Archive for the ‘不動産の価格’ Category
機械式駐車場のあるマンションの鑑定評価額
中心市街地など土地に余裕のないマンションの場合、駐車場附置義務を満たすため機械式駐車場を設置しているマンションは多くあります。機械式駐車場は、狭いスペースに複数台の車を駐車できるというメリットはありますが、管理費や修繕積立金の負担はあります。
また、機械式である以上、いつかは老朽化により修繕不能をなる時期は来ますので、相当以前に設置された旧式の機械式駐車場を設置したマンションの鑑定評価額は、何等かの減価が生ずるものと考えられます。
また、最近では、車を持たない世帯も増えており、空きの多い機械式駐車場が設置されている場合、管理費や修繕積立金の不足が発生している可能性もあります。このようなマンションの鑑定評価を行う場合、以上の2点は注意する必要があると思います。
愛知県西三河エリアのマンション価格
愛知県西三河エリア(豊田市、安城市、岡崎市、刈谷市、知立市)は、名古屋市の東方、三河地方の西部に位置しており、トヨタ自動車をはじめとする自動車産業の盛んな地域で、地価もコロナ禍が始まるまでは上昇傾向が続いていました。
騰落率35.7%と驚異的な騰落率での駅別の1位は、JR東海道本線の「岡崎駅」でした。トヨタ関連企業の従業員のベッドタウンであり、2016年の岡崎東インターチェンジの開通による利便性の向上が理由のようです。駅別の2位は、JR東海道本線の「刈谷駅」の14.4%、こちらも二けたを超える騰落率となりました。
長期にわたり地価上昇が続いていた西三河エリア、今回のマンション価格もそのような傾向を反映した結果となりましたが、今回の新型コロナウィルス感染症の影響が今後のマンション価格にどのように現れるか、注視したいと思います。
令和2年相続税路線価と新型コロナウィルス感染症の影響
7月1日に国税庁から発表された相続税路線価は、土地に関する相続税・贈与税の課税の基準となるもので、実勢価格(時価)の80%と言われています。
その路線価ですが、全国平均で上昇しており、特に都市部やリゾート地などでは大幅な上昇となりました。但し、その価格時点は1月1日時点となっており、今回の新型コロナウィルス感染症蔓延の影響がない時点の価格となっています。
従って、今年、土地の相続が発生した場合、どのように新型コロナウィルス感染症による減価を反映させるかが問題となります。国税庁は、地価下落が発生した場合は便宜を図る方向で検討しているそうです。
但し、前記のとおり相続税路線価は、実勢価格(時価)から20%引いた価格となっており、20%を超える減価が発生する可能性があるかは不明ですが、注視する必要はあると思います。
地価40億円の土地と再開発のお話
大規模再開発が続く東京で、今年2月に新たな再開発計画が竣工しました。場所は東京の大手町1丁目、周辺の土地の価格は地価公示価格で1坪訳9091万円だそうです。
その開発計画ですが、平将門の首塚を残す形で計画されているそうです。何でも、過去、このような開発計画が起こる度に事故が多発し、一部は強化ガラスで保護されています。ちなみに、その首塚の広さは約44坪、公示価格ベースで40億円強になります。
今回のような大規模な再開発の場合、期間も長期に及びますし、工事期間及び開業後の安全を考慮したものではないかと考えられます。
このような畏敬の念から残されているものとして、今回の首塚の外、ご神木があげられます。大阪や名古屋でも、ご神木を残す形で道路の整備を行った場所があります。
そういえば、リニモ新幹線の工事に伴い移転されることが決まった名古屋市中村区の椿神社ですが、ご神木を伐採する業者が決まったと聞いたことがあります。神社の移設の際には丁重にお祀りして、無事に工事が終わることを祈っています。
部屋の間取りと不動産価格の関係
先日、ネットでおかしな間取りについて書かれた記事を見ました。お風呂やトイレの入り口の前に洗濯機置き場があったり、幅約90cmの4畳の廊下の部屋があったり、2.5畳の三角形の部屋だったり・・、家の形状から苦肉の設計だったのでしょうか。
建物がこのような特殊の間取りの場合、当然、市場性は劣ることになり不動産価格は安くなります。リフォームで修正できるのであれば、その分の費用+アルファが減価額の目安になると思います。
また、家族向けの建物の場合、浴室やトイレは必要として、LDKと個室(寝室)の数と広さはチェックポイントになると思います。なので、一般的なエンドユーザーを需要者とする建売住宅の間取りは、汎用性の高い使いやすい設計にすることが多いです。
不動産の鑑定評価をしていて、前記のような特殊な間取りに遭遇したことはありませんが、思わず驚くような間取りを見てみたいと思いました。
名古屋北エリアのマンション価格
名古屋北エリア(北区、西区、守山区)は、エリア的には名古屋市北部に位置していますが、最寄りの鉄道路線も地下鉄名城線、同鶴舞線、名鉄名古屋本線、同瀬戸線と多岐に渡っており、代替性及び競合性は薄い印象があります。
その中でも騰落率20.7%と圧倒的な1位は、名古屋市西区の「栄生駅」でした。栄生駅は、名鉄名古屋駅の隣駅であり、名駅地区の北の外れに位置しています。名駅地区のマンション価格高騰の影響が、栄生駅まで波及したと思われます。
