Archive for the ‘鑑定評価の話’ Category
霊園が見える不動産の鑑定評価
眺望、景観は不動産の価格を形成する要因であり、特に高層マンションは、夜景などが楽しめる階層や位置の部屋の価格が高くなる傾向があります。
先日、ネットでマンションの部屋の窓から霊園が見える不動産について書かれた記事を見ました。不動産の鑑定評価を行う場合、通常、お墓は嫌悪施設として扱われ、隣地など影響があると判断される土地は減価が発生することになります。
今回のマンションから見える霊園が減価要因になるかとどうかの判断ですが、私は霊園の存在が眺望や景観に与える影響はないと思います。名古屋市でも大規模な霊園である平和公園、八事霊園、覚王山墓地などは全て高級住宅地の近くに立地しており、その環境の中に溶け込んでいると判断されますし、私は先人に守られている気がして、何だか安心します。
但し、これは不動産鑑定士としての私の意見であり、状況によっては景観が劣るとして減価することもあると思います。また、他の評価主体は違った判断をするかもしれません。
愛知県・名古屋市の不動産鑑定評価なら「松岡不動産鑑定士事務所」
法面や擁壁のある土地の鑑定評価
法面とは、水平ではない土地をいい、通常の平面の土地と同様の利用ができないため、不動産鑑定評価において減価することになります。
その減価額ですが、傾斜度や傾斜面の向き(方位)を考慮して試算することになります。傾斜度が緩く、耕作や資材を置く程度のことが可能か、建物を建築するとした場合、盛り土や擁壁の設置にどの程度費用が価格か、などを考慮します。
今朝、大阪市で法面が崩れ、土地上の建物が倒壊したとの記事を見ました。幸い、住民の方は避難していて無事だったそうです。写真を見る限り、擁壁はかなり古く痛んでいたようです。
擁壁のある土地を鑑定評価する場合、宅地造成工事規制区域であれば許可番号や設置された年月日を調べます。宅造区域以外の場合、記録がないので建築許可の記録を調べますが、保管期間が過ぎたものは記録がなく、聞き取りや過去地図、航空写真、開発された経緯などから設置された時期を推測することになります。
擁壁は設置された土地の属する自治体によって設置基準が異なるため、建築時期などから一律に判断することが難しく、場合によってはとても難しい鑑定評価になります。
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不動産鑑定評価の地歴調査
不動産の鑑定評価を行う場合、その土地の歴史(地歴)を調べることになりますが、依頼者から専門業者が作成したエンジニアレポートを頂く場合を除き、評価主体ができる範囲内で行います。
具体的には、閉鎖登記簿、過去地図(図書館で可能な限り古いものから10年おき刻みくらいで)、過去の航空写真、地形図を取得し調査します。入手できるときは宝典図を使用することもあります。
過去地図、最近はインターネットの地図サイトで東京の過去地図を見れるサービスもあります。東京で鑑定評価する場合、不動産鑑定士の方が利用しているのでしょうか?
先日、「大江戸今昔物語」というアプリがアップデートされ、東京に加えて静岡市と川越市の古地図も見られるようになったそうです。対応エリアは全国に拡大予定とのこと、名古屋も見られるといいですね。今から楽しみです。
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ガソリンスタンド跡地の鑑定評価
先日、仙台市の中心部でガソリンスタンドが閉店し、マンション建設が進んでいるとの記事を見ました。中心部の土地は固定資産税等の負担が重く、経営は大変だと思います。また、マンション建設ラッシュが続く中、マンション素地として高値での売却を持ち掛けられ、閉店を決断するオーナーも多いのかな、と思います。
ガソリンスタンドの跡地ですが、ガソリン、オイルなどによる土壌汚染が懸念され、汚染土の洗浄や除却に多額の費用が掛かることからそのままでの開発が難しいと言われていました。不動産の鑑定評価を行う場合、汚染の程度で土地価格から減価することになりますが、洗浄等に係る費用分を控除することになります。
但し、洗浄や除去に係る費用は高額となるため、地価が安い地方などでは土地価格がマイナスとなるケースも考えられます。このような理由から、地方のガソリンスタンド跡地は車販売店舗や駐車場、資材置き場になることが多いと考えれられます。
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ゴミ屋敷の鑑定評価
時々見かけるゴミ屋敷、庭にゴミや不要物がいっぱい置かれており、中にはゴミが道路にはみ出ているケースも見られます。このようなゴミ屋敷は近隣でも有名になっているケースが多く、鑑定評価を行う上で考慮する必要があります。
鑑定評価の手順としては、まず、土地・建物の価格を出した後、ゴミの撤去・処分費を控除し、そこから必要に応じて建物内外の清掃費などを控除することになりますが、心理的嫌悪感(スティグマ)をどう見るかが問題となります。
先日、ネットで学習塾を開く目的で購入した物件が元ゴミ屋敷だった、との記事を見ました。このような場合、減価の対象になると思われますが、ゴミ屋敷の程度や近隣の認知度などから判断することになると思います。このケースでは、ゴミはもちろん、排泄物の臭いも残っていたそうで、建物を再利用するケースでは、現状回復が可能か否か、また、回復に必要となる費用も含めて慎重に判断する必要があります。
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騒音と鑑定評価額の関係
