Archive for the ‘不動産の価格’ Category
保育園は鑑定評価で嫌悪施設になるか?
先日、お世話になっている方から保育園のことで相談を受けました。内容は、仕事場付住居の近くに保育園の設置が予定されており、その反対運動についてでした。反対者の話では、保育園の設置で地価が10%下がったとの統計がある、との主旨でした。
ちなみに、私は地価が10%下がることは大変なことで、余程の嫌悪施設(火葬場など)が設置された場合だと考えています。おそらく、この反対者の方は、財産評価基準の「著しく利用価値を減じた土地」について10%減額を認める、の文言を引用したのでは、と思います。
以前、小学校の隣の土地建物を鑑定評価したことがありますが、減価はなしと判断しました。子供の声は日中の限られた時間内であり、近隣に悪影響を及ぼすとは考えにくいことが理由です。ちなみに、地価公示などでは、小学校が近いと増加要因なります。
先日、東京都練馬区の保育園の近隣住民が騒音差し止めと損害賠償の請求訴訟で、東京地裁は「騒音は我慢の範囲内」と請求を棄却した記事が出ていました。園側の騒音レベルを抑制する努力も評価したようです。
保育園は、園児の声以外にも、父兄の送り迎えの車の迷惑駐車などの問題はあると思いますが、これは保育園以外でもありえる事象であり、減価は難しいと思います。
但し、鑑定評価は地域性などを個別に判断することになるので、保育園の規模や時間なども考慮して価格は決定することになります。
馬毛島の売買価格は約160億円
難航された馬毛島の売買契約が締結されたそうです。売買価格は約160億円、当初の鑑定価評価額が45億円でした。
売主との価格交渉が難航し、売主の希望価格であった数百億円での売買ではなく、160億円で落ち着いたようです。
売主が譲歩した経緯は不明ですが、今後、訓練基地として馬毛島が活用されることになりました。防衛の拠点としての活用も検討され、馬毛島の重要度が増していくと思われます。
地下埋設物のある土地の鑑定評価
地下埋設物のある土地の鑑定評価は、通常、更地の価格を求めた後、地下埋設物を除去する費用を控除し、埋まっていた物によってはさらに減価(心理的嫌悪感・スティグマ)して求めることになります。
地下埋設物のある土地は、例えば鉄塔敷地の基礎などになると撤去費用が相当な金額になることが多く、場合によっては更地の価格を上回って鑑定評価額がマイナスになることも考えられます。
先日、茨木県筑西市の市売却地にごみが埋まっており、土地購入者の損害賠償として2010万8000円を支払う議案が可決されたとの記事が出ていました。今回の損害賠償額の算定方法としては、鑑定評価と同様に撤去に係る費用の実額を求めることになると思います。
今回のケース、記事に詳細は出ていませんが、実際の算定額をどのように求めたのか興味深いです。
越後湯沢のリゾートマンションの鑑定評価額
以前、越後湯沢のリゾートマンションの評価をしたことがあります。その際、市場調査を行いましたが、圧倒的に売りが多く買いが少ない状況でした。その鑑定評価の依頼者のお話しでは、新築で買った時は相当高かったそうです。
先日も、越後湯沢のリゾートマンションを相続した方の記事が出ていました。購入価格は約3000万円、不動産業者の査定額は10万円だったそうです。おそらく、鑑定評価を行っても同じ結果になると思います。
ちなみに、そのリゾートマンションの年間維持費(管理費・修繕積立金)は60万円、さらに固定資産税が毎年かかってきます。通年居住していない建物の負担としては重すぎます。
このリゾートマンションを手放す方法として考えられるのは、所有者全員の合意による取り壊しか、ある程度の負担(代金の支払い)を覚悟して新たな所有者を探すことになると思います。
名古屋市中区栄の再開発土地価格は144億円以上
名古屋市中区栄の再開発事業が動き始めました。土地所有者の名古屋市は、再開発の対象となる土地のうちの一部(栄広場:約1800㎡)の売却価格を144億8000万円以上に設定し、複合商業ビルの事業者募集を開始しました。
ちなみに対象地は、規模約4866㎡、栄広場を除く3000㎡は大丸松坂屋が所有しています。建物は商業専門店街の入る複合商業ビルになる予定です。2024年頃の開業見込だそうです。
この再開発事業土地は、広小路通と錦通、大津通に囲まれた三方路で、現在はイベントが開かれたりしています。地下鉄栄駅からも近く、魅力的な土地だと思います。
回遊的な商業地域として集客力の回復傾向がみられる栄地区、栄地区内でけではなく、名駅も含めた既存デパートとの競争が激しくなりそうです。
土地価格と企業財務の関係
先日、ある老舗の和菓子店が破産した記事を読みました。江戸期から続くお店で、幾度も災難を乗り越えてきたものの、新たなライバルとなったコンビニのスイーツに敗れたことが要因とされていました。コンビニのスイーツ、値段が安く、味もよいものが増えており、老舗のお菓子屋さんには脅威だと思います。
