Archive for the ‘鑑定評価の話’ Category

1階が飲食店舗マンションの鑑定評価

2020-09-16

駅の近くや路線沿いの商業地域に建つマンションは、低層階が店舗や事務所になっている建物が多いです。賃貸マンションの場合、店舗や住居より家賃が高いことから収益性は上がることになります。

分譲マンションの場合、低層階が特に飲食店舗の場合、臭いや虫の発生に悩まされることがあります。1階が仕出し屋さんのマンションを買った方が、換気扇から入ってくる臭いに困った、との話を聞いたことがあります。また、虫やネズミが上層階の住居に上がってくるとの話もあります。

このような1階が飲食店舗マンションの鑑定評価をする場合、特に減価は行いませんが、臭いや許容の限度を超えていると判断した場合、環境要因で減価することになると思います。

1階が飲食店舗のマンション、鑑定評価の際には臭いの外にもお店のお客さんの騒音など調査する必要があると思います。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

地上構造物の鑑定評価額への影響

2020-09-14

日本は電気や電話線などを引くため、地上に電柱を設置しています。メンテナンスがしやすい反面、景観を損ねるとの声を聴くこともあります。

ネットで、福知山市が福知山城に向かう景観をよくするため、道路の電柱を地中化、との記事を見ました。古い街並みが残っている地域などでは、景観に与える影響は大きと思います。

以前、富士宮市で携帯電話の鉄塔を建てたとき、地元や地権者の方から反対が多く設置に難航した記憶があります。毎日、身近で富士山を見て生活している人にとっては、鉄塔の存在が富士山の美観を損ねるとの思いがあるようです。その時は鉄塔の色を、極力目立たないよう茶色に塗ったりし、地元の方の承諾を得て建設しました。

このような鉄塔などの地上構造物の存在が鑑定評価額に与える影響ですが、観光地など、景観を売りにしている地域では減価要因になると思います。但し、その減価も鉄塔などの存在により、俗にいうインスタ映えに悪影響がある場合は大きくなりますが、展望台などからの風景の一部で、その鉄塔などの存在がわかる程度であれば、減価の発生はないと考えられます。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

上杉謙信の愛刀と鑑定評価

2020-09-13

岡山県瀬戸内市の博物館が、上杉謙信の愛刀を個人から5億円で購入しました。今月の10日から公開されているそうです。ちなみにこの愛刀は国宝で、偽物の疑いはないと考えられます。

今回の刀は国宝でしたが、国宝、重要文化財等国が認めた美術品ではない場合の鑑定評価はどうなるのでしょうか?美術品は不動産とは違い、偽物や贋作を作ることが可能ですし、製作年や製作者の特定を間違える可能性もあると思います。

日本の不動産鑑定士、将来、不動産以外の鑑定評価も可能となる話もありますが、やはり餅は餅屋、私は美術品の鑑定評価をするのは難しいと感じました。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

旗竿地の鑑定評価

2020-09-07

旗竿地とは、間口に対して奥行が長い土地などを分割する場合などで、手前側の画地の側方を通路や駐車場、その奥の土地建物敷地とするL字型の土地を言います。

建物の建築には建築基準法で2m道路に接する必要があり、旗竿地の間口は2m以上であることが通常ですが、建築基準法が施工される前の古い土地で尺貫法の時代の土地などでは間口2m未満のものも見られます。

このような間口が2m未満の土地ですが、私も鑑定評価で何度か遭遇したことがあります。再建築ができない場合、土地の減価は大きく、価格は安くなることになります。また、鑑定評価の対象となった土地の隣地が間口狭小の旗竿地だったこともあります(その隣地は、間口要件を満たすために境界杭を移動させて越境していました。)。このような悪意のケースはまれですが、旗竿地は間口が2mあるかないかで土地の価格が大きく変わってくるので、所有者も悪いことを考えるのだと思います。

通常の間口2m以上の旗竿地鑑定評価額は、間口と路地上部分の長さが重要となります。間口が広ければ駐車が可能だったり日照・通風にも有利ですから。このような旗竿地は当然、当然価格は割安になります。日照・通風等に目をつむるのなら道路から奥まっている分静かですから、静かな土地が好きな人にはお買い得に感じるかもしれません。

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鉄道施設の鑑定評価

2020-09-05

以前、岐阜市及び近郊を走る名鉄市電が廃止された際、その線路敷跡の鑑定評価をしたことがあります。但し、その際は現況線路用地ではないので、通常の宅地として評価を行いました。

先日、鉄道会社の駅舎ビルや線路用地の競売にからむ裁判があったことを知りました。原告の不動産会社が、交渉過程で得た情報を悪用されたと落札した鉄道会社を訴えたものでした。

ちなみに鉄道会社が落札した価格は2億5503万円、競売に負けた不動産会社の価格は落札価格を少し下回る金額だったと思います。

鉄道会社も駅舎ビルや線路敷の適正な価格がわからなかったのでしょうか。上記の交渉過程で悪用された主な情報は、おそらく不動産会社が出した査定価格だったと思います。。

現況線路敷の鑑定評価は、私も遭遇したことはありませんが、もし依頼された場合は、過去の取引事例などから価格を出すことになると思います。とても難しい鑑定評価になることが予想されます。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

