Archive for the ‘鑑定評価の話’ Category

路線沿いの土地の鑑定評価

2022-03-14

幅員が広く交通量の多い路線沿いの土地は、一般的に郊外であれば低層店舗、市街地で駅距離や容積率に優れた土地あれば店舗付きマンション、中心市街地であればオフィスビルとして利用されることが多いと思います。最近は中心市街地であっても高層マンション、コロナ禍前であればホテルになることも多いです。

路線沿いの土地、交通量や背後地に優れ、収益力のある地域であれば商業系施設として利用されることが多いですが、路線が衰退傾向にあったり、商業性、収益力に劣る地域になると、最近は分割されて戸建住宅になるケースも多く見られます。

このような土地を住宅地として鑑定評価するとなると、やはり騒音や振動、車庫の出し入れの容易性が劣ることから、背後の住宅地との比較で低めの鑑定評価額になることが多いです。

路線沿いの住宅地、騒音や振動に加えて、風水的にもよくないとの記事を見ました。風水を鑑定評価額決定の要因にすることは難しいですが、やはり住宅地として好ましくない土地は価格に織り込まれており、取引価格も低くなるように感じます。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定評価なら「松岡不動産鑑定士事務所」

特殊な設備のある建物の鑑定評価額

2022-03-12

建物の鑑定評価を行っていると、時々、特殊な設備のついた建物に遭遇することがあります。私が経験したのは、防音設備のあるスタジオのある建物、同じく防音設備のあるピアノルームのある建物、地下にトレーニングルームのある建物、リビングに滑り台、庭にツリーハウスのある建物等、全て所有者の趣味で造られたものでした。

このような建物の場合、設備に多額の設置費をかけていても増加要因にはならず、汎用性が著しく劣る場合などは減価要因になります。所有者の趣味で内装などが豪華であっても、それが一般の人には奇抜ととられるような場合、市場性が劣ることから減価要因になるのと同じ理屈です。

先日、屋上に天体観測用のドームがある不動産についても記事を見ました。天体観測用のドームがある建物、名古屋でも時々見かけます。

このような建物を鑑定評価する場合、ドームを物置などに使用できる可能性はありますが、やはり一般の買い手は敬遠すると考えられ、市場性減価を考慮し、鑑定評価額は低めになると考えられます。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定評価なら「松岡不動産鑑定士事務所」

築浅マンションの鑑定評価

2022-03-08

中古マンションを含め土地と建物の鑑定評価を行う場合、建物の施行の質、品等と並び築年数も価格に大きな影響を与えます。

不動産業界では、築浅の中古マンションは残価率が大きく、新築マンションとの比較で価格の値頃感が少なく売りにくいというのが一般的でした。但し、昨今の新築マンションの高騰に引っ張られる形で中古マンションも値上がりしています。話では、駅近物件などは築浅マンションが新築マンションを上回る価格で取引されているケースもあるそうです。

確かに中古マンションの鑑定評価を行うと、ここ数年で取引価格が大きく上昇したと感じます。特に鉄道路線の良い駅近物件や学校の良い物件で高額での取引が目立ちます。

ちなみにデータでは、築30年以上のマンション価格は新築マンション価格の3分の1程度まで下がるそうです。築30年であれば躯体や設備の老朽化や陳腐化もあり、もっと価格が下がる印象ですが、意外に思いました。

リモートワークの普及で戸建住宅の人気が高まったとの声がある一方、中古マンションも高値で取引されるとの記事を見ると、マンションの人気はやはり根強いと思いました。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定評価なら「松岡不動産鑑定士事務所」

1階が飲食店舗のマンションの鑑定評価

2022-03-04

区分マンションの鑑定評価は、類似性のあるマンション(取引事例が同一マンション内だとより類似性が高い)の取引事例から比準した比準価格、費用性に着目し、1棟土地建物の再調達原価に位置別及び階層別効用比を乗じて求めた積算価格、収益性及び投資採算性に着目し、賃貸を想定することで求められる収益価格を求め、鑑定評価額を決定します。

