Archive for the ‘不動産のお話’ Category
景観権のお話
街の景観、特に品等のよい住宅地域では敷地の規模や建築物の用途、高さなどを条例や地区計画で定めることで、美しい街並みを守る努力がなされています。
最近、地価の高騰に従い、画地を小さく割った戸建住宅、いわゆる狭小戸建住宅が増えています。そのような狭小戸建住宅の建設計画の話が出ると、古くからの住民の方から反対運動が起きることがあると聞いたことがあります。
先日、別荘地として名高い長野県軽井沢町で、住民が大型ホテル建設計画の規模縮小を求めるとの記事を見ました。求める変更の内容は、建物を周囲に調和させ、3階建てを2階建てに変更することだそうです。
景観権は眺望権と同じく、権利として認められる可能性は低いですが、景観の悪化による不動産価格の下落を懸念しているようです。
観光地にふさわしくない建物の建築は避けるべきだと思いますが、購入した土地の開発に制約を掛けられる不動産業者の想いも考慮すべきだと思います。
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建築資材の高騰のお話
ウッドショックに始まり、ウクライナ危機、円安などの影響で建築資材が以前より騰しています。戸建住宅の購入を考えている個人はもちろん、大規模な建築物を建設する事業者にとっても頭の痛いところだと思います。
大規模な建築物と言えば、北海道北広島市で開業予定の日本ハムファイタースの新球場の最寄り駅の建築費、2019年12月の当初概算額80億円から90億円だったものが、総工費115億円から125億円になる見通し、との記事を見ました。約4割前後、価格が上がっていることになります。
また、大阪万博の迎賓館の建築工事費、昨年9月の入札予定価格が27億円でしたが応札がなく、昨年12月の再入札にて大手ゼネコンが34億円で落札したそうです。約7億円の価格上昇となりました。
マンション開発業者も、建築費の高騰により高層のマンションの採算性は悪化しており、10階建て程度のものが増えているとの話を聞いたことがあります。
今後、建築費の高騰が続けば、大規模な開発プロジェクトが中止になるケースも増えていくと思われます。
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都心の一等地の面大地の地代
規模の大きな土地を面大地と呼ぶことがありますが、条件のよい面大地で高額な取引が見られるようになりました。
都心の一等地や駅近物件、容積率などに優れた土地であればマンション用地、都心から離れた地域であっでも広幅員の道路に接していたり、インターチェンジへのアクセスに優れた土地であれば物流倉庫としての需要が価格を押し上げています。
昨日、さいたま市の大宮駅近くの面大地の募集地代が1億3500万円との記事を見ました。駅から約500m、広さは約1.8ヘクタール、期間30年から70年の定期借地契約だそうです。
再開発案件であり、事業者の負担となる条件はついていますが、説明会には約40法人が参加したそうです。
人口の増加が続くさいたま市、事業者にとっては魅力的な土地なのだと思います。
ますます発展を続けるさいたま市、この地域が今後どのように発展していくか興味深く見守りたいと思います。
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買い手のいない不動産のお話
地方の過疎化が進む中、需要のない、いわゆる売れない、買い手のいない不動産が増えています。地方の空き家問題などはその代表的なケースだと思います。
最近、廃業した地方の大規模商業施設の跡地利用が問題になることがありますが、主要駅の近くであっても、衰退の進んだ商業地域の場合、新たに進出する事業者は少なく、売却が難航しているところも多いみたいです。
先日、山形県の大規模小売店の売却が進んでいない、との記事を見ました。今年夏までの売却目標でしたが、現時点で購入希望者はないとのことです。
また、新たな事業者が見つかった場合であっても、失敗するケースもあります。大分県では、旧高校跡地でオープンした複合施設が半年で事業停止した、との記事を見ました。商業施設は競争が激しく、地方の人口が少ない地域では当初から苦戦が予想されたと思います。
物価高などで消費が冷え込む中、地方の商業施設の廃業が進み、売却後の跡地利用も難航するケースが増えていくと思われます。
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不動産の転用のお話
土地建物の不動産売買の場合、買い手は、⓵建物を取り壊して、更地化後、新たな建物を建築して利用する、②現況又はリフォームして土地建物をそのまま使用する、②建物を他の用途に使うことを前提に、大規模なリノベーションを行う、など使用方法が考えられます。
売買の対象となる建物が老朽化していたり陳腐化している場合は取り壊すことが最有効となるケースが殆どですが、建物の継続使用が可能な場合、取り壊しか再利用かの判断が難しいこともあります。
先日、旧相撲部屋がちゃんこ屋に生まれ変わった、との記事を見ました。相撲部屋はけいこ場があったりと特殊な造りになっているので、大規模なリノベーションなしで建物を他の用途に転用は難しいと思いますが、ちゃんこ屋さんならそのまま利用できますね。
もし自分が相撲部屋の鑑定評価をするとしたら、建物の状態にもよりますが、相撲部屋は沢山の力士たちが生活する場所なので、寮やシェアハウスなどへの転用を想定するかもしれません。
お相撲さんが作ったちゃんこはかなり美味しいと聞いたことがあります。私も是非一度食べてみたいです。
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埋蔵文化財包蔵地のお話
埋蔵文化財包蔵地とは、古墳時代の竪穴式住居跡や焼き物を焼いた窯場などが埋まっている土地をいい、市町村の教育委員会などが所在地を記載した地図を管理していることが多いです。
対象不動産が埋蔵包蔵地であった場合、まず試掘を行い、その後、必要な場合は本掘を行いますが、この土地の所有者が法人の場合、その費用は所有者負担であり、事業完了時期も遅延することから敬遠されることが多いです。
また、不動産業者が土地の開発行為を行う際、事前にこの地図みて調査を行うのですが、時々、地図に載っていない遺跡跡などが見つかる場合もあります。
