Archive for the ‘不動産のお話’ Category
地域のシンボルと景観のお話
都市部であれ地方であり、その地域地域には大なり小なりシンボルがあり、その地域の住む人々は誇りとしているものです。
例えば、静岡県や山梨県の方にとって、富士山は地域のシンボルであり、その地域に行くと度々富士山をデザインしたマークを目にすることになります。
かなり前、携帯電話の基地局設置のお仕事をしていた時、富士川町で建設しないよう要請を受けたことがあります。その地域は街から少し上ったところにあり、富士山を正面に街を見渡すことのできるところでした。基地局鉄塔の存在により、景観が損なわれることを心配しておられました。
先日、京都市で夏に行われる送り火の景観が変わることを理由に、住宅建設を反対、との記事を見ました。開発許可は既に出ており、業者としては予想外の反対だったようです。
歴史のある送り火の景観を守ることと、開発業者の権利を尊重すること、この2者を両立させるのは難しい問題です。
私個人の意見としては、景観への配慮は必要ですが、開発許可基準に適合した合法の開発であれば、建物の建築を認めるべきだと思います。
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人口と不動産価格との関係
人口と不動産価格は密接な関係があって、人口が増えている地域は不動産需要も多く、価格は上昇し、逆に人口が減っている地域の不動産価格は下がる傾向にあります。
この理屈は、都市部の地価上昇と地方の過疎地の地価下落でも説明できると思います。
ネット記事で、愛知県の人口減少が緩やかである理由として、トヨタ自動車関連企業の存在とこれら企業の多い西三河地域の出生率の高さが理由、との記事を見ました。確かに愛知県の西三河地方はバブル崩壊以後、一時期を除きほぼ一貫して地価は上昇しています。
愛知県の西三河地域以外でも、名古屋市や豊田市に隣接する市町は地価が上昇しており、トヨタ自動車の恩恵に与れる地域とそれ以外の地域との格差が生じているのが実際のところです。
先日、中国でEV車が普及し、日本製の自動車の販売台数が激減しているとの記事を見ましたが、トヨタ自動車で持っている感のある日本経済、そして愛知県の経済がどうなっていくか不安視する声もあります。
この心配が現実になった時、愛知県の人口、そして好景気が続く愛知県の経済、そして愛知県全体が衰退に入ることになるのかもしれません。
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バブル末期と現在のマイホーム市場
地価と建築費の高騰で、都市部の住宅地の価格が高騰しています。特に東京を中心とする首都圏の地価は上昇しているエリアが多く、一般的なサラリーマンでは東京都区内でのマイホーム購入が難しい状況となっています。
先日、ネットで首都圏でマイホームを探している方の記事を見ました。最初は区内で探した物件は、延床面積80㎡程度で8000万円を超える価格だったそうです。その後、埼玉県内で探し始め、大宮市内、ここも総額5000万円台で断念、最終的に上尾市で住宅を購入したそうです。
実はこのお話と同じことが、バブル期にも起きていました。ある本で読んだのですが、バブル期末期、首都圏でマイホームを探した方が、同じように区内から探し始め、予算の都合から上尾市で住宅を購入したという話でした。
現在の不動産価格上昇は、バブル期末期の駆け込み需要による価格上昇と似ていると思います。金利が安く、地価と建築費が上がり過ぎる前に買っておこうという購入者の心理、今ここで勝っておかないと一生マイホームを持てない、と言った恐怖感が不動産バブルの原因の一つになっていると思います。
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延面積30坪未満の戸建住宅
30坪というと、㎡にすると100㎡になるでしょうか、都市部における平均的な戸建住宅の延べ床面積だと思います。間取りにして4LDKが確保できる広さだと思います。
この30坪が広いか狭いかは家族構成や生活スタイルなどによって違ってくると思いますが、30坪未満の家なぜ増えた?との記事を見ました。地価や建築費の高騰に加えて、マイホーム購入希望者の優先順位の変化が関係しているそうです。
少し前であれば、来客用の寝室のために和室が一部屋ある家が多かった気がしますが、最近は和室はもちろん予備の客間の無い家が殆どになりました。インターネットなどで過去の失敗例を検索することにより、合理的で無駄のない間取りの家が増えたことも要因のようです。
戸建住宅の延べ床面積、マンション程の縮小率ではありませんが、今後、ますます狭くなっていくことが予想されます。
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不動産の無い高のお話
不動産に限らず、物の価格は需要と供給で決まると言われており、需要>供給であれば価格は上がり、逆であれば価格は下がります。
現在の不動産市場をみても、金融緩和でお金が余っており、都心部の不動産は需要過多となっているため、不動産の価格も上がっていると考えられます。
一方、地方では人口減少で供給が増え、需要が少ないため不動産の価格は下がっていくことになります。
地方であっても、一定の需要があるにも関わらず、供給が少ない地域では、不動産価格が下がらず、いわゆる無い高と呼ばれることがあります。名古屋圏ですと、岐阜県の高山市は無い高の地域と言われていました。
先日、広島県呉市の家賃が高い、との記事を見ましたが、呉市は平地が少なく、不動産の供給が少ないことが家賃の高い理由と考えられます。
