Archive for the ‘鑑定評価の話’ Category

価格0円の温泉施設

2020-10-30

不動産の鑑定評価を行う場合、対象不動産が土地建物で建物を0円(解体費等が生ずる場合はその金額を控除)にすることはありますが、総額で0円評価をしたことはありません。

ネットで、岩手県西和賀町が温泉施設7か所の売却先を公募し、その中の一つが売却最低価格を0円にしたとの記事を見ました。29日現在で応募はなく、買い手が見つからない状況となっています。

ちなみにこの売買には条件があり、書類審査、プレゼンテーションに加えて最低5年間は温泉施設として営業し、第三者に譲渡できないとのことです。0円は破格ですが、条件が厳しすぎるように感じます。

西和賀町は湯どころとして有名ですが、人口減少が続いており利用料増加が見込めない中、老朽化による修繕・維持費の負担があり購入価格0円でも十分な収益想定ができないことが理由だと思います。

前記で0円鑑定評価をしたことがない旨記載しましたが、今後、地方など過疎化が進んだ地域などでは0円の鑑定評価額不動産が出てくるかもしれません。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

鑑定評価とオークション

2020-10-29

不動産鑑定士が試算する鑑定評価額は、不動産鑑定評価基準に則って算定される価格で、正常価格を求める場合は市場で実際に取引される価格、すなわち時価となります。

この時価ですが、実際に売れる価格を求める必要があると思います。よく、「ある価格とあるべき価格」、と言われますが、不動産の鑑定評価ではあるべき価格ではなくある価格を求める必要があります。

先日、ケネディ大統領が暗殺当日に乗っていたリンカーンがオークションで4000万円で落札された、との記事を見ました。オークションの落札価格は実際に売れた価格、まさに時価、と言ったところでしょうか。

不動産鑑定士が行う不動産鑑定評価とオークション、実際の時価が決まるという意味で手段は違えど似た性質を持っていると感じました。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

筆跡鑑定のお話

2020-10-25

鑑定には、私が仕事にしている不動産の鑑定評価以外にも絵画や美術品の鑑定が有名です。あと、警察が行う遺留品や筆跡の鑑定もあります。

先日、筆跡鑑定したら遺言が偽物だった、との記事を見ました。この筆跡鑑定、本物か偽物かを調べる目的なので絵画や美術品の鑑定に似ているかもしれません。

また、最近のコロナ禍で印鑑廃止が言われる中、外国のようにサイン中心にすれば確かに印鑑は不要かもしれません。また、印鑑は印影から偽造されますから。

但し、筆跡もプロ中のプロに掛かると本物と見分けがつかないくらい上手く真似られることには注意する必要があります。やはり日本は今まで通り、署名・押印の二本立てで正式な書類を作成すべきだと思います。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

間口や形状の劣る土地の鑑定評価

2020-10-21

不動産の鑑定評価を行う場合、通常、形状は長方形、方位は北向きの中間画地を標準画地に設定することになります。この標準画地と対象不動産との個別的要因及び地域要因の比較を行い比準価格を求めます。

先日、ネット記事である不動産業者の方が、土地の格差について書かれていました。内容は、

同じ形状の土地の場合
 南向きの土地:100
 北向きの土地:90

同じ方位の土地の場合
 通常の間口の土地:100
 間口の劣る土地:80

南向きの土地の場合
 通常の間口・奥行・形状の土地:100
 奥に向かってL字型の土地:40

とことでした。

少し強めの修正率だと思いますが、実勢の売買価格はこの程度だと思われます。最も、間口や形状は、その土地に建物が建つか否かでも減価率は変わってきますので、この数値は経験則に基づいた一般的なものだと思います。

ちなみに私がこのような土地を鑑定評価する場合、土地価格比準表や坪田式による計算式、仲介査定や財産評価基準の格差率、あと、不動産業者の方の聴き取り結果などを用いて格差率を決定しています。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

近隣で事故のあった不動産の価格

2020-10-19

過去の殺人事件や事故死などがあった不動産は事故物件と呼ばれますが、当然、売買や賃貸は困難となり価格賃料は下がることになります。特に、凶悪事件があった物件などは、そのまま売買や賃貸に出すことが難しく、取り壊されることもあります。

その事故が不動産価格に与える影響ですが、対象となった不動産に減価が発生するとして、その近隣周辺に影響を及ぼすかが問題となります。

名古屋近郊での話ですが、殺人事件が起きた不動産の近隣で売り物件が出たそうですが、中々買い手がつかず相場よりも安い価格で取引された、とのことです。地方の不動産取引は地縁的な人間関係に基づくものが中心であり、風評を恐れて買い手が少なくなり、取引価格も安くなったと考えられます。