騒音は振動と並び人が生活する上で苦痛を伴うものであり、受忍の限度を超えるものであれば不動産の鑑定評価において減価要因となります。
この騒音ですが、工場の機械音や車、電車や航空機の音などが代表的ですが、最近では小学校や幼稚園、保育園など子供の声やチャイム、放送音などが騒音に当たるかが争いになっています。
少し前ですが、東京都で隣家から聞こえるカエルの鳴き声が騒音に当たるかが裁判になりました。隣家の住民が飼っていたのか否かは不明ですが、主張を読むと6~7匹生息していたとなっていました。
ちなみに判決は原告の敗訴、的確な証拠がなく受忍の限度を超えるものではないとの内容でした。
騒音被害のある土地を鑑定評価したことはありませんが、騒音の測定を行う必要があり、判断に関しても難しい評価になると思います。
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飛行機の鑑定評価と動産鑑定士
ネット記事で、ルーマニアのチャウシェスク元大統領の飛行機が競売に出されるとの記事を見ました。開始価格は2万5000ユーロ(約331万円)だそうです。119人搭乗可能なジェット機となっており、開始価格を考えると飛行可能な状態にするのに相当に整備が必要となりそうです。
このような飛行機などの動産の鑑定評価、日本では不動産鑑定士が評価を行いませんが、海外では鑑定士が動産評価を行っている国もあるようです。日本の不動産鑑定士も動産評価が行えるようになれば、ビジネスモデルは広がると思います。
先日、動産の鑑定を扱っている会社の方の記事を見ました。事業性評価、知的財産、太陽光発電所などを公認会計士や不動産鑑定士などとネットワークして評価しているそうです。私も以前、弁理士の方から特許の評価が可能か問い合わせを頂いたことがあります。
私見ですが、事業性評価や知的財産など、目に見えないものを動産と扱うのは少し無理かあるかな、とは思います。今後、事業性財産の評価の需要が増えていくと考えられますが、不動産とは別に動産、知的財産鑑定士などとして法整備される必要があると思います。
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事故物件が不動産価格に与える影響
不動産鑑定評価において、事故(自殺、他殺等)があった物件は、心理的瑕疵(スティグマ)が発生し、当然、市場性も劣ることから相当の減価を行うことになります。
国土交通省は不動産取引の際の告知で、老衰や病死などの自然死の場合には事故物件扱いではなく、告知義務はないとする指針案を公表しました。事故物件となると、不動産賃料や価格の下落は免れず、高齢者への賃貸を敬遠するケースが増えてきたことが理由だそうです。
但し、自然死であっても死体の腐敗が進んだ場合等は告知義務はあり、賃貸物件の告知義務期間は死亡から3年間に限るとのことです。
私は以前、高齢者の病死した賃貸物件に入居したことがありますが、特に気にすることもなく、また、家賃も安くなかった覚えがあります。ますます進む高齢化社会にあった今回の改正、歓迎する声は多いと思います。
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大規模工場の鑑定評価
先日、韓国の元徴用工訴訟で敗訴した日本の製鉄会社の資産を売却する手続きに入ったとの記事を見ました。日本と同じく、売却・現金化するため鑑定士が資産の鑑定書を作成し裁判所に提出したそうです。鑑定士の鑑定評価額が開始価格・最低落札価格になると思われます。
対象となる資産は、大手製鉄会社の資産であり、都心のオフィスビルに加えて製鉄所などの大規模工場地も含まれているのでしょうか。このような大規模工場の鑑定は、類似性の高い取引事例も少なく、土地に存する建物も多種・多様に渡っておりとても難しい評価になります。
工場に限らず商業施設などの大規模な不動産の鑑定評価は、作業及び判断の難しさに加えて総額が高額になることから裁判などで争いになることが多いです。裁判に耐えうる鑑定評価書を作成するためには、高度の知識と経験に加えて、規範性の高い資料を収集する能力が必要となります。
今回の元徴用工訴訟、韓国の裁判所は売却命令を出すのか注目していきたいと思います。
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廃墟ホテルの鑑定評価額
土地と建物を一体で鑑定評価する場合、価格も土地建物一体の総額で決定することになります。但し、鑑定評価手法の内、原価法(不動産の費用性からアプローチする手法)による積算価格は、まず土地の価格を試算し、その後、建物の価格を求め、その総額から市場性減価を考慮して求めることになるので、土地と建物の価格は別々に求められます。
建物の老朽化、陳腐化等が激しく、取り壊しによる鑑定評価が最有効と判断される場合、土地の価格から建物解体費を控除して鑑定評価額が求められます。従って、地方など土地の価格が安く、建物解体費が土地価格を上回てしまう場合、理論上、評価額はマイナスになる可能性があります。
先日、島根県で廃墟ホテルを町が1000円で購入したとの記事を見ました。ちなみに建物の撤去費とその後の公園の整備費等事業費は約1億5000万円とのことです。単純に計算すれば、事業費から公園整備費を引いた建物撤去費+1000円が、土地価格だったということでしょうか。
事業費の内訳は不明ですが、今後、このような老朽建物を自治体が購入するケースは増えていくものと考えられます。
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