Archive for the ‘鑑定評価の話’ Category

岩手県奥州市の中心商業施設の鑑定評価額

2023-04-19

このコラムでも度々書いている地方の中心商業施設の撤退、先日、岩手県奥州市にある中心商業施設の閉店前の取得を市が断念した、との記事を見ました。

現在の運営会社の閉店期限が4月中とされており、市はそれまでに取得を目指していました。地権者の同意に時間がかかることが予想されるため、とのことです。

ちなみにこの商業施設の鑑定評価額は2億6000万円とのこと、今後の収益性確保が不透明な中、高額な鑑定評価額であり、市としては取得による再建を断念することも予想されます。

私の地元の愛知県でも一宮市の名鉄百貨店の閉店が発表され、商業施設の淘汰が進んでいます。今回の岩手県の商業施設の動向を注視したいと思います。

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道路と不動産鑑定評価

2023-04-17

道路は不動産の価格を決める重要な要因であり、住宅地であれば道路幅員が広ければ日照や通風を確保する上で有利ですが、広すぎても交通量が増え、結果、騒音や振動の問題がでることもあります。

商業地の場合は、特に高度利用が可能な地域の場合、道路幅員が広い方が土地上の建物の制約が少なくなるため有利であり、土地の価格も高くなります。

先日、神戸市に車道5m、歩道8mの道路の整備が進められている、との記事を見ました。車道を一方通行にするために、このようなアンバランスな道路となったそうです。

鑑定評価を行う対象地がこのような道路に接する土地の場合、道路格差をつける時に迷うのでは、と思います。住宅地であれば、日照等に関しては有利ですが、歩道が8mもあると、道というよりミニ広場に近いものになってしまうので、車道にでるのも楽ではないですし、快適性や利便性などで劣る可能性も出てくると思います。

そのことだけをテーマに本が出ているくらい奥が深い道路と不動産鑑定評価の関係、車道と歩道の関係も新たなテーマになりそうな予感です。

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軟弱地盤の土地の鑑定評価

2023-04-13

土地は通常、建物等を建築することで有効利用できるものであり、そのためには地盤が固い方が望ましいです。

地盤が軟弱な土地、例えば田地や海岸、湖沼などの埋め立て地は、地震などで建物が倒壊したり傾いたりするリスクが高い上に、埋め立てを行っても下から湿気が上がってきて、建物の老朽化を早めることも多いそうです。

このような軟弱地盤の土地は、表層改良を行ったり、石やコンクリートを埋めたり、コンクリートを張ったり、地中にパイルを打ち込んだりして土壌を固めることになりますが、当然、費用が掛かることになり、鑑定評価を行う場合、改良工事にかかる費用を土地の価格から控除して鑑定評価額は決定されます。

先日、大阪にIR予定地が軟弱地盤であり、土壌も汚染されている、との記事を見ました。土壌汚染対策委は約790億円、膨大な金額となりました。

これほどまでの費用をかけて計画されるIR、それに見合う収益が上がるということだと思います。

世界的に成功例があるからでしょうか、IR誘致に自治体が誘致に鎬を削る理由がわかります。

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相撲部屋の土地建物価格

2023-02-28

先日、旧相撲部屋がちゃんこ屋さんになったニュースを書きましたが、相撲部屋のような特殊な不動産鑑定評価する場合、中々難しい評価になるようです。

この相撲部屋の土地建物、過去、旧親方から新親方に売買される話があったそうですが、価格が折り合わず、売買を断念したとの記事をみました。特に建物価格への投資額と市場価値との乖離が発生したのだと思います。

相撲部屋に限らずと特殊な用途を目的に造られた不動産の鑑定評価は難しく、依頼目的なども考慮し鑑定評価額を決定することになると思います。

この旧相撲部屋の売買の際、双方の希望する価格の乖離がどの程度であったか不明ですが、売買が不成立だったことを考えると、お互いが歩み寄れる範囲内ではなかったことは事実のようです。

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ため池の鑑定評価額

2023-02-21

ため池は昔、用水の整備が十分でなかった頃、主に農業の灌がいを目的に造られたもので、現在も水源に乏しい地域では貴重な水がめとして用いられています。

このため池、最近では用水の整備も進み、又、農業用水の需要も減ったことから放置されているものもあると聞いたことがあります。また、災害の際、被害を発生させる可能性があるとのことで、管理する自治体も頭を悩ませているそうです。

先日、京都府にある農業用のため池を売却、との記事を見ました。ため池を住宅用地に転用し、その売却益集会所の建て替え費用に充てる意向だそうです。

このため池は広さ約4700㎡、売却に向けて今年度中に不動産の鑑定評価を受けるそうです。

今回のような宅地化を目的とした鑑定評価の場合、不動産の種別は宅地見込地として評価することになりますが、宅地としての需要が弱い地域であれば、池の取引事例から比準した比準価格を重視して価格が決まることになると思います。

このようなケースは今後増えていくと思われますが、地方のため池の需要者の想定は難しく、実際に売買が成立するケースは少ないと思われます。

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大規模工場跡地の鑑定評価

2022-09-26

大規模工場の鑑定評価は、類似性を有する取引事例も少なく、難しい鑑定評価の一つだと思います。大規模工場は、規模が大きいのはもちろんですが、存する建物の数も多く、用途も工場や事務所など多岐にわたり、また、敷地内に調整池がある場合などその扱いに苦労することになります。

