Archive for the ‘鑑定評価の話’ Category

再建築不可物件の鑑定評価

2022-05-22

再建築不可物件とは、建築基準法施行以前に建てられた既存の建物が現行法の建築要件を満たしておらず、既存の建物を取り壊して再建築が出来ない不動産を言い、接道要件不足やがけ地などに建つ物件が上げられます。

旗竿地や無道路地など、建築基準法上の道路に2m以上接面していない土地の鑑定評価は、道路用地を買収して接道要件を満たすことは理論上可能であるため、計算式によって減価額を求めることも可能です。また、がけ地の場合、現行の擁壁を取り壊して再構築することで建築許可が下りる場合は、それらに要する費用を土地価格から控除して鑑定評価額を求めることになります。

また、接面道路が建築基準法上の道路以外の道である場合、例えば昔からある長屋のような建物で、細い私道の奥にある土地などの場合、再建築は極めて困難となります。

このような不動産を鑑定評価する場合、建物の継続利用が可能な場合は建物の耐用年数を判定し、有期還元による収益還元法による収益価格を重視して鑑定評価額を決定することになると思われます。

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異臭の不動産価格への影響

2022-05-11

日照が制限されたり、騒音の酷い不動産の価格は減価が発生することになり、その減価額の算定が問題になります。日照ですと、日照が阻害される前後の日影図などを作成し、減価額を判定することが一般的です。騒音の場合も同様に、実際の騒音のデシベルを測り、許容される数値との比較から減価額を判定する方法が考えられます。

先日、ネットで異臭のするマンションの記事を見ました。豚骨等のラーメンのスープを大量に作っていたことが原因だったそうです。

このような場合はスープの作成を止めることで解決しますが、臭いを排除することができない場合、不動産の減価の合理的な算定は難しいと思います。このような不動産を鑑定評価する場合、財産評価基準などの数値や、過去の判例などを参考にして減価額を判断することになると思われます。

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相撲部屋の鑑定評価

2022-05-01

相撲部屋は、お相撲さんが生活したり稽古をしたりする建物で、稽古場はもちろん、ちゃんこ場(広めの台所?)、力士達が寝泊まりする部屋などからなっており、一般的な居住用建物とは違う造りになっています。

最近では、引退した力士が年寄りとなって部屋を起こす際、新たに土地建物を購入することが難しく、定年した年寄りから相撲部屋を購入するケースも多いようです。

このような特殊な造りの相撲部屋を正常価格で鑑定評価した場合、買い手が限定されるため何等かの減価は発生すると考えられます。相撲部屋の多くは東京の都心に位置しており、最有効使用が何であるかの判断から、その最有効使用での建物が可能であるなら、そのための費用(稽古場やちゃんこ場の撤去や他の用途への転換に掛かるリフォーム費用)などを控除した価格になると思われます。

実際に売買されることのなる相撲部屋、どのように取引価格が決定されているのか興味深いところです。

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地下埋設物のある鑑定評価

2022-04-25

土地の鑑定評価をする際、基礎杭がある等、外観から明らかに地下埋設物の存在を推測させる場合は少なく、その殆どが地中に存在していることになります。エンジニアリングレポートを頂けたり、聞き取り調査から地下埋設物の存在がわかるケースもありますが、鑑定評価においては過去地図や閉鎖登記簿、過去の航空写真などを頼りに地歴調査行います。

もちろん、依頼者の方から費用を頂ける場合はボーリング調査なども可能ですが、広い土地の場合にはその費用も膨大となってしまうという問題もあります。

先日、長野県の空き家解体中に地中よりコンクリート破砕機が出てきた、との記事をみました。当初は拳銃、筒状のダイナマイトの可能性があるとのことでした。

名古屋市でも、リニモの工事現場から不発弾が発見されたり何かと問題になる地下埋設物、後から発見されることも多く地下埋設物のある土地は不動産鑑定士泣かせの土地といえます。

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最高裁が路線価方式を否認

2022-04-19

相続税路線価は、土地の相続税や贈与税の算定の基礎となる価格で、実勢価格(時価)の8割程度とされています。なので、納税者は時価より2割安い価格を基準に算定された税額を支払っていることになります。

今日、最高裁が路線価方式にて算定されて相続税を否認し、鑑定評価書に基づいた相続税額を適正とする判決を下しました。行き過ぎた節税対策を前に、鑑定評価額をもって相続税を計算するという例外規定を認めた判決となりました。

相続税等の申告の際、鑑定評価書は通常、個人の方が時価が相続税評価額を下回っていると判断した場合、例えば相続財産ががけ地や無道路地などの場合に依頼されることが多く、今回は国税庁が鑑定評価書を用いるといった点で珍しいケースとなりました。

