Archive for the ‘鑑定評価の話’ Category

大規模土地と複数建物の鑑定評価

2022-04-15

大規模な工場地には、工場や倉庫、事務所棟など多数の建物が存する場合が多く、鑑定評価をする場合、土地と複数建物が評価の対象となります。

かなり前、ある研修所跡の鑑定評価書を見たことがありますが、研修棟や寮、体育館などは価値0円で評価されていました。築年を経ており、アズベストの存在が理由でした。ちなみに買い手はその建物をそのまま利用するとのことでした。

先日、旧パナソニック岡山工場が売却され、買い手は物流倉庫として利用するとの記事を見ました。売却額は非公開でした。

記事を読みますと、買い手は工場建物を物流倉庫としてそのまま利用するとのこと、売り手にとっても買い手もとってもよい取引だったと思います。また、まだ利用できる建物を存続させるという社会経済的利益保護の見地からも喜ばしいニュースだと思います。

利用できる建物が取り壊されるのは残念なこと、今回のような建物の再利用を前提とする売買取引が増えて欲しいと思います。

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継続賃料の鑑定評価

2022-04-07

家賃の賃料改定に伴う継続賃料の鑑定評価は、作業量や評価主体の判断を要する箇所も多いため難しい評価になることが多いです。

継続賃料の鑑定評価を行う前提として、対象不動産を新規で借りる場合の賃料(新規賃料)を求めることになりますが、地価上昇及び建築費の高騰により、積算賃料が著しく上昇している印象があります。また、スライド法による料も、原油価格の上昇をはじめ各種物価が上昇しており、高めの賃料が算出される傾向にあります。

このような実態を反映して、継続賃料の鑑定評価額も上昇傾向にあると判断されますが、先日、東京赤坂の議員宿舎の家賃が値下げされたとの記事を見ました。3LDKで延面積約82㎡、月額家賃13万8066円から12万4652円になったそうです。東京都心の一等地で家賃12万5000円、破格の安さだと思います。

国家公務員宿舎法では、経年劣化を家賃に反映させると規定されているとのことですが、コロナ禍で国民が疲弊している中での議員宿舎の家賃の値下げ、世間からの批判は免れそうもありません。

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高級住宅の鑑定評価額

2022-03-26

高級住宅は名声・品等に優れた住宅地域の存し、施行の質がよく、規模も大きい建物を有する土地建物を指し、そのような不動産の鑑定評価は難しいことが多いです。

高級住宅は総額が高く、需要者が限られるため通常の戸建住宅と比較して売買が難しく、また、施主の好みを反映した設備等が却って買い手から敬遠されることがあるため、何らかの市場性減価が発生することが多いです。このような市場性減価が発生するか否か、また発生した場合の減価率の決定に苦労することが多いです。

高級住宅地であっても不動産鑑定評価の場合、通常は建物に価値を付けることになりますが、実際の市場では購入者は開発業者であることが多く、築年が浅く老朽化や陳腐化、破損等がなくても取り壊されて分譲されることも多くあります。

過去の取引もみても、売りに出してすぐに売れているケースもあれば、中々売買が成立しない場合もあり、金融市場の動向、地域の需給動向、売り出すタイミング等も考慮しながら鑑定評価額を決定する必要があります。

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大規模工場地の鑑定評価

2022-03-16

自動車などを製造する大規模工場地の鑑定評価は難しい評価の一つになり、土地建物の価格に付属する機械・器具等の価格を加算し積算価格を試算します。このように工場財団は鑑定評価は特殊な評価にあたり、膨大な資料を分析検討する必要があることから、主に大手の鑑定事務所が行うことが多いです。

先日、岐阜県坂祝町の旧パジェロ製造の岐阜工場が大王製紙に売却されるとの記事を見ました。売却額は40億円前後、土地建物の価格だそうです。

今回のような買い手が製造業の場合、既存の工場などの設備を使用できるため建物にも価値が付きますが、工場以外の他の用途に転換する場合には取り壊し・撤去費を土地価格から控除するのが一般的です。