先日、1階が飲食店舗のマンションの記事を見ました。臭いや騒音、ゴキブリなどを理由に敬遠する人が多いように感じました。以前にも書きましたが、1階が仕出し屋さんのマンションを買われた方が、臭いは相当気になると言っていました。

一方、一人暮らしに人などは、1階が飲食店舗だと常連になれたり、夜など逆に安全、などよい印象をお持ちの方もいます。

このような1階飲食店舗のマンション鑑定評価する場合、その点を特に価格形成要因として考慮しないのが通常ですが、例えばお店の前に行列ができる程の人気店である、換気扇からの煙で外壁が汚れている、など明らかにマンションの資産価値に影響を与えていると判断される場合は、減価要因になると考えられます。

私は以前、飲食店ではありませんが1階店舗の賃貸マンションに住んだことがありますが、印象はよくなく、できれば避けたい思いはあります。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定評価なら「松岡不動産鑑定士事務所」

傾斜地の鑑定評価

2022-03-02

傾斜地の鑑定評価は評価する不動産鑑定士の力が試される難しい評価になります。傾斜地は傾斜の角度によっては現状での土地利用が難しく、減価を考慮することになります。土地価格比準表、財産評価基準、固定資産税評価基準などの計算式による減価率の査定、盛土や切土、擁壁の設置で対応できる場合はその費用を積算、開発業者による見積額などを土地価格から控除して傾斜地の鑑定評価額を決定します。また、農地や山林などの場合は、傾斜の向きも考慮し減価率を査定します。

傾斜地で既に擁壁が設置されている場合は、擁壁の状態(コンクリート擁壁か石積み擁壁か、クラックや反りの有無、水抜き穴の有無など)を考慮し、鑑定評価額を決定します。擁壁の再利用が困難と判断された場合は、旧擁壁の撤去費用及び新擁壁の設置費用を考慮することになります。

先日、敷地の半分が急傾斜地に建てられた家の記事を見ました。1階部分を玄関、水回り、ビルトインガレージにした4階建ての建物でした。名古屋市でも東部の宅造区域を中心にこのような建物は多く見られますが、建物の建築費は割高になる傾向があります。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定評価なら「松岡不動産鑑定士事務所」

旗竿地の鑑定評価

2022-02-26

旗竿地とは、宅地部分と路地状部分からなっている土地をいい、袋地(法律の観点では無道路地を指す言葉だそうです。)、敷地延長、敷延、延敷などと呼ばれることもあります。

旗竿地は前面道路から奥まったところに建物が建つことになるので、日照、通風や眺望などが一般的な土地より劣ることになるので、価格は安くなる傾向があります。また、最近は敷地に車を2台以上駐車できる土地が好まれ、縦列での駐車となることも敬遠される要因のようです。

旗竿地の鑑定評価は、私は主に土地価格比準表や坪田式、仲介査定で用いられる計算式にで減価率を試算し、不動産業者からのヒヤリング結果や実際の売買事例などから把握した減価率を比較検討して鑑定評価額を決定しています。今までの経験では、15%~20%程度の減価になることが多いです。

旗竿地ですが、建築基準法が施行される以前の古い旗竿地の場合、間口が1.8mの土地も多くあり、再建築が困難なケースがあることには注意が必要です。このような間口要件を満たさない土地の鑑定評価は、前記旗竿地とは違ったアプローチ、無道路地の鑑定評価に近い方法にて減価額を査定することになります。

なお、旗竿地のメリットとしては、価格が割安であることに加えて、奥まったところに建物があるので静かだ、との声を聴いたことがあります。近隣の音は住んでみると意外と気になるものなので、静かに生活したい人には良い買い物なのだと思います。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定評価なら「松岡不動産鑑定士事務所」

デューラー絵画の鑑定評価額

2022-02-24

不動産の価格同様、鑑定評価が難しい美術品ですが、先日、約3000円で購入した絵画の評価額が11億円超、との記事を見ました。

この作品はデューラーというドイツの画家がかいた素描画で、1503年にかかれたと見られます。500年以上前にかかれた作品、個人宅の庭先での販売会で購入されたものだそうです。