不動産の鑑定評価と駐車場の有無

2020-09-04

私の住んでいる愛知県は、自動車産業の盛んな地域であり、車普及率の高い県でもあります。なので新築の戸建住宅は、駐車2台可能な物件が一般的なイメージがありました。

最近、マンション価格土地価格の上昇により、俗に狭小戸建住宅の需要が増えてきました。このような狭小戸建住宅は敷地規模が狭く、駐車場が1台、中には駐車場がない物件も見られるようになりました。名古屋市内の場合、地下鉄やJR,名鉄沿線の最寄駅から徒歩圏であれば、車を持たない世帯も増えているそうです。また、空き駐車場も増えており、車が必要になった場合でも、以前のように貸駐車場を探す苦労がなくなったことも理由かと思います。

先日、ネットで大都市圏以外の地方で家を購入する際重視する点の記事を見ました。結果は、駐車場付き(60.4%)、日当たりのよさ(53.3%)、治安の良さ(46.5%)、部屋の数(45.9%)となりました。やはり地方は車で移動する機会が多いためか、駐車場の有無を気にする人が多いようです。あと、部屋数については、テレワークで在宅する機会が増えたためでしょうか?大都市圏と同じ風潮となっています。

最後に、鑑定評価を行う場合、駐車場の有無の価格への影響ですが、駐車スペースの有無が直接価格形成要因になることはなく、敷地が狭小であることや、需要が劣ることなどを理由に市場性で減価することになります。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

不動産鑑定評価とAIによる価格査定

2020-08-30

最近、AIによる価格査定が増えているようです。以前コラムで書いた骨とう品や貴金属はもちろん、車もナンバープレートと走行距離で相場金額がわかるそうです。但し、車の傷や汚れなどの状態は実車をみて判断することになるため最終的な金額は決まることになります。

不動産の価格の場合、価格形成要因のうち駅距離や道路幅員、用途地域(建蔽率や容積率)など、具体的な数字がわかる要因については、AIによる査定も可能だと思います。但し、地域の品等や隣接地の状態など数値化できないものに関しては、現時点ではAI査定は難しいと思います。

不動産の存する地域が異なる場合、駅距離や道路幅員、容積率など数字上同じであったも、偶然の一致を除いてその不動産の価格は同じになることはほとんどなく、通常価格差は発生することになります。

但し、AIが発展し、品等などの地域性や土地及び建物の詳細な個別性を判断できるようになった場合、不動産の鑑定評価の仕事も不動産鑑定士からAIに取って代わられることになると思います。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

容積率700%の豪邸の鑑定評価

2020-08-28

施工の質や品等がよく、延べ面積の広いいわゆる豪邸の鑑定評価は難しい場合が多いです。このような高額な一般住宅を買う需要者が限られますし、類似性の高い取引が少なく、価格を把握することが難しいことが理由となります。

ネットで、東京の皇居前の80坪の豪邸が競売に付されるとの記事を見ました。土地の面積は約80坪、建物は2階建て、1階部分は9部屋あるそうです。ちなみに売却基準値価額は4億5千万円だそうです。

この不動産が存する地域の容積率は700%、鑑定評価でいう最有効使用は現行の一般住宅ではなく高層ビルかホテルになると思います。従って、この不動産の建物は落札後、取り壊されることになると思います。

このように取り壊されることを前提とした鑑定評価上の最有効使用を、取り壊し最有効といいい、更地価格から取り壊し費用を控除して求めることになり、現行使用を前提とした場合とは鑑定評価の方針が違ってきます。

ちなみに不動産業者の話では、この今回の競売不動産、資金力のある業者なら8億円出すかもしれない、とのことですが、いくらで落札されるでしょうか?興味深いですね。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

木造住宅簡易鑑定士

2020-08-27

不動産の鑑定評価は、不動産の価値を貨幣額で表す、すなわち不動産の適正な価格を求めることで、不動産鑑定士価格を求めていますが、木造住宅簡易鑑定士という資格があることを知りました。

主に築年数の経た木造建物の劣化状況を調べ、再生可能か解体かの判断をするそうです。社会問題となっている空き家の流通や適正管理につなげることを目的としているようです。

空き家の数は、今後ますます増えていくことが確実であり、私たち不動産鑑定士も含めて官民一体で取り組む必要があると思いました。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

不動産の鑑定評価と適正価格

2020-08-26

不動産鑑定士鑑定評価を行う上で指針となる不動産鑑定評価基準によれば、不動産の鑑定評価とは、「現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格を、不動産鑑定士が的確に把握する作業に代表されるように、練達堪能な専門家によって初めて可能な仕事であるから、このような意味において、不動産の鑑定評価とは、不動産の価格に関する専門家の判断であり、意見であるといってよいであろう。」とされています。このように、不動産の鑑定評価は、不動産適正な価格を求めることであるということができます。

この適正価格ですが、不動産の鑑定評価以外でも重要だと思います。例えば、飲食店のメニュー表には、その料理の値段が記載されていますが、材料の原価+費用(人権費や光熱費等)+利益で構成されるかと思います。その値段が、明らかに高い場合、消費者から適正価格ではないと判断されてしまいます。

競争が厳しい飲食業界、つぶれずに残っているお店は、適正価格で料理を提供している場合が多いと思います。もちろん、それ以上の価値、味や量があるお店は繁盛していますね。

私も依頼者から頂く鑑定報酬以上の仕事をするよう常に意識し、信頼を維持するよう仕事をします。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

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