Archive for the ‘特殊な不動産’ Category

土地の一部が他人の土地建物の鑑定評価

2020-09-20

先日、京都市で市営住宅の一部の土地が50年間私有地であったとの記事を見ました。但し、この私有地は売買契約の不備で、登記移転手続きをしていなかったことが理由です。

土地の一部が他人の土地建物鑑定評価する場合、その一部の土地について賃貸借契約等の土地使用権があれば土地及び借地権付建物の鑑定評価、使用借権であれば土地及び使用借権付建物鑑定評価、不法占有等の無権利者であれば土地価格から建物の取り壊し費用を控除した価格鑑定評価額になると考えられます。

但し、土地使用借権は個別性が強く、案件に応じて鑑定評価の方針を決定し評価することになると思います。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

隣地の建物と鑑定評価

2020-09-17

既に建物が建っている市街地では、隣地が空き地であることもありますが、通常は何等かの建物が建っているものです。用途地域が住居系の住宅地域の場合、建蔽率や容積率、建物の高さの制限などがありますから隣地の建物の存在で著しく日照や通風が害されるケースは少ないと思います。

以前、北垂れの北側の土地建物を買った方から、空き地だった南側に家が建ってしまい1階の室内が真っ暗になってしまった、との話を聞いたことがありますが、隣地が空き地の不動産を買う場合は注意が必要です。

商業系地域の場合、隣地に高層の建物が建つ場合があり、日照や通風が阻害されるケースがよくあります。今まだ享受していた眺望も得られなくなし、私も日照権阻害影響を反映した鑑定評価書を書いたことがあります。

隣地に建物が建つ、また特に商業系用途地域の場合は居住権の方が尊重されるケースは少なく、裁判で隣地の建物の建築制限が認められた話は聞いたことがありませんが、実際はどうなのでしょうか。

最近、このような隣地建物による日照・通風阻害を訴える記事を見ますが、今後、居住者の訴えを認める判決がでるか興味深く見守りたいと思います。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

1階が飲食店舗マンションの鑑定評価

2020-09-16

駅の近くや路線沿いの商業地域に建つマンションは、低層階が店舗や事務所になっている建物が多いです。賃貸マンションの場合、店舗や住居より家賃が高いことから収益性は上がることになります。

分譲マンションの場合、低層階が特に飲食店舗の場合、臭いや虫の発生に悩まされることがあります。1階が仕出し屋さんのマンションを買った方が、換気扇から入ってくる臭いに困った、との話を聞いたことがあります。また、虫やネズミが上層階の住居に上がってくるとの話もあります。

このような1階が飲食店舗マンションの鑑定評価をする場合、特に減価は行いませんが、臭いや許容の限度を超えていると判断した場合、環境要因で減価することになると思います。

1階が飲食店舗のマンション、鑑定評価の際には臭いの外にもお店のお客さんの騒音など調査する必要があると思います。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

AIによる住宅設計

2020-09-08

AIの普及により、今まで人の作業にて行われていた仕事がなくなりつつあります。特に、不動産鑑定士をはじめ士業と言われる職業は、いずれなくなるという報告もあるようです。

先日、大手ハウスメーカーの住友林業が、AIによる宅設計を開発、との記事をみました。AIによる構造設計プラットフォームにより、設計業務の合理化・効率化を実現したそうです。また、特徴として、時間の短縮、手戻りが防げる、ムラが出ない、ミスが起きにくい、とのことです。いいことずくめですね。

このようなAIの普及により、質の良い製品ができることは歓迎ですが、価格が下がることによる消費者への還元を期待したいと思います。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

建物の特殊な構造のお話

2020-09-06

建物の構造は、木造(W)、鉄骨造(S)、鉄筋コンクリート造(RC)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)などがあります。それ以外の構造の建物として、レンガ造やコンクリートブロック造がありますが、私も鑑定評価で遭遇したことはあります。もっとも、物置やガスボンベ置き場としての小さな建物でしたが。

先日、三菱地所ホームが、木と鉄骨のハイブリッド工法を開発したとの記事を見ました。シンプルで丈夫な造りだそうです。

このような工法として木造と鉄筋コンクリート混構造がありますが、ある不動産業者さんから、最近はこのような混構造の建物は、確認許可が下りにくい、との話を聞きました。混構造の建物は、接合部が発生するため強度が弱くなる、との認識があるようです。実際はどうなのでしょうか。

新たに開発された木と鉄骨のハイブリッド工法、日本の標準的な工法になるのでしょうか?この工法による強度とデザイン性を両立させた建物が増えることを期待したいと思います。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