先日、大阪府豊中市のビル建設予定地から古墳時代の集落跡が見つかった、との記事を見ました。上空からの写真を見ましたが、掘削深さは50cmくらいでしょうか、よく今まで見つからずにいたと思います。
少し古い話ですが、名古屋でも読売新聞の社屋建築の際、遺跡が発見されたことがありました。読売新聞の方から織田信長のお父さんの住居跡と聞いた覚えがあります。お金も時間もかかる発掘調査、新聞社の方も諦めの雰囲気でした。
日本は遺跡の多い国であり、掘れば何か出てくる、と言った方がいました。資金に余力のある大企業の場合はよいですが、開発予定地が埋蔵文化財の包蔵地であった場合、中小の零細企業にとっては頭の痛い話となりそうです。
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新築マンションのステルス値下げ
金融緩和による低金利政策が続く中、新築マンションの売れ行きが好調です。駅至近などの立地のよい物件であれば、強気の価格設定であっても売れ行きは好調のようです。
この新築マンション、土地の価格や建築資材の高騰により販売価格は上昇していますが、不動産業者の上昇を続ける価格を抑えるため、色々と工夫しているようです。
先日、新築マンションがステルス値下げされている、との記事を見ました。述べ面積を狭くしたり、設備や仕様を落としたり、天井を低くしているそうです。
記事によれば、10年前の3LDKであれば、延面積70㎡超が一般的だったのが、最近は60㎡台のものが増えているそうです。3LDKで60㎡台ですと、部屋の狭さや圧迫感が気になると思います。
新築マンションの延面積ですが、バブル期は100㎡を超えるものも販売されていましたが、リーマンショックなどの経済危機が起こる度に狭くなっていった印象があります。
ここに来て今回のウクライナ危機や円安による資材の高騰、マンションの延面積は狭くできる限界に近くなっている感があります。
今後、さらなる建築資材の高騰が続いた場合、新築マンションの価格や延面積はどう変わっていくか、注目して見守りたいと思います。
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戸建住宅の修繕費
戸建住宅の修繕費、以前は水回りやフローリング、クロスなどを交換する場合、標準的な建物で250万円~300万円が相場と言われたものですが、最近は建築資材等が上昇しており、修繕費も値上がりしている状態です。
特にウッドショック、ウクライナ危機に加えて円安により新築建物の価格が高騰しており、中古建物を購入しフルリフォームする需要者が増えているそうです。
先日、延面積30坪程度の戸建住宅の修繕費が30年間で800万円~1000万円、との記事を見ました。この金額には水回りや内装だけではなく、外壁などの外装のメンテナンス費用も含まれていました。
30年間の修繕費を900万円とした場合でも、年間約30万円を積み立てる必要があり、理想的ではありますが現実的ではないという印象です。
最近の戸建住宅は施工の質が上がっており、築年を経た建物でも通常の使用方法であれば著しい老朽化は見られないものが多いです。
但し、中古の戸建住宅は個別性が強く、築年が同じでも施工の質や前オーナーの使用方法などで建物の程度に差がでることになります。購入後の修繕費も違ってくるため、購入前に建物の状態について十分把握することが大切です。
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シェアハウスあれこれのお話
シェアハウスは一つ屋根の下、他人同士が共同生活する住宅であり、以前は利用者は若者といったイメージでしたが、最近はシングルマザーや高齢者向けのものシェアハウスも見られるようになりました。
シェアハウスは日本の不動産市場に根付いた感があり、シェアハウスを専門に扱う不動産会社や、実際にシェアハウス投資を行っている投資家もおられます。
シェアハウスは多人数が居住することになるので、建物の広さや間取りは重要であり、以前は寮や旅館などだったところが転用されることが多いようです。また、部屋数の多い一軒家、特に空き家だった物件をシェアハウスにするケースも増えてきました。
変わったところでは、以前、お子様が利用していた部屋を賃貸するケースもあるとのことです。家族が居住している家の一部を間貸しする、昔、都心の大学近くで多く見られた下宿と同じですね。
現在は防犯上の問題もあり、上記のようなシェアハウスの形態が普及しにくい時代ですが、身元のしっかりした入居者であれば受け入れたいと考える方は多数おられるのではと思います。
孤独に悩む人が増えている昨今、新たな居住のスタイルとしてシェアハウスがますます増えていくのかもしれません。
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別荘地の価格
別荘地というと、富裕層が夏に避暑に訪れるリゾートというイメージが阿ありますが、実際にはそのようなブランド力のあるリゾートばかりではなく、限界集落に近い朽ち果てた別荘地も多く存在しています。
先日、その中でもブランド力があり、全国的な知名度を誇る人気別荘地の価格ランキング記事を見ました。気になるベスト3の結果ですが、
3位:千葉県館山市(16.9万円/㎡)
2位:長野県北佐久郡軽井沢町(28.7万円/㎡)
1位:神奈川県三浦郡葉山町(41万円/㎡)
となりました。
ベスト3は全て首都圏ないしは首都圏から新幹線で行くことができる範囲にあり、高原リゾートは軽井沢町のみ、他の2つは海岸リゾートとなりました。その中でも第2位の軽井沢町、第1位の葉山町は皇室との縁の深い町であり、葉山町は御用邸もありますね。
やはり人気の別荘地、価格も高く、特に軽井沢町と葉山町は庶民には手の出ない価格となっています。
以前、軽井沢町は長野県で唯一国から交付金を受けていない自治体と聞いたことがありますが、町の税収のほとんどは固定資産税と考えられます。
来年は固定資産税の評価替えの年、人口減や産業の衰退に悩む地方の自治体がある一方、固定資産税という安定した財源がある人気リゾート地、価格の格差がますます開きそうな気配です。
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