を考慮し行政間格差をつけることもあります。法人は、営業上、所在地にもこだわりますから。

飛び地の鑑定評価、やはり難しい評価になることは間違いなさそうです。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

マイナスの不動産価格の内訳

2020-07-30

以前、越後湯沢のリゾートマンションの鑑定評価額が10万円というブログを書いたことがあります。需要よりも供給、圧倒的に売り圧力が強い市場では、新築購入価格に関わらず10万円という価格になってしまうようです。但し、実際、成約になった場合の価格は10万円以下、0円かもしれません。

先日、ネットで越後湯沢のリゾートマンションの所有者に、マイナス180万円で購入希望、とのダイレクトメールが届いた、との記事を見ました。ちなみにその金額の内訳は、修繕積立金・管理費の2年分(月額5万円)として120万円(滞納していると仮定)、室内の家具・家電類の撤去費用20万円、室内清掃費・設備修繕費20万円、不動産取得税・登録免許税30万円、合計190万円を不動産価格の10万円から控除して180万円だそうです。

このようなリゾートマンション、間取りにもよりますが小規模のものが多く、家具・家電類の撤去費用20万円と室内清掃費・設備修繕費20万円は高いと思います。但し、所有するだけで管理費として年間60万円かかるとすると、単純計算で3年で元はとれることになりますが。

このような買取業者は、主に中国人向けの販売を目的としてるようですが、短期で転売できる当てがあるのでしょうか。もし、これがビジネスとして成立するのであれば、越後湯沢にリゾートマンション価格も10万円よりは上がっていくものと思われます。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

郊外ショッピングモールの隣地の鑑定評価

2020-07-29

休日はショッピングモールで買い物するというスタイルが定着した日本、確かに、愛知県内でもイオンモールをはじめ沢山のショッピングモールができました。

特に区画整理事業地内など、新しい街にはショッピングモールができることが多く、周辺にもおしゃれな店舗などもでき、人気の住宅地域になることが多いです。

このショッピングモール隣のマンションに価値なし、との記事を見ました。このような住宅地域はいずれ人気が廃れて人口が減り、また、ショッピングモールが建つような商業地域は住むのに適さない、というのが理由のようです。確かに、休日は人と車の往来に悩まされることになりそうです。

不動産の鑑定評価を行う際、最有効使用に基づく価格を求めることになります。郊外ショッピングモール隣の土地の最有効使用、駅距離、前面道路、容積率・建蔽率、さらには土地の規模や形状から判断することになりますが、マンションを最有効使用とした場合、将来的なことを考えると需要は弱くなるのかもしれません。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

隣地境界線と鑑定評価額との関係

2020-07-28

建物を建築する場合の、陳地境界線と外壁との距離は民法では50mと定められています。但し、用途地域が第1種低層住居専用地域では、1.0m乃至は1.5m離すよう定められており、良好な住環境は確保されますが、敷地利用率は落ちることになります。なので鑑定評価額収益価格)は低くなります。

先日、ネットで建物西側の敷地に集合住宅が建築中で、隣地境界との距離が91cm~126㎝と近接している、との記事を見ました。建築中の建物は木造であり、耐火建築物ではないため隣地境界から離した設計にしたと思われます。

今回のような収益物件の場合、敷地の有効利用率はそのまま収益率に反映することになるので、オーナーは少しでも隣地に近づける形で建物を建てることを考えると思います。隣地境界から平均で約1.1m離して建物を設計しており、隣地所有者への配慮はみられるのでは、と思います。

隣地境界との距離ですが、50cm未満で建物を新築される方もあります。今回のケース、これ以上の設計変更は難しいと思われます。

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特殊な不動産の鑑定評価

2020-07-27

不動産の鑑定評価における収益価格は、更地の場合、最有効使用を前提とした建物を想定し、その不動産から得られる純収益を土地と建物に配分、その土地部分の純収益に還元利回りを考慮して求めることになります(土地建物の純収益から一体の収益価格を求め、その価格から建物価格を控除して求める方法もあります。)。

対象不動産土地建物の場合は、土地建物一体が生み出す純収益から収益価格を求めるので、鑑定評価額も一体の価格になります。

その収益価格ですが、延べ面積に対する賃貸面積の割合が大きいほど収益は多くなりますから、当然、収益価格は高くなることになります。なので、賃貸に出すことを想定しない特殊な建物の場合、収益を生み出さない面積が大きくなりますし、また、借り手も限定されるため収益価格は低くなることが多いです。

先日、東京の三陽商会のビル売却の記事を見ました。売却額は約117億円(簿価50億円+売却益67億円)、広さは100坪強、自社ビル目的で設計されており、階段とエレベーターが複数設置されているそうです。

このような特殊なビルは、やはり需要が限られ市場性は劣ることが多いです。賃貸を想定して自社ビルを設計することはないと思いますが、やはり汎用性のある無難な設計の方が、収益に出す際は有利だと思いました。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

鑑定評価額とオークションの関係

2020-07-26

最近、官庁や自治体によるオークション公売が盛んです。最も、財務省は物納などによる不動産を公売、法務省は破産財産を競売しており、共にオークションと同じ理屈で価格が決定しています。

不動産の鑑定評価は、最有効使用(不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用(以下「最有効使用」という。)を前提として把握される価格を標準として形成される。この場合の最有効使用は、現実の社会経済情勢の下で客観的にみて、良識と通常の使用能力を持つ人による合理的かつ合法的な最高最善の使用方法に基づくものである。)を前提に価格が決定されており、こちらもオークションと同じく最も高い価格をもって鑑定評価額となります。

不動産の鑑定評価もオークションも、どんなに価値があっても需要がない又は少ないものは価格が安く、逆に需要があるものは価格も高くなるという市場の原理に合致した方法であることは間違いなさそうです。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

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