フランク・ロイド・ライト設計の住宅の価格

2020-08-31

先日、アメリカの有名な建築家フランク・ロイド・ライトが息子夫婦のために設計の住宅が7億7000万円で売却された、との記事が出ていました。この家は、ライト最後の傑作住宅といわれ、通称「らせんの住宅」と言われています。

このらせんの住宅は、過去、取り壊しの危機にあっており、今回の売買価格は、2018年に売買された価格の半分の値段であり、建物は保存される計画です。

日本でも、このような歴史的価値のある建物の保存運動は起こりますが、お金の問題で取り壊されることが多いのです。アメリカは理解のある富裕層が多いのか、古い建物が多く保存されていますね。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

容積率700%の豪邸の鑑定評価

2020-08-28

施工の質や品等がよく、延べ面積の広いいわゆる豪邸の鑑定評価は難しい場合が多いです。このような高額な一般住宅を買う需要者が限られますし、類似性の高い取引が少なく、価格を把握することが難しいことが理由となります。

ネットで、東京の皇居前の80坪の豪邸が競売に付されるとの記事を見ました。土地の面積は約80坪、建物は2階建て、1階部分は9部屋あるそうです。ちなみに売却基準値価額は4億5千万円だそうです。

この不動産が存する地域の容積率は700%、鑑定評価でいう最有効使用は現行の一般住宅ではなく高層ビルかホテルになると思います。従って、この不動産の建物は落札後、取り壊されることになると思います。

このように取り壊されることを前提とした鑑定評価上の最有効使用を、取り壊し最有効といいい、更地価格から取り壊し費用を控除して求めることになり、現行使用を前提とした場合とは鑑定評価の方針が違ってきます。

ちなみに不動産業者の話では、この今回の競売不動産、資金力のある業者なら8億円出すかもしれない、とのことですが、いくらで落札されるでしょうか?興味深いですね。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

建物の間取りと鑑定評価額

2020-08-25

戸建住宅などの建物鑑定評価をする際、築年数、構造や使用、設備に加えて建物の老朽化・陳腐化などを考慮して価格を決定することになりますが、間取りに関しては、特に特殊な場合以外、価格形成に影響しないと考えられます。

先日、細く区切った間取りのマンションは売れにくい、との記事を見ました。昔の家族は子供が多く、それぞれ独立した子供部屋を確保する必要から狭い部屋が多くなったようです。このような鑑定評価の場合でも、特に減価が生じることは少ないですが、著しく狭小な部屋、例えば4.5畳程度の部屋が複数ある場合などは、市場性の減価が生じる可能性はあります。

間取りと鑑定評価額との関係ですが、その対象不動産が存する地域にもよると思います。例えば、都心の高齢世帯が需要者となる地域では、余裕のある間取りが好まれますし、子育て世帯が多い地域では部屋数を望む需要者が多いと思います。

また、リノベーションによる間取り変更も考えられますが、パーテーシ費用も掛かりますし、耐震性などの構造上の問題が発生する可能性があるので注意が必要です。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

新型コロナウィルス対策のホテルの賃借料

2020-08-21

先日、横浜市の新型コロナウィルス感染症対策のホテルの賃借料について書きましたが、広島県でも賃借料の問題が出ているようです。

広島県が療養用に借り上げたホテルの賃借料が、3か月で2億9400万円だったそうです。ホテル1棟貸で130室、利用者は12人だったそうです。

今回のような新型コロナウィルス対策用のホテルの借り上げは、国が1室あたりの基準を作っているそうですが、今後もこのような高額な賃借料に対して批判がでることが予想されます。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

占有権のついた土地の鑑定評価

2020-08-19

占有権のついた土地の鑑定評価は、その使用権原が無権利であった場合、その占有者に専有物の撤去を請求費用分を控除した価格になるのが一般的な考え方になります。

先日、県道沿いに設置された所有者不明の大鳥居等を、市が強制代執行で撤去するとの記事を見ました。費用は約1100万円、建造物の規模等を考えると高いと思います。

この大鳥居、高さ約12mで確認申請不要であり、1975年の建てられたこと以外は不明、とのことです。県道等の官地に建っているのなら、建築時点に土地使用契約は結ばなかったのでしょうか。大鳥居という特殊な建造物で所有者不明、というのも不思議に感じました。

今回のような公道に鳥居や石柱、石灯篭などが建っているケースがありますが、どのような扱いになっているのでしょうか。一度、調べてみたいと思いました。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

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