Archive for the ‘不動産の価格’ Category

不動産の価格は駅距離と道路

2020-07-10

不動産の鑑定評価は、主に不動産土地・建物)の価格を決めることですが、その価格価格を形成する要因(主に地域要因と個別的要因)によって決まることになります。

私は、その中でも駅距離と道路幅員が重要だと考えています。もちろん、駅の規模や路線(名古屋だと地下鉄沿線が好まれます。)も重要ですが、地下鉄駅から徒歩圏で6m超程度の幅員の道路に接する土地は、極端に安くなることはない(需要がある)傾向にあります。

先日、スーモのアンケートを見ましたら、今回のコロナ禍でテレワークが増えた影響か、「広さ」と「駅距離」のどちらを重視するかの問いに対して、広さ派が52%、駅距離派が30%という結果になったそうです。ちなみに、一戸建て派が63%、集合住宅(マンション)派が22%、こちらも広さ重視の結果となりました。

私は、今回の結果は一時的なものであると考えていますが、もし、この傾向がスタンダードになるようであれば、不動産の鑑定評価を粉う際、価格決定において重視すべき要因も変えなければならなくなると思いました。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

地方の豪邸と都会のマンション

2020-07-09

時々、愛知県外で鑑定評価をすることがありますが、都市部から離れた俗にいう田舎になると、ものすごい豪邸の鑑定評価額がびっくりするほど低くなることがあります。地方は土地の値段も安く、建築費も都市部よりやすくなります。また、そのような豪邸の需要も少ないことが理由です。

一方、都会のマンションは、当然、共有持ち分とはいえ土地の価格も高いですし、特にRCのマンション建築費の高騰は激しく、一般のサラリーマンでは購入が難しい段階になっています。

最近、都市部で狭小戸建住宅が人気なのは、マンション価格の高騰により、需要者が両者を比較した結果、より安い狭小戸建住宅を購入することが理由と考えられます。

地方では、「一戸建てを建てて一人前」という風潮が残っているようですが、これからは、「都会でマンションを買うことはそれ以上に大変」、という傾向になっていくと思われます。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

レトロな古民家郵便局の鑑定評価額

2020-07-08

古民家の鑑定評価、まだ遭遇したことはありませんが、難しい評価になると思います。難しいのは土地より建物、文化的価値のない普通の古民家であれば建物価値はゼロになると思いますが、維持管理がされており、住居として使用可能であれば、建物にある程度の価値を見て、必要とされる修繕費を控除すること建物価格を求める場合も考えられます。

先日、鹿児島県枕崎市の旧郵便局の建物(事務所付住居)が土地付きで100万円で売りに出されたとの記事を見ました。明治37年に建てられたレトロな建物で、1980年代後半まで人が居住していたそうです。ちなみに建物は当時としてはモダンな洋風の造りで、文化的価値があるとのことです。

このような不動産鑑定評価する場合、土地の価格に加えて建物の価値をどの程度見るかが問題となりますが、記事によると老朽化が激しく、修繕費に少なくても300万円~400万円掛かるとのこと。私がこの不動産を鑑定評価するとしたら、建物価値はゼロ円、文化的価値を考慮して取り壊し費用を考慮しない、という評価方針になると思います。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

取壊し最有効の鑑定評価

2020-07-07

不動産鑑定士は、土地及び建物(自用の建物及びその敷地、貸家及びその敷地等)の鑑定評価を行う場合があります。土地上の建物の老朽化が激しかったり、建物と敷地との適応、環境との適合を著しく欠いていると判断した場合、その建物を取り壊すことを前提に鑑定評価を行います。そのような評価を「取り壊し最有効」といいますが、最近は建物の解体費用、特にRC造の建物のコンクリート屑の処分費が高く、取り壊し費用が高額になる傾向にあります。

取り壊し費用が高額なら、そのまま現状で使っては?との声もありますが、古い建物は効率が悪く、修繕・維持費も高額となります。また、敷地との適応性や環境との適合性を欠いた建物の場合、十分な収益を生むことができず、結果として不動産の価値を下げることになります。

先日、ネット記事に滋賀県の廃墟マンションの解体費が1億1800万円と出ていました。3階建ての建物、写真で規模をみると妥当な金額と思われます。また、別に記事では100戸の分譲マンションの解体費が少なく見積もって3億円と出ていました。先程の滋賀県のマンションの規模と比較すると、やはり低めの見積額だと思います。

建物の解体費及び処分費は、今後も上がっていくと考えられますが、コンクリート屑を上手く分別して2次砕石として活用するなどの工夫が必要になってくると思います。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

市民農園利用権付住宅の価格

2020-07-05

最近は、趣味で農園を耕す方も増えており、私も昨年まで旧下山村で畑のお手伝いをしていました。そのような方をターゲットにした戸建住宅が売りに出された記事を見ました。

場所は埼玉県春日部市、東武伊勢崎線の最寄り駅から徒歩23分に立地しています。土地は200㎡超、テレワークに対応した書斎とスタディーカウンターを完備しています。その中でも特に特筆すべき点は、市民農園利用権付であること、その地主が栽培等のノウハウを教えるイベントもあるそうです。