一方、都心の住宅地域においては、事故物件の近隣までマイナスの影響が続くとは考えにくく、当初は販売に苦戦するかもしれませんが、相場に大きな影響はないものと考えられます。

不動産の鑑定評価額は想定される需要者で決まることになり、地縁的な取引が中心の地方と想定される需要者の存する圏域の広い都心部では事故の不動産価格への影響の程度も違ってくると考えられます。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

河川の鑑定評価

2020-10-18

河川の改修工事などに掛かる用地買収などで河川の鑑定評価を行うことがあります。河川は通常、官地であることがほとんどですが、以前、1号地(流水地)が民地であったことがありました。昔の河川改修の際、買収漏れがあったことが理由だそうです。また、3号地(堤外民地)の場合、既得権で一般住宅が建っているケースもあります。

1号地の鑑定評価を行う場合、実際の取引事例が皆無に等しいので割合法(堤内地に設定した標準地の価格との割合から堤外地の価格を求める)を適用して鑑定評価額を求めることが多いです。

また、堤外民地の場合、実際の取引事例が取得できる場合は取引事例比較法と前記の割合法を併用して鑑定評価額を求めることになると思います。

河川の鑑定評価は難しい評価の一つですが、公共のお仕事をしている不動産鑑定士の方は意外と身近な評価なのかもしれかせん。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

シェークスピア全集の価格

2020-10-17

先日、1623年出版のシェークスピア全集がオークションに掛けられ、ある収集家が約998万ドル(約10億5千万円)で落札しました。文学作品としては過去最高額だそうです。

今回のような希少な文学作品の価格、希少性故、収集家にとっては価値があるためこのような高額な価格で落札されると思います。但し、美術品は美術館、芸術品は博物館などで作品を来館者に見せることで収益を上げられますが、文学作品はどうなのでしょうか?

最も、シェークスピアくらいの歴史的、世界的な劇作家の作品であれば忘れられることはなく、作品の保存状態が良好であれば将来、値上がりも期待できるかもしれません。

不動産鑑定士も将来、不動産だけではなくこのような文学作品の鑑定評価ができる日が来るかもしれません。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

駐車スペースと商業地の地価との関係

2020-10-13

商業地にとって集客は最も重要な課題であり、駅近や交通量の多い路線沿いの商業地は集客力に優れるため地価も高くなる傾向があります。

その中でも路線商業地域内の商業地は、車での来客が中心となるため、駐車場の設置は必須であり、逆に駐車スペースを確保できない小さな土地は商業地としての需要が少なく、商業店舗ではなく住宅が建つこともあります。

先日、沖縄県で県道の歩道拡張工事を妨害するため置かれたブロック塀やコンクリートが行政代執行で撤去された、との記事を見ました。その歩道拡張用低地を駐車スペースとして使用していた地権者が置いたようです。

その地権者は、駐車場がなくなることで建物の財産価値が下がることを懸念していたとのこと、土地の買収単価も不満だったようです。

不動産鑑定評価を行う場合、駐車スペースの有無が建物価値に影響することはなく、商業地をしての利用価値が落ちることから土地価格から規模で減価することになると思います。駐車場の有無による収益への影響が大きい場合、市場性を考慮するかもしれません。

今回のような道路拡幅、駐車場の問題以外にもその商業路線が衰退する可能性を心配する声も聞かれます。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

旧大沼百貨店の価格

2020-10-11

競売の売却基準価額は不動産鑑定士鑑定評価額をもとに決められていますが、先日、1月に自己破産手続きに入った山形市の旧大沼百貨店の売却基準価額が発表されました。

売却基準価額は、旧本店が2億3346万円、新庄市の旧ギフトショップが1944万円だそうです。

地方都市の人口減少が進み、新たな出店者の想定が難しい中、入札者が現れるか、また、いくらで落札されるか興味深いです。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

毛沢東の巻物の価格

2020-10-10

不動産と同じように骨董品も適正な価値の把握が難しく、骨董品を専門に扱う鑑定士の方がおられますが、先日、ネットで毛沢東の巻物が盗まれたとの記事を見ました。

その盗まれた巻物は発見されましたが、展示しやすいようにと半分に切られた状態だったそうです。

ちなみにこの巻物の価値は推定320億円とのこと、毛沢東直筆という希少性ゆえの価格だと思いますが天文学的な数字ですね。320億円あれば何が買えるでしょうか?想像もできません。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

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