旧パジェロ製造の工場は、立地的に他の用途への転換が難しく、地域の雇用維持や建物等の経済的利益保護の点からも、大王製紙への売却でよかったのでは、と思います。

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路線沿いの土地の鑑定評価

2022-03-14

幅員が広く交通量の多い路線沿いの土地は、一般的に郊外であれば低層店舗、市街地で駅距離や容積率に優れた土地あれば店舗付きマンション、中心市街地であればオフィスビルとして利用されることが多いと思います。最近は中心市街地であっても高層マンション、コロナ禍前であればホテルになることも多いです。

路線沿いの土地、交通量や背後地に優れ、収益力のある地域であれば商業系施設として利用されることが多いですが、路線が衰退傾向にあったり、商業性、収益力に劣る地域になると、最近は分割されて戸建住宅になるケースも多く見られます。

このような土地を住宅地として鑑定評価するとなると、やはり騒音や振動、車庫の出し入れの容易性が劣ることから、背後の住宅地との比較で低めの鑑定評価額になることが多いです。

路線沿いの住宅地、騒音や振動に加えて、風水的にもよくないとの記事を見ました。風水を鑑定評価額決定の要因にすることは難しいですが、やはり住宅地として好ましくない土地は価格に織り込まれており、取引価格も低くなるように感じます。

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特殊な設備のある建物の鑑定評価額

2022-03-12

建物の鑑定評価を行っていると、時々、特殊な設備のついた建物に遭遇することがあります。私が経験したのは、防音設備のあるスタジオのある建物、同じく防音設備のあるピアノルームのある建物、地下にトレーニングルームのある建物、リビングに滑り台、庭にツリーハウスのある建物等、全て所有者の趣味で造られたものでした。

このような建物の場合、設備に多額の設置費をかけていても増加要因にはならず、汎用性が著しく劣る場合などは減価要因になります。所有者の趣味で内装などが豪華であっても、それが一般の人には奇抜ととられるような場合、市場性が劣ることから減価要因になるのと同じ理屈です。

先日、屋上に天体観測用のドームがある不動産についても記事を見ました。天体観測用のドームがある建物、名古屋でも時々見かけます。

このような建物を鑑定評価する場合、ドームを物置などに使用できる可能性はありますが、やはり一般の買い手は敬遠すると考えられ、市場性減価を考慮し、鑑定評価額は低めになると考えられます。

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築浅マンションの鑑定評価

2022-03-08

中古マンションを含め土地と建物の鑑定評価を行う場合、建物の施行の質、品等と並び築年数も価格に大きな影響を与えます。

不動産業界では、築浅の中古マンションは残価率が大きく、新築マンションとの比較で価格の値頃感が少なく売りにくいというのが一般的でした。但し、昨今の新築マンションの高騰に引っ張られる形で中古マンションも値上がりしています。話では、駅近物件などは築浅マンションが新築マンションを上回る価格で取引されているケースもあるそうです。

確かに中古マンションの鑑定評価を行うと、ここ数年で取引価格が大きく上昇したと感じます。特に鉄道路線の良い駅近物件や学校の良い物件で高額での取引が目立ちます。

ちなみにデータでは、築30年以上のマンション価格は新築マンション価格の3分の1程度まで下がるそうです。築30年であれば躯体や設備の老朽化や陳腐化もあり、もっと価格が下がる印象ですが、意外に思いました。

リモートワークの普及で戸建住宅の人気が高まったとの声がある一方、中古マンションも高値で取引されるとの記事を見ると、マンションの人気はやはり根強いと思いました。

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1階が飲食店舗のマンションの鑑定評価

2022-03-04

区分マンションの鑑定評価は、類似性のあるマンション(取引事例が同一マンション内だとより類似性が高い)の取引事例から比準した比準価格、費用性に着目し、1棟土地建物の再調達原価に位置別及び階層別効用比を乗じて求めた積算価格、収益性及び投資採算性に着目し、賃貸を想定することで求められる収益価格を求め、鑑定評価額を決定します。

