Archive for the ‘不動産の価格’ Category
不動産価格と商業施設の距離
最寄り駅までの距離が不動産の価格に与える影響は大きく、住宅地の場合、徒歩15分を超えると競争力がかなり落ちる傾向があります。駅から近いと、通勤や通学に便利ですし、時間と体力が助かりますから。
最近、高齢化の進んだ街は、商業施設までの距離があり住みにくい、との記事を見ることがあります。確かに、用途地域による制約でスーパー等が建てられないことも理由かと思います。通常の鑑定評価では、駅距離との比較で商業施設までの距離が価格に与える影響は小さく、場合によっては考慮しないこともあります。
将来的に高齢化社会が進み、商業施設の有無が不動産需要に与える影響が大きいと判断される場合、商業施設からの距離が鑑定評価額に大きな影響を与えることになる可能性はあります。但し、商業施設は鉄道駅と違い、新店・閉店が容易ですから、その点も考慮する必要はあると思います。
少子高齢化と不動産価格
不動産に限らず物の価格は、需要が増えると価格が上がり、需要が減ると価格が下がります。不動産は他の一般材と違い、簡単には供給を増やせませんが、宅地造成を進めることで供給量を増やし、増える需要を吸収していました。
現在の日本は、少子高齢化社会となっており、土地・不動産の需要は減る傾向にあります。ただし、不動産業者は不動産の取引を維持し増やす必要があります。
少し前から言われる高齢者の都心回帰、郊外の戸建住宅を売って都心のマンションへの住み替えを勧める話も、価格の下がった戸建住宅を売っても住み替え益がでるケースは殆どなく、新たな負債を出して終わることになります。
最近言われるリモートワークの普及による郊外住宅への移住の話も、新たな住み替え需要を模索する不動産業界の世論操作のように思われます。駅から近い都心のマンションであってもリモートワークはできますし、やはり利便性の良い都心の方が住みやすいですから。
不動産の購入は高額であり、一生に一度といわれるほど人の人生を左右します。一時の流行に惑わされないようにしたいものです。
不動産の鑑定評価と駐車場の有無
私の住んでいる愛知県は、自動