先日、岩手県にあるNEC工場跡地が売買される、との記事を見ました。広さ約8万3600㎡、駅に隣接しているそうです。気になる売買価格は17億6000万円、不動産鑑定評価額に基づいた価格だそうです。

この鑑定評価額、土地建物、土地のみの価格かは不明ですが、立木と建物の解体撤去費用が5億2800万円とのことです。やはり大規模な工場だけあって、解体撤去費用も高額ですね。

跡地ですが、市が民間資本を導入すながら利活用する計画とのこと、首都圏から離れた広大地、手を挙げる民間資本は現れるかなど、今後の動向が注目されます。

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不動産の理論的物件価格

2022-09-08

不動産の鑑定評価を行う際、その価格の種類として主に積算価格(不動産の再調達原価に着目する原価法を適用)、比準価格(不動産の市場性や比較可能性に着目する取引事例比較法を適用)、収益価格(不動産の収益性や投資採算性に着目する収益還元法)が上げられます。

先日、あるネット記事で「不動産の理論物件価格」という言葉を目にしました。初めて知る言葉だったのでよく読んでみると、中古マンションの家賃中央値から算出した価格とのこと、おそらく収益(家賃)を還元利回りで還元して出された価格だと思われます。

この不動産の理論的物件価格とは、鑑定評価における収益価格のことだと思います。確かに以前は収益価格を理論値と書いた鑑定評価書を多く見ましたが、最近はめっきり見なくなりました。理論値では価格に説得力がなく、鑑定評価額の信頼性が損なわれることが理由だと思われます。

不動産の収益価格は、採用する還元利回りが重要ですが、このこの不動産の理論的物件価格を求める際の還元利回りはどのように求めているのか、とても興味深く思いました。

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駅徒歩至近の商業地の鑑定評価

2022-08-30

駅からの距離は不動産価格形成要因であり、特に駅から徒歩至近の商業地は高額で取引されることが多いです。駅徒歩圏、特に最近では5分以内の土地が好まれる傾向にあり、当然、駅から近くなる程土地の価格は高くなっていきます。

先日、東京都武蔵野市で駅至近の土地を不当に安く売却した、とのことで現市長が訴えられた、との記事を見ました。問題の土地取引は2件、駅徒歩約1分(約300m)と駅徒歩3分(約350m)の土地だそうです。

土地を巡る裁判の場合、原告、被告が不動産鑑定評価書を提出して双方が価格の妥当性を争い、最後、裁判所が専任した第3者が鑑定評価評価人鑑定)を行い、判決が下されることになります。

価格の妥当性の判断、鑑定評価書が採用した周辺の取引事例価格が重要になってきますが、両土地の2分の距離の差がどの程度価格の差として反映されるのか、裁判の行方と併せて興味深く見守りたいと思います。

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ゴルフ場のクラブハウスの鑑定評価

2022-08-20

バブル期に大量に開業したゴルフ場、現在もゴルフ人口の減少によりオーナーチェンジしたり廃業するゴルフ場も発生しています。廃業したゴルフ場の中には、太陽光発電のソーラーパネルが設置されるケースもあり、残念に思うことがあります。

ゴルフ場、オーナーチェンジや廃業の際、不動産の鑑定評価を行うことが多いのですが、バブル後に大量の鑑定評価がなされており、価方法は確立されているようです。

ゴルフ場の鑑定評価、原価法を適用する際、土地建物は分けて評価しますが、ゴルフ場はコース部分とクラブハウス等の物に分けられます。

そのクラブハウスの価格ですが、先日、ネットで10億円から20億円との記事を見ました。クラブハウスや受付、ロビー、ロッカー、浴室などの設備を整える必要があり、標準的なゴルフ場の場合、上記の金額になるそうです。

ちなみにコースの造成・整備費は1ホール約2億円と言われており、開業には多額の投資が必要になることが分かります。

今後、ゴルフ人口の増加が見込めない中、新規ではなく既存のコースを改修して使用することが主流になっていくと思われます。

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病院跡地の鑑定評価

2022-08-12

自治体の財政が厳しい中、公立病院の統廃合が進んでいます。私が住んでいる名古屋市でも、公立病院が廃止され、民間に売却されるケースが見られるようになりました。

昨日、ネットで病院跡地の地中から医療廃棄物が見つかった、との記事を見ました。買い手である町が、土地所有者と旧賃借人であった県を訴える、との内容です。町が求めた損害賠償額は1億9532万円、廃棄物の撤去処分費などとのことですが、心理的瑕疵も含まれた金額であると考えられます。

病院跡地を鑑定評価する場合、地下埋設物があれば土地価格から撤去費を控除して求めることになりますが、特に入院設備などがある大規模な病院の場合、何等かの心理的瑕疵も考慮して鑑定評価を行うことになると思います。

また、今回のような医療廃棄物の場合、土地が汚染されている可能性が高く、土壌の入れ替えに伴う費用が発生することにも注意が必要です。

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