市民農園は名古屋でもかなり盛んで、以前、市民農園を廃止して売買に出される方の鑑定評価をしたことがありますが、市の担当者から市民農園の継続をお願いされて困っている、と言っておられました。利用者がとても楽しみにしており、順番を待っている人もいたそうです。

最後にこの分譲住宅の価格ですが、約3000万円弱から3600万円、安いとみるか高いとみるかは人それぞれだと思いますが、私は通勤可能な方で別荘地の気分も味わいたい方にはお手頃な値段だと思います。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

高級住宅街は高台の理由

2020-06-26

一般的に、高級住宅街は高台というイメージがあるかと思います。大手ハウスメーカーなど街並みがでるコマーシャルでも、高台から街並みが見下ろせたり、なだらかな坂になったロケーションが多いと思います。このような住宅地は人気があり、鑑定評価額も高くなります。

高台の住宅地域が好まれるのは、眺望・景観に優れるのはもちろん、人間が高い所に住みたいという本能なのかもしれません。私の住んでいる名古屋市でも、名古屋市中央部から東に向かって登りの丘陵地になっており、地下鉄東山線沿線に優良な住宅地域が多いのも、利便性はもちろん地勢がよいことも理由だと思われます。

また、名古屋市内で大きな河川は新川庄内川、矢田川くらいですが、東京や大阪は河川が多く、河川の氾濫等による災害リスクが少ないことから高台が好まれたようです。

最近続く自然災害の影響で、この傾向はますます強くなったと感じます。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

保育園は鑑定評価で嫌悪施設になるか?

2020-06-24

先日、お世話になっている方から保育園のことで相談を受けました。内容は、仕事場付住居の近くに保育園の設置が予定されており、その反対運動についてでした。反対者の話では、保育園の設置で地価が10%下がったとの統計がある、との主旨でした。

ちなみに、私は地価が10%下がることは大変なことで、余程の嫌悪施設(火葬場など)が設置された場合だと考えています。おそらく、この反対者の方は、財産評価基準の「著しく利用価値を減じた土地」について10%減額を認める、の文言を引用したのでは、と思います。

以前、小学校の隣の土地建物鑑定評価したことがありますが、減価はなしと判断しました。子供の声は日中の限られた時間内であり、近隣に悪影響を及ぼすとは考えにくいことが理由です。ちなみに、地価公示などでは、小学校が近いと増加要因なります。

先日、東京都練馬区の保育園の近隣住民が騒音差し止めと損害賠償の請求訴訟で、東京地裁は「騒音は我慢の範囲内」と請求を棄却した記事が出ていました。園側の騒音レベルを抑制する努力も評価したようです。

保育園は、園児の声以外にも、父兄の送り迎えの車の迷惑駐車などの問題はあると思いますが、これは保育園以外でもありえる事象であり、減価は難しいと思います。

但し、鑑定評価は地域性などを個別に判断することになるので、保育園の規模や時間なども考慮して価格は決定することになります。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

馬毛島の売買価格は約160億円

2019-11-30

難航された馬毛島の売買契約が締結されたそうです。売買価格は約160億円、当初の鑑定価評価額が45億円でした。

売主との価格交渉が難航し、売主の希望価格であった数百億円での売買ではなく、160億円で落ち着いたようです。

売主が譲歩した経緯は不明ですが、今後、訓練基地として馬毛島が活用されることになりました。防衛の拠点としての活用も検討され、馬毛島の重要度が増していくと思われます。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

地下埋設物のある土地の鑑定評価

2019-09-30

地下埋設物のある土地の鑑定評価は、通常、更地の価格を求めた後、地下埋設物を除去する費用を控除し、埋まっていた物によってはさらに減価(心理的嫌悪感・スティグマ)して求めることになります。

地下埋設物のある土地は、例えば鉄塔敷地の基礎などになると撤去費用が相当な金額になることが多く、場合によっては更地の価格を上回って鑑定評価額がマイナスになることも考えられます。

先日、茨木県筑西市の市売却地にごみが埋まっており、土地購入者の損害賠償として2010万8000円を支払う議案が可決されたとの記事が出ていました。今回の損害賠償額の算定方法としては、鑑定評価と同様に撤去に係る費用の実額を求めることになると思います。

今回のケース、記事に詳細は出ていませんが、実際の算定額をどのように求めたのか興味深いです。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

越後湯沢のリゾートマンションの鑑定評価額

2019-09-10

以前、越後湯沢のリゾートマンションの評価をしたことがあります。その際、市場調査を行いましたが、圧倒的に売りが多く買いが少ない状況でした。その鑑定評価の依頼者のお話しでは、新築で買った時は相当高かったそうです。

先日も、越後湯沢のリゾートマンションを相続した方の記事が出ていました。購入価格は約3000万円、不動産業者の査定額は10万円だったそうです。おそらく、鑑定評価を行っても同じ結果になると思います。

ちなみに、そのリゾートマンションの年間維持費(管理費・修繕積立金)は60万円、さらに固定資産税が毎年かかってきます。通年居住していない建物の負担としては重すぎます。

このリゾートマンションを手放す方法として考えられるのは、所有者全員の合意による取り壊しか、ある程度の負担(代金の支払い)を覚悟して新たな所有者を探すことになると思います。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

 

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