その他の特徴としては、名鉄瀬戸線沿線の「瓢箪山駅」が2位(5.8%)、「清水駅」が4位(4.0%)に入りました。瓢箪山駅は急行停車駅であり、栄への利便性が好まれたと考えられます。清水駅は、北区にありますが、東区と隣接しており、こちらも栄への利便性に優れています。
今回の結果、瓢箪山駅の2位は意外でしたが、マンション価格上昇が主要路線以外の郊外まで波及していることを示す結果となりました。
奥が深い不動産のお話
昨今の金融緩和の影響で、個人でも不動産投資をやる方が増えてきました。特に、今回の新型コロナウィルス感染症による無利子融資を利用して、不動産投資をやろうという事業者の方も見えるようです。
先日、ある集まりで税理士や司法書士の士業の方と話す機会がありました。実際に不動産投資をやられている方もおり、相当、知識と経験を積んでおられる印象でした。ただ、会話の中で、断片的な知識と経験に振り回されている、と感じたことがありました。最近は、不動産投資などのハウツー本も多く出回り、簡単に知識を得ることができますから。
不動産は奥が深く、不動産鑑定士をしている私でも迷うことが多くあります。もし、不動産投資や売買などで不安を感じることがあれば、身近な不動産鑑定士にご相談することをお勧めします。そうすることで、かなりの確率で大きな失敗を避けることが可能となります。
駅距離と不動産価格との関係
過去に何度も同じテーマで書いたと思いますが、今回も駅距離と不動産価格との関係を書きたいと思います。不動産の価格は価格形成要因が複合的に関連して掲載されますが、その中でも大きな要因の一つに最寄り駅からの距離があります。最寄り駅から近いと、通勤や通学便利ですし、買い物などの用事で都心に出るのにも有利です。なので、駅から近い土地は需要が多く、価格も高くなります。
もちろん商業地であれば、駅には通勤や通学客が集まってくるので収益性が高く、こちらも土地の価格は高くなります。容積率や道路などの条件が良ければ、共同住宅などの複合建物の想定も可能となります。
最近、新型コロナウィルス感染症の影響によるテレワークの普及で、需要者が重視する点が、駅距離ではなく居住環境や建物に変わった、との声が聞かれます。このような記事のほとんどがアンケート結果に基づいているようですが、実際のところはどうなのでしょうか?
私は、最近の駅距離を重視しない傾向は、一過性のものと考えています。駅から遠いところは値ごろ感があり、テレワークのみに徹するならお買い得かもしれませんが、駅から近くてもテレワークはできますから。
駅距離と不動産価格との関係、実際の不動産の取引から分析した正確なデータが望まれるところです。
定期借地権付きのマンションの鑑定評価
マンション(区分所有建物及びその敷地)の鑑定評価は、作業量が多く時間のかかることが多いです。そのマンション(区分所有建物及びその敷地)ですが、土地部分の使用権が所有権の共有持ち分である場合と定期借地権である場合があります。当然、所有権の方が強い権利ですし、定期借地権の場合、通常、解約期間の満了時には建物を解体し、更地にして返還することになるので、立地や建物の仕様等の条件が同じである場合、定期借地権付きのマンションの方が鑑定評価額は安いことが多いです。また、通常、区分建物の所有者は地代の支払い義務がある代わりに、固定資産税等の支払いは不要となります。
この定期借地権ですが、マンションの場合は契約期間が長期となることが多いですが、借地権の残存期間が短い場合は、その点を考慮した鑑定評価となります。但し、建物の状態も良く、地主が十分な地代を得ている場合などは、定期借地契約の契約期間が延長される可能性も否定できません。
地価上昇が続く昨今、事業用定期借地権で建てられた店舗など、契約満了時に終了しているケースが多いのですが、将来、契約満了時に経済環境が悪化している場合など、定期借地契約の契約期間が延長されるケースも出てくるのでは、と思います。
建築確認がない不動産の鑑定評価
不動産、建物の売買の場合、通常は契約の際、権利証とともに建物に関する書類(確認済証や設計図書)を売り主から引き継ぐことになりますが、古い建物や転売(前の所有者が紛失してしまった)の場合、これらの建物書類がない場合があります。
このような建物の鑑定評価を行う場合、書類の有無が鑑定評価額に影響を与えるかが問題となります。私も何度か書類のない建物の評価に遭遇しましたが、建物がかなり古く価値ゼロであったため、減価は行いませんでした。対象建物が築浅物件で価値が残っている場合は、何等かの減価を行う必要があると思います。
もちろん、調査によって違法建築物であるとわかれば市場性減価、場合によっては適法な建物に戻す費用や除去費用を控除して鑑定評価額を求めることになります。
建物の鑑定評価額は、確認済証はもちろん設計図書や請負契約書等書類の有無で精度が違ってきます。鑑定評価を行う際は、依頼者に可能な限り書類を準備して頂くようお願いしています。
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