絵画の鑑定評価、贋作であるかの判断はもちろんですが、評価額はどのように決められるのでしょうか?著名の画家であれば、おそらく、過去のオークションの落札価格などから判断されるのかと思います。

金余りの昨今、芸術品の価格も高騰を続けており、この作品がオークションに出された場合の落札価格、興味深いですね。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定評価なら「松岡不動産鑑定士事務所」

不動産公売の鑑定評価

2022-02-22

裁判所が行う競売不動産は、不動産鑑定士が行う鑑定評価によって開始価格が決められることは知られていますが、国税庁や自治体が行う公売不動産の価格も、不動産鑑定士鑑定評価を行って決めることになります。

但し、競売・公売とも入札方式のため、鑑定評価額ではなく最も高い価格を付けた人が落札することになります。

先日、自治体が差し押さえた不動産を国税局が公売にかける取り組みが広がっている、との記事を見ました。自治体によっては公売のノウハウがなく、国税局と連携することで差し押さ不動産の換価を進めることが狙いのようです。

地価の二極化が進む昨今、地方の不動産の値下がり傾向続くと考えられ、差し押さえた不動産の価値が下がるのを抑えるためにも早急な売却を進めるこの制度は今後普及するものと思われます。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定評価なら「松岡不動産鑑定士事務所」

レトロマンションの鑑定評価

2022-02-20

マンション価格の高騰が激しい昨今、新築マンションの価格と同様中古マンションの価格も値上げり傾向が続いています。特に、駅至近や居住環境の良い地域、家族向けであれば学校区の良い地域のマンションは、購入価格を上回る高値で取引されるケースもあるようです。

先日、レトロマンションの価格がバブル超え、との記事を見ました。レトロマンションとは昭和の時代に建てられた築年を経たマンションで、特に、外観に拘った建物をいうそうです。確かに昭和期のマンションは、外壁の一部に壁画が貼ってあったり、ベランダやペントハウスの形状に拘りがあったり、遊び心の多い建物が多かった印象です。

そのレトロマンションの鑑定評価、特に旧耐震基準で建てられたものは築年を経ており、耐用年数に基づく方法で十分な減価がなされており、旧耐震基準であることを考慮することは少ないかと思います。観察減価に関しては、実際の老朽化、破損、陳腐化等を調査し、さらに過去の修繕履歴などを分析調査し減価額を査定しますが、外観からは判断できないコンクリートや給排水設備の劣化が推定され、修繕維持の程度にもよりますが強めの減価になることが多いです。

このようなレトロマンション、リノベーションして販売されているケースが殆どだと思いますが、前記のリスクを踏まえて慎重に購入の判断する必要があると思います。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定評価なら「松岡不動産鑑定士事務所」

戸建住宅の新規賃料の鑑定評価

2022-02-16

戸建住宅は主に自己の居住を目的とする不動産であり、本来、賃貸想定には馴染まないのですが、所有者の事情等により賃貸に供される場合があります。また、最近の不動産投資ブームにより、当初より戸建賃貸を想定して土地を購入、建物を建築し個人に賃貸するケースも見られるようになりました。

戸建住宅の賃料の鑑定評価ですが、費用性に着目した積算賃料、比較可能性を重視した比準賃料を求め鑑定評価額を決定することになります。

このような戸建住宅の賃料の傾向ですが、相当築古の案件を除き、一般的な延面積や間取りの不動産であれば、10万円/月が目安になるようです。

私がハウスメーカーの方から聞いた話では、家賃が月10万円を超えると賃貸ではなく購入を考える方が多く、法人契約や一部の高額所得者を除き、一般的な戸建住宅であればこの水準に落ち着くとのこです。

但し、最近では10万円/月を大きく超える成約賃料の物件も多く見られるようになり、リモートワークの普及等による戸建住宅の人気の高まりの影響が、賃貸市場にも及んでいるようにと感じます。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定評価なら「松岡不動産鑑定士事務所」

« Older Entries Newer Entries »