Archive for the ‘特殊な土地の評価’ Category
事前避難地域と地価との関連
先日、名古屋市が南海トラフ地震の臨時情報が発表された際、事前避難を求める地域を発表しました。名古屋市南部の港区、南区、中川区、熱田区、緑区のうち21学区、約2万4千名が対象となります。
この地域の方は事前避難を求められた際、対象区域外の知人や親せきの家、又はスポーツセンターや生涯学習センターに避難することになります。但し、水や食料の提供はなく、各人の負担になります。
土砂災害警戒区域同様、このような災害の可能性が高い区域を指定すると、その対象地域の地価は下がることがあります。今回の事前避難地域は以前より浸水被害の可能性が言われていた地域ではあります。
名古屋市の場合、伊勢湾台風やその後の東海豪雨で大きな被害を受けた地域は今でも需要が弱い傾向があり、今回の事前避難地域の指定で、さらに地価が下がるか注目したいと思います。
愛知県・名古屋市の不動産鑑定評価なら「松岡不動産鑑定士事務所」
造成地の鑑定評価
今回の長雨、各地で大きな災害をもたらしましたが、熱海市では造成地が山ごと崩落し、大災害となってしまいました。亡くなられた方のご冥福をお祈り致します。
今回の災害、現地の状況や専門家の話などから、人災の可能性が高いと言われています。開発業者は県の指導を無視し、違法な盛土を繰り返していたとの記事を見ました。非常に悪質なケースだと思います。
造成地の鑑定評価を行う場合、原価法をいう手法を適用することになります。素地(山林や湖沼、海面の場合もあります)の価格に造成に要する費用を加算して土地の価格を求める手法です。造成費の額が鑑定評価額に大きく影響することになるので、高低や傾斜のきつい山林や、水深が深く埋め立てが難しい湖沼、海面は造成費が高額となり、結果、鑑定評価額も高くなります。
今回災害が起きた土地を開発した業者は、利益を多く出すため造成等で違法な行いをしていたと考えられます。
土地の造成を行う際、盛土と切土を行いますが、傾斜地に土をもって土地を平面にする盛土は、切土に比べて地盤は弱くなります。但し、今回の災害のように、地域一面土地が流失してしまうと、切土であっても災害の危険性が高く、山を切り開いた造成地は避けた方がよいと実感しました。
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霊園が見える不動産の鑑定評価
眺望、景観は不動産の価格を形成する要因であり、特に高層マンションは、夜景などが楽しめる階層や位置の部屋の価格が高くなる傾向があります。
先日、ネットでマンションの部屋の窓から霊園が見える不動産について書かれた記事を見ました。不動産の鑑定評価を行う場合、通常、お墓は嫌悪施設として扱われ、隣地など影響があると判断される土地は減価が発生することになります。
今回のマンションから見える霊園が減価要因になるかとどうかの判断ですが、私は霊園の存在が眺望や景観に与える影響はないと思います。名古屋市でも大規模な霊園である平和公園、八事霊園、覚王山墓地などは全て高級住宅地の近くに立地しており、その環境の中に溶け込んでいると判断されますし、私は先人に守られている気がして、何だか安心します。
但し、これは不動産鑑定士としての私の意見であり、状況によっては景観が劣るとして減価することもあると思います。また、他の評価主体は違った判断をするかもしれません。
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法面や擁壁のある土地の鑑定評価
法面とは、水平ではない土地をいい、通常の平面の土地と同様の利用ができないため、不動産鑑定評価において減価することになります。
その減価額ですが、傾斜度や傾斜面の向き(方位)を考慮して試算することになります。傾斜度が緩く、耕作や資材を置く程度のことが可能か、建物を建築するとした場合、盛り土や擁壁の設置にどの程度費用が価格か、などを考慮します。
今朝、大阪市で法面が崩れ、土地上の建物が倒壊したとの記事を見ました。幸い、住民の方は避難していて無事だったそうです。写真を見る限り、擁壁はかなり古く痛んでいたようです。
擁壁のある土地を鑑定評価する場合、宅地造成工事規制区域であれば許可番号や設置された年月日を調べます。宅造区域以外の場合、記録がないので建築許可の記録を調べますが、保管期間が過ぎたものは記録がなく、聞き取りや過去地図、航空写真、開発された経緯などから設置された時期を推測することになります。
擁壁は設置された土地の属する自治体によって設置基準が異なるため、建築時期などから一律に判断することが難しく、場合によってはとても難しい鑑定評価になります。
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ガソリンスタンド跡地の鑑定評価
先日、仙台市の中心部でガソリンスタンドが閉店し、マンション建設が進んでいるとの記事を見ました。中心部の土地は固定資産税等の負担が重く、経営は大変だと思います。また、マンション建設ラッシュが続く中、マンション素地として高値での売却を持ち掛けられ、閉店を決断するオーナーも多いのかな、と思います。
ガソリンスタンドの跡地ですが、ガソリン、オイルなどによる土壌汚染が懸念され、汚染土の洗浄や除却に多額の費用が掛かることからそのままでの開発が難しいと言われていました。不動産の鑑定評価を行う場合、汚染の程度で土地価格から減価することになりますが、洗浄等に係る費用分を控除することになります。