先日、1階が飲食店舗のマンションの記事を見ました。臭いや騒音、ゴキブリなどを理由に敬遠する人が多いように感じました。以前にも書きましたが、1階が仕出し屋さんのマンションを買われた方が、臭いは相当気になると言っていました。

一方、一人暮らしに人などは、1階が飲食店舗だと常連になれたり、夜など逆に安全、などよい印象をお持ちの方もいます。

このような1階飲食店舗のマンション鑑定評価する場合、その点を特に価格形成要因として考慮しないのが通常ですが、例えばお店の前に行列ができる程の人気店である、換気扇からの煙で外壁が汚れている、など明らかにマンションの資産価値に影響を与えていると判断される場合は、減価要因になると考えられます。

私は以前、飲食店ではありませんが1階店舗の賃貸マンションに住んだことがありますが、印象はよくなく、できれば避けたい思いはあります。

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傾斜地の鑑定評価

2022-03-02

傾斜地の鑑定評価は評価する不動産鑑定士の力が試される難しい評価になります。傾斜地は傾斜の角度によっては現状での土地利用が難しく、減価を考慮することになります。土地価格比準表、財産評価基準、固定資産税評価基準などの計算式による減価率の査定、盛土や切土、擁壁の設置で対応できる場合はその費用を積算、開発業者による見積額などを土地価格から控除して傾斜地の鑑定評価額を決定します。また、農地や山林などの場合は、傾斜の向きも考慮し減価率を査定します。

傾斜地で既に擁壁が設置されている場合は、擁壁の状態(コンクリート擁壁か石積み擁壁か、クラックや反りの有無、水抜き穴の有無など)を考慮し、鑑定評価額を決定します。擁壁の再利用が困難と判断された場合は、旧擁壁の撤去費用及び新擁壁の設置費用を考慮することになります。

先日、敷地の半分が急傾斜地に建てられた家の記事を見ました。1階部分を玄関、水回り、ビルトインガレージにした4階建ての建物でした。名古屋市でも東部の宅造区域を中心にこのような建物は多く見られますが、建物の建築費は割高になる傾向があります。

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旗竿地の鑑定評価

2022-02-26

旗竿地とは、宅地部分と路地状部分からなっている土地をいい、袋地(法律の観点では無道路地を指す言葉だそうです。)、敷地延長、敷延、延敷などと呼ばれることもあります。

旗竿地は前面道路から奥まったところに建物が建つことになるので、日照、通風や眺望などが一般的な土地より劣ることになるので、価格は安くなる傾向があります。また、最近は敷地に車を2台以上駐車できる土地が好まれ、縦列での駐車となることも敬遠される要因のようです。

旗竿地の鑑定評価は、私は主に土地価格比準表や坪田式、仲介査定で用いられる計算式にで減価率を試算し、不動産業者からのヒヤリング結果や実際の売買事例などから把握した減価率を比較検討して鑑定評価額を決定しています。今までの経験では、15%~20%程度の減価になることが多いです。

旗竿地ですが、建築基準法が施行される以前の古い旗竿地の場合、間口が1.8mの土地も多くあり、再建築が困難なケースがあることには注意が必要です。このような間口要件を満たさない土地の鑑定評価は、前記旗竿地とは違ったアプローチ、無道路地の鑑定評価に近い方法にて減価額を査定することになります。

なお、旗竿地のメリットとしては、価格が割安であることに加えて、奥まったところに建物があるので静かだ、との声を聴いたことがあります。近隣の音は住んでみると意外と気になるものなので、静かに生活したい人には良い買い物なのだと思います。

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