Archive for the ‘公的価格・地価動向’ Category

商業地の地価動向

2020-11-21

国土交通省は10月1日時点の地価調査「地価LOOKレポート」を発表しました。地価LOOKレポートは、全国の主要都市100地区の地価を調査したものになります。

商業地は68地区中39地区で下落、28地区で横ばい、1地区で上昇でした。新型コロナウィルス感染症の影響による外出自粛で商業施設の収益低下、それに伴う商業地の地価も下落傾向が強まったと判断しました。訪日外国人の減少によりホテルの客室稼働率も低下し、インバウンド需要が減ったことによる百貨店等の売り上げが落ちたことが響いたようです。

住宅地は、32地区中6地区で下落、26地区で横ばいでした。大学のオンライン授業の実施により周辺の賃貸マンション開発意欲が低下しているという声もあります。安定的な賃貸収入が見込める学生向けマンション、コロナ禍が長引けば経営に行き詰まる大家さんも出てくるでしょう。

商業地の下落が目立つ中、住宅地は8割以上の地区が横ばいであり、今回の地価LOOKレポートは新型コロナウィルス感染症の蔓延が住宅地の価格への影響は少ないと判断したようです。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

商業地の固定資産税、負担抑制を検討

2020-11-18

新型コロナウィルス感染症の影響で商業施設の売り上げ減が続く中、政府は商業地の固定資産税の負担増を抑制することを検討しているようです。

固定資産税は3年に1度改正され、来年1月1日が評価替えの年に当たります。前回の評価替え以降、アベノミクスによる金融緩和やインバウンド需要の恩恵から商業地の地価は上昇傾向が続いていました。

コロナ禍による地価の下落分に加えて、アベノミクス等による地価の上昇分をある程度抑制することが狙いのようです。

今回の固定資産税の負担抑制の実施が決定した場合、来年1月1日の地価公示価格にも影響を与えることはほぼ確実と思われます。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

 

不動産鑑定評価をしてはいけない土地

2020-11-05

土地の相続税・贈与税申告の際の評価額は、通常、路線価方式(財産評価基準)に基づいて評価されます。但し、路線価方式による価格が時価(実勢価格を上回っている場合、不動産鑑定士による鑑定評価額での申告が認められる場合があります。

私も鑑定業務の中で、何件か相続税の節税のための鑑定評価をしたことがあります。相続税節税を目的とした鑑定評価は、無道路地であったりがけ地であったり、路線価方式による評価額が明らかに時価を上回っており、取引事例や減価額の試算方法など客観的な理由付けができる場合に受けることにしています。

理由は、相続税路線価は時価の8掛け程度となっており、通常の場合、路線価方式による価格が時価鑑定評価額)を上回ることはないからです。

先日、ネットである税理士さんが書かれたサイトを見ました。鑑定評価額による相続税申告が否認され、地裁判決でも敗訴したとの内容でした。推測される理由は、鑑定評価額を低めに出すため無理な評価をした場合などが該当します。この裁判の敗訴の理由ですが、1土地:採用した取引事例4件が著しく安い価格である、2土地:1事例は売り急ぎ事例である、とのことでした。明らかに評価に無理があったと考えられます。

このHPの中に、そもそも「不動産鑑定評価をしてはいけない土地」と書かれていました。否認された鑑定評価書が敗訴した理由は、内容ではなく不動産鑑定評価をしてはいけない土地で、内容が完璧であっても敗訴であったと。最も、この判決から推測するに、内容が完璧(この案件では少なくとも適正な事例の選択)であれば、鑑定評価額が路線価方式の価格を上回り、依頼者にとって意味のない鑑定評価になっていたと思います。

この税理士さん書かれた意図の詳細は不明ですが、私は不動産の鑑定評価ができない土地はなく、依頼目的(相続税申告)から不動産鑑定士鑑定評価の依頼を受けてはいけない土地、と理解しました。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

商業地の価格と賃料の関係

2020-11-02

不動産の価格と賃料の関係は、元本と果実の関係と言われ、価格(元本)と賃料(果実)との間に相関関係があることが知られています。すなわち、元本、果実のどちらか一方が上昇すれば片方も上昇、一方が下落すれば片方も下落するという理屈です。但し、賃料には遅効性があり、必ずしも価格の変動率には一致しない特性があります。

ネットで、居酒屋チェーンの店舗閉鎖の記事が出ていました。大手5社の合計で今春以降、全体に1割の約420店の閉店が決まったそうです。その中でも、駅前の好立地にある居酒屋ほどコロナ禍での売り上げが厳しいとの内容でした。一方、持ち帰りの多いファーストフード店舗は売り上げが堅調となっています。

居酒屋は飲酒運転の厳罰化以降、駅近に出店することが必須条件となっていた中、コロナ禍で売り上げが減少、高額な賃料に耐えれないことが要因と考えられます。店舗の賃料減額請求が増えている理由もわかります。

コロナ禍による店舗賃料の減額が続くことがあれば、相関関係にある価格も下がって行くことになります。来年1月1日の商業地の公示価格、どの程度の下落になるのか慎重に見極める必要があると思います。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

相続税路線価と地価の下落

2020-10-28

国税庁は相続税及び贈与税の算定の基準となる路線価を補正しないと発表しました。補正を要するまでの大幅な地価の下落は確認されなかったことが理由だそうです。

大幅な地価の下落があった地点は、「名古屋市中区錦3丁目」(-19%)、「大阪市中央区宗右衛門町」(-19%)、「東京都大東区浅草1丁目」(-16%)など、繁華街や観光地の地価下落が目立ちました。

今回、土地の相続税や贈与税を算定する際、路線価(財産評価基準)と不動産鑑定士による鑑定評価額(時価)のどちらが有利かが問題となりますが、通常の場合、国税庁は補正しなくても路線価を使った方が有利と判断したようです。

なお、7月以降の補正の有無については、今後の地価動向を踏まえて再検討するとのことです。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

ニセコの公示価格は?