この記事の中で、バブル期の設備投資後、土地価格下落により負債が増え、収益に影響したとありましたが、時価評価された土地の含み損が収益を圧迫したということでしょうか。おそらく新規出店の際、キャピタルゲインも狙った高値での土地購入を行ったことが原因と思われます。
以前、経済学者の内橋克人さんが、地価の下落によって、従来行われてきた企業の資金調達システム(地価の上昇を見込んで土地を購入し、それを担保に銀行から融資を受ける)が崩壊していた、と仰っていたことを思い出しました。
現在の異常な地価上昇、バブル崩壊時の悲劇と同じことが起きないことを祈ります。
不動産鑑定評価額を決定する要因
先日、ネット記事で「お金持ちは不動産を物件ではなく街で選ぶ」と書かれた方がいました。
ここでいう物件は不動産の個別性(土地なら主に方位や規模などの画地条件、建物なら構造・品等・施工の質、築年等)、街は不動産の地域性(駅距離、前面道路幅員、住環境等)の違いが価格の差となって現れることになります。
その地域に鉄道駅ができる、道路が拡幅される、など将来その地域の発展が確実な場合、将来性も価格形成要因となることがありますが、将来性は地域性に含まれることになります。
土地は永続性がありますが、建物は年月が経つと老朽化に伴う価値の下落は避けられず価格は下がることになります。また、土地も、人口減などによる地域の衰退により需要が減ると、価格は下がることになります。このような点から、資産性の高い不動産を購入するためには個別性ではなく地域性を重視する必要があります。
「不動産にお買い得はない」とはよく言われますが、住宅地域であれば利便性、居住性、商業地域であれば収益性に優れた不動産は価格も高くなっています。不動産をお探しの方は、一度、いくつか見て住みたい街にある不動産に順番を付けた後、それぞれの価格を調べてみることを勧めします。その順番はおそらく一致していると思います。
グリーンランドの鑑定評価額
先日、アメリカのトランプ大統領がデンマークからグリーンランドを購入希望、とのニュースが流れました。持ち主のデンマークは売却を拒否しておりこの話は実現しないと考えられます。
グリーンランド売買の話は、今回が初めてではなく、1946年にやはりアメリカが約1億ドル(現在の価値で約13億ドル、日本円で約1400億円)での購入を提示したことがあるそうです。
このような広大な領土の売買は、過去実際に行われたことがあり、例えば、
1.1803年、アメリカがフランスからルイジアナを1500万ドル(現在の価値で約3億4000万ドル)で購入
2.1867年、アメリカがロシアからアラスカを720万ドル(現在の価値で約1億2500満ドル)で購入
があります。
もし、グリーンランドの売買が実現したとした場合、価格はどれくらいになるでしょうか?鑑定評価を行うとした場合、いまだかってない難しい評価になると思います。ちなみに、ワシントン・ポスト紙は、売買価格は2億ドルから1兆7000憶ドルの間と分析しています。相当幅がありますが、グリーンランドの価格を予想するのはそれくらい難しいことだと理解できます。
約180坪の土地の鑑定評価
少し前ですが、女優の三田佳子さんの自宅が6年前、売りに出されたとの記事がありました。広さは約180坪、新築時約10億円と言われた不動産は6年前で売値6億円、そこから3億5000万円まで値下げされ、平成26年8月に不動産投資会社が購入、その後転売されたそうです。
実際、この土地は5画地に分割されて販売されたそうですが、不動産の鑑定評価を行う場合は、
1.取引事例比較法を適用し、画地規模などの類似性の高い取引事例から比準し、比準価格を求める。
2.収益還元法を適用し、想定建物から求められた純収益を還元利回りで還元して、収益価格を求める。
3.開発法を適用し、開発想定図面(一体利用又は分割利用)をもとに求められた①販売総額から②造成費・建築費及び③付帯費用を控除した価格を求める(①~③は価格時点に割り戻した額)。
を求めることになります。
鑑定評価額ですが、特に今回の土地は開発業者が区画割での分譲を目的として購入しており、3.の開発法による価格を重視して価格が決定されることになります。
画地の規模は、180坪÷5画地≒36坪、戸建分譲地とのことですが価格は約8000万円~1億2000万円だそうです。やはり東京の不動産価格は高いですね。
自治会と不動産価格の関係
最近、田舎暮らしを始めた都会の人が田舎の慣習に馴染めなかったり、村八分にされたりする話を聞きますが、その土地の自治会活動が活発過ぎて引っ越しを考えている人の話が出ていました。
その土地の自治会は行事が多く、参加しないと子供はいじめられ、子育てには口を出され・・、いいことない自治会みたいです。
その方は建売住宅を購入して他所から引っ越したそうですが、その地域は地価が安かったそうです。地価を形成する要因は利便性や居住環境など様々ですが、この自治会の存在も地価が安い要因かもしれません。
子供が成長するまで我慢するか、残債覚悟で転居するか・・、難しい問題だと思います。
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