今回の判決によって、今後、富裕層の節税目的での不動産購入に一定の歯止めがかかるものと思われます。

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船の鑑定評価

2022-04-17

日本の不動産鑑定士は、不動産の価格賃料、権利などの価値を判定することが主な業務ですが、お隣の韓国の鑑定士は、不動産以外の動産、宝石や美術品、船舶などの鑑定も行っていると聞いたことがあります。

先日、ロシアの沈没した巡洋艦の価値が約950億円との記事を見ました。軍用艦の場合、ベースとなる部分に加えて装備が加わるため、価格も高額になると思われます。それにしても高額ですね。

軍用艦は船の価格に加えて軍の装備品の知識が必要となるので、鑑定評価は極めて難しいものになると思います。

ちなみに今回の巡洋艦の価値ですが、同クラスの他艦から推定したそうです。不動産の鑑定評価でいう、取引事例比較法の考え方と同じですね。

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大規模土地と複数建物の鑑定評価

2022-04-15

大規模な工場地には、工場や倉庫、事務所棟など多数の建物が存する場合が多く、鑑定評価をする場合、土地と複数建物が評価の対象となります。

かなり前、ある研修所跡の鑑定評価書を見たことがありますが、研修棟や寮、体育館などは価値0円で評価されていました。築年を経ており、アズベストの存在が理由でした。ちなみに買い手はその建物をそのまま利用するとのことでした。

先日、旧パナソニック岡山工場が売却され、買い手は物流倉庫として利用するとの記事を見ました。売却額は非公開でした。

記事を読みますと、買い手は工場建物を物流倉庫としてそのまま利用するとのこと、売り手にとっても買い手もとってもよい取引だったと思います。また、まだ利用できる建物を存続させるという社会経済的利益保護の見地からも喜ばしいニュースだと思います。

利用できる建物が取り壊されるのは残念なこと、今回のような建物の再利用を前提とする売買取引が増えて欲しいと思います。

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継続賃料の鑑定評価

2022-04-07

家賃の賃料改定に伴う継続賃料の鑑定評価は、作業量や評価主体の判断を要する箇所も多いため難しい評価になることが多いです。

継続賃料の鑑定評価を行う前提として、対象不動産を新規で借りる場合の賃料(新規賃料)を求めることになりますが、地価上昇及び建築費の高騰により、積算賃料が著しく上昇している印象があります。また、スライド法による料も、原油価格の上昇をはじめ各種物価が上昇しており、高めの賃料が算出される傾向にあります。

このような実態を反映して、継続賃料の鑑定評価額も上昇傾向にあると判断されますが、先日、東京赤坂の議員宿舎の家賃が値下げされたとの記事を見ました。3LDKで延面積約82㎡、月額家賃13万8066円から12万4652円になったそうです。東京都心の一等地で家賃12万5000円、破格の安さだと思います。

国家公務員宿舎法では、経年劣化を家賃に反映させると規定されているとのことですが、コロナ禍で国民が疲弊している中での議員宿舎の家賃の値下げ、世間からの批判は免れそうもありません。

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高級住宅の鑑定評価額

2022-03-26

高級住宅は名声・品等に優れた住宅地域の存し、施行の質がよく、規模も大きい建物を有する土地建物を指し、そのような不動産の鑑定評価は難しいことが多いです。

高級住宅は総額が高く、需要者が限られるため通常の戸建住宅と比較して売買が難しく、また、施主の好みを反映した設備等が却って買い手から敬遠されることがあるため、何らかの市場性減価が発生することが多いです。このような市場性減価が発生するか否か、また発生した場合の減価率の決定に苦労することが多いです。

高級住宅地であっても不動産鑑定評価の場合、通常は建物に価値を付けることになりますが、実際の市場では購入者は開発業者であることが多く、築年が浅く老朽化や陳腐化、破損等がなくても取り壊されて分譲されることも多くあります。

過去の取引もみても、売りに出してすぐに売れているケースもあれば、中々売買が成立しない場合もあり、金融市場の動向、地域の需給動向、売り出すタイミング等も考慮しながら鑑定評価額を決定する必要があります。

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大規模工場地の鑑定評価

2022-03-16

自動車などを製造する大規模工場地の鑑定評価は難しい評価の一つになり、土地建物の価格に付属する機械・器具等の価格を加算し積算価格を試算します。このように工場財団は鑑定評価は特殊な評価にあたり、膨大な資料を分析検討する必要があることから、主に大手の鑑定事務所が行うことが多いです。

先日、岐阜県坂祝町の旧パジェロ製造の岐阜工場が大王製紙に売却されるとの記事を見ました。売却額は40億円前後、土地建物の価格だそうです。

今回のような買い手が製造業の場合、既存の工場などの設備を使用できるため建物にも価値が付きますが、工場以外の他の用途に転換する場合には取り壊し・撤去費を土地価格から控除するのが一般的です。

旧パジェロ製造の工場は、立地的に他の用途への転換が難しく、地域の雇用維持や建物等の経済的利益保護の点からも、大王製紙への売却でよかったのでは、と思います。

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