2020-10-27

新型コロナウィルス感染症の影響で訪日外国人が激減する中、インバウンド需要を当て込んだ商業施設は軒並み苦戦しているようです。

このような状況下、大きく地価の上昇が続く北海道のニセコに世界的なリゾートブランドのカペラが進出します。42ヘクタールの土地にホテルやコンドミニアム、スキー場などを建設し、費用は700億円超だそうです。

コロナ禍で先が見通せない中での大型の投資、国内のリゾートの中でもニセコは別格なのでしょうか。来年1月1日時点の地価公示価格、例年並みに大きな上昇となるでしょうか?興味深く見守りたいと思います。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

路線価と土地の時価との関係

2020-10-24

路線価には、国税庁が発表する相続税や贈与税の基準となるものと、市町村が発表する固定資産税等の基準となるものがあります。以前は、路線価というと国税庁というイメージでしたが、最近はホームページから市町村の固定資産税路線価も見ることができ、また、納税意識の高まりから身近になってきました。

この路線価ですが、一般的に相続税路線価は時価の8掛け、固定資産税路線価は時価の7掛け、と言われることが多いです。納税者有利という考え方と、基準額が時価を上回ることがないようにとの配慮からこのようになっていると考えられます。

先日、ネットで土地価格の試算方法として、路線価×面積、と書かれた記事見ました。確かに評価額はこのように試算しますが、必ずしも時価とは一致しないことには注意する必要があります。

理由は、相続税路線価は時価の概ね8掛けであることに加えて、10万円/㎡を超える路線価は5000円単位であること、方位が考慮されていないことなどがあげられます。

路線価はホームページから手軽に調べられますし、簡易に土地の価格を知りたい場合には便利ですが、正確な時価が知りたい場合には不動産鑑定士にご相談することをお勧めします。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

2020年都道府県地価調査について

2020-09-30

9月29日、国土交通省は2020年都道府県地価調査(基準地価)結果を発表しました。新型コロナウィルス感染症蔓延の影響で、全国平均(全用途)の変動率が前年比-0.6%の下落、商業地は-0.3%、住宅地は-0.7%となりました。

インバウンド需要により地価上昇が続いていた地域の下落が目立ち、入国制限による訪日客の減少や外出自粛による商業施設の収益力低下が地価を下落させる大きな要因となりました。

三大都市圏は、住宅地は全てマイナス、商業地は伸びは鈍化したものの東京、大阪ではプラスを維持、名古屋は8年ぶりに下落しました。

コロナ禍にあって最も上昇が大きかったのは、沖縄県宮古島の+30%強、一方、下落幅が最大だったのは、岐阜県高山市の奥飛騨温泉郷で-9.3%となりました。

今後の地価予想としては、新型コロナウィルス感染症の影響が沈静化し、経済の先行きがある程度見通せる段階になるまで本格的な地価の回復は難しいと思料されます。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

馬毛島の不動産鑑定評価

2020-09-12

自衛隊基地建設候補地として国が購入した馬毛島ですが、9月11日、固定資産税の評価基準となる標準地の鑑定評価が実施されました。既に固定資産税の評価替えの鑑定評価作業は終了してるところが殆どだと思いますが、今回はかなりぎりぎりの調査だと思います。

調査不動産鑑定士2人と市の税務課・財産管理課の職員8人にて実施、民有地2地点、公有地(旧馬毛島小中学校跡地)1地点の調査を行ったそうです。通常、公的評価は地価公示のみ1地点につき2人の不動産鑑定士鑑定評価を実施しますが、今回の馬毛島の固定資産標準地評価は2名での調査、慎重に行う必要があったからでしょうか。

ちなみに気になる鑑定評価額ですが、自衛隊用地は官地ですので非課税となりますが、民地の変動率はどうなるでしょうか?固定資産税の税額に影響する変動率、とても興味深いところです。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

地価動向報告の結果

2020-08-22

国土交通省は8月21日、主要都市の地価動向(令和2年4月1日~令和2年7月1日)を調査した地価動向報告を発表しました。全国主要都市の高度利用地帯100地区のうち、1地区を除いて横ばい又は下落となりました。特に三大都市圏の下落が目立ち、名古屋圏は対象9地区全てが下落となりました。

主な要因として、
・新型コロナウイルス感染症の影響により、需要者の様子見など取引の停滞が広がるとともに、ホテルや店舗を中心に収益性低下への懸念から需要の減退が一部では見られる。
・リーマンショック時の地価下落の主因となった、マンションやオフィスの需給バランスに大きな変化は見られていない。
があげられます。

尚、国土交通省は、新型コロナウイルス感染症の状況は先行き不透明で
あり、引き続き地価への影響を注視していくとの見解です。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

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