不動産、特に土地は需要に応じて供給を増やすことが難しく、地価は需要の強弱で決まる傾向が強いと考えられます。
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地価と建築費高騰のマイホームへの影響
日本の地価は戦後、一貫して上がり続け、バブル経済の崩壊により大幅に価格が下落して以降、何度かのミニバブルやリーンマンションなどを経て、上がったり下がったりしてきました。
その後、アベノミクスによる金融緩和により都心部の地価は上昇が続き、ここに来ての建築費の上昇により、マイホーム購入希望者には厳しい時代となっています。
先日、全国の自宅購入希望者に調査した結果、約6割が地価の高騰がマイホーム購入に影響した、とのことでした。予算が限られているとすると、1.敷地面積を狭くする、2.地価の安いところで土地を探す、3.建物の延面積を狭くする、4.施工の質や量を落とし、建築費を探す、などの方法を取ったと考えられます。
最近は狭小戸建住宅といわれる、庭のない3階建ての住宅や、家族向けマンションであっても、延面積が70㎡未満の物件が多くなっていますが、地価と建築費の高騰の影響であることは間違いありません。
この記事によれば、8割以上の人が中古住宅のリノベーションに前向きであると書かれていますが、リノベーション工事費も上がっており、安易な選択は注意が必要かと思います。
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悪臭と不動産鑑定評価
悪臭というと、工場からの排煙や養豚場や肥料工場、下水処理場からの臭いなどがあげられますが、それらの施設自体が嫌悪施設になることが多く、臭いのみを原因に鑑定評価額が減価されることはありません。
但し、その中でも著しい悪臭の場合、それを減価要因として不動産の鑑定評価を行うことも考えられます。
先日、お引越し先に焼肉屋さんの匂いが流れてきて、確認しなかったことを後悔されている方の記事を見ました。食べ物の匂いは中々大変で、この方の気持ちはわかる気がします。
以前、マンションを買われた方から、下階の仕出し屋さんの匂いが気になる、と聞いたことがあります。換気扇を回すと入ってきて、その点は後悔したと言っておられました。
臭いは、日照や騒音のように、測定して影響を判定することが難しく、減価が発生する場合でも数値化が困難ですが、今後、臭い測定の技術が進歩した場合、不動産鑑定評価においても臭い減価の方法が確定されるかもしれません。
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家の屋根のお話
日本の戸建住宅の屋根は、以前は瓦葺の切妻屋根が殆どでしたが、輸入住宅をはじめとする洋風の建物が増えるにつれ、招き屋根と言われる屋根の左右の長さが違うものや、横から見た形が台形の片流れ屋根も増えてきました。
瓦屋根は雨や台風の多い日本の気候にあっていると言われていますが、最近、めっきり減ったように思います。
屋根の形も、狭小戸建住宅や3階建ての建物の多くは、切妻屋根でないものも多く、施工の手間や費用を抑えれる特徴があります。
かなり前、開発業者の方と屋根の話をした際、その方は切妻屋根を勧めていました。理由は、招き屋根や片流れ屋根は、屋根のメンテナンスが難しいため、とのことでした。確かに屋根が破損した際など、工事は難しそうですね。
屋根をはじめ、工法のメリット、デメリットはネット記事などから調べることも可能ですが、実際に建築工事に携わる方からの意見は貴重だと思っています。
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擁壁のある土地の鑑定評価
土地が地盤面より高い場合、土が流れないように擁壁を打って建物を建てることになりますが、土地の高さが高いほど、擁壁にかかる費用は高くなります。
また、擁壁は修繕維持の状態が悪いとクラックが入ったり、最悪の場合、反りが入り倒壊する危険性があります。
このような土地の鑑定評価をする場合、擁壁の高さや状態によって程度はことなりますが、減価を行うことになります。
先日、関東の限界団地内の擁壁のある土地が売れない、との記事を見ました。その土地を写真でみると、確かに擁壁は売ってありますが、擁壁の高さは1m程度、反りやクラックもなく、状態は悪くないように感じました。
今回の限界団地の土地が売れない理由、擁壁の存在も考えられますが、その他の要因もあるのでは、と思いました。
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高低差のある土地の鑑定評価
市街地の鑑定評価の場合、高低差は等高か+1m程度のものが多く、特に格差率で差をつけることはありませんが、GLからマイナスの土地はもちろんプラスであっても2mを超えるような高さの土地は減価することになります。
高さがマイナスの土地は、大雨の際、水が溜まったり、日照や通風の確保でも劣り、道路への出入りも難儀なため、減価は当然ともいえますが、その減価の算定として、等高の土地を標準とした場合、同じ高さの土地にするために要する造成費分を引くという方法をとることもあります。
高低がプラスの土地の場合、水の侵入を防げたりして良い面もありますが、高すぎる土地は擁壁の設置にお金がかかったり、土地上の建物の建築費が割高になったりとマイナスの面もあり、やはり減価の対象となることが多いです。
また、最近は、高齢化社会が進み、上り下りに苦労する地域や土地の価格が下がり気味であるという特徴もあげられます。
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