但し、洗浄や除去に係る費用は高額となるため、地価が安い地方などでは土地価格がマイナスとなるケースも考えられます。このような理由から、地方のガソリンスタンド跡地は車販売店舗や駐車場、資材置き場になることが多いと考えれられます。
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騒音と鑑定評価額の関係
騒音は振動と並び人が生活する上で苦痛を伴うものであり、受忍の限度を超えるものであれば不動産の鑑定評価において減価要因となります。
この騒音ですが、工場の機械音や車、電車や航空機の音などが代表的ですが、最近では小学校や幼稚園、保育園など子供の声やチャイム、放送音などが騒音に当たるかが争いになっています。
少し前ですが、東京都で隣家から聞こえるカエルの鳴き声が騒音に当たるかが裁判になりました。隣家の住民が飼っていたのか否かは不明ですが、主張を読むと6~7匹生息していたとなっていました。
ちなみに判決は原告の敗訴、的確な証拠がなく受忍の限度を超えるものではないとの内容でした。
騒音被害のある土地を鑑定評価したことはありませんが、騒音の測定を行う必要があり、判断に関しても難しい評価になると思います。
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大規模工場の鑑定評価
先日、韓国の元徴用工訴訟で敗訴した日本の製鉄会社の資産を売却する手続きに入ったとの記事を見ました。日本と同じく、売却・現金化するため鑑定士が資産の鑑定書を作成し裁判所に提出したそうです。鑑定士の鑑定評価額が開始価格・最低落札価格になると思われます。
対象となる資産は、大手製鉄会社の資産であり、都心のオフィスビルに加えて製鉄所などの大規模工場地も含まれているのでしょうか。このような大規模工場の鑑定は、類似性の高い取引事例も少なく、土地に存する建物も多種・多様に渡っておりとても難しい評価になります。
工場に限らず商業施設などの大規模な不動産の鑑定評価は、作業及び判断の難しさに加えて総額が高額になることから裁判などで争いになることが多いです。裁判に耐えうる鑑定評価書を作成するためには、高度の知識と経験に加えて、規範性の高い資料を収集する能力が必要となります。
今回の元徴用工訴訟、韓国の裁判所は売却命令を出すのか注目していきたいと思います。
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地盤と鑑定評価の関係
不動産の価格形成要因として、地勢と地盤は重要であり、特に地盤が弱いと建物が傾いたり、表層改良にお金がかかることから鑑定評価額は低くなります。
一方、地盤調査は地下の目に見えないところを調べることになるので、本格的なボーリング調査やスウェーデン式のような簡易な調査を利用することが望ましいですが、鑑定評価の場合、費用の関係から省略することが多いです。鑑定評価では地歴調査は行う必要があるので、過去地図や地形図、閉鎖登記簿や地盤図などを使って調べることになります。
先日発生した調布市の道路陥没、周辺の地価への影響を心配する声がありますが、鑑定評価を行う場合、市場性減価が考慮されるかは難しい判断になると思います。
愛知県でも少し前、日進市の竹の山で開発された住宅団地で陥没がありましたが、現在は住宅地域として発展しています。
但し、愛知県の春日井市、長久手市、日進市などでは亜炭鉱の跡地が多くあり、不動産の鑑定評価を行う場合、地盤については慎重な調査が求められます。
過疎地のお寺の鑑定評価額
以前、お寺の境内地の鑑定評価をしたことがあります。境内地といっても本堂のある敷地内ではなく、境内の片隅の一部の土地でお寺を修理する建築業者の方が使う事務所の敷地でした。とは言っても境内の中、木々がうっそうと茂り昼間でも薄暗い土地でした。ちなみに鑑定評価額は、かなり安かったと記憶しています。
そのお寺ですが、ネットで島根県の過疎地にある休眠中のお寺の境内地が国有化されるとの記事を見ました。そのままにしておくと災害の際など被害が発生する恐れがあること、宗教法人の特権を狙った悪意の取得者が現れる可能性もあり、今回の措置となりました。
このお寺、土地と建物の引き取り手を探したそうですが、資産価値が低く引き取り手はなかったそうです。以前ブログで書いたような、建物の老朽化が激しく、立地的にも合宿施設などとしての利用もできなかったようです。
今後、少子化に伴う人口減少により、休眠するお寺が増えていくものと思われますが、解決策としての国有化も増えていくことが予想されます。
越境のある土地の不動産鑑定評価
不動産の鑑定評価を行う場合、対象となる不動産の確定を行う必要があり、位置や面積、権利の内容を確定します。その際、越境の有無を調査することになりますが、確定測量がされておらず、境界杭が確認できない土地の鑑定評価の場合は注意が必要です。
枝木や構築物等、地上部分の越境は、目視で把握することがありますが、地下の越境については聴き取りや地歴調査から判断するしかないと思います。
また、がけ地を含む鑑定評価を行う場合、擁壁の越境が問題となることがあります。隣地所有者が対象地に擁壁を設置し、越境となっているケースがあります。このような場合、聴き取り調査、境界杭の確認、確認できない場合はスケールで慎重に境界を推定し擁壁の設置場所を確定し越境の有無を把握することが必要です。
丘陵地に位置する土地を鑑定評価する場合、がけ地と擁壁を含むケースは意外と多く、慎重な対象不動産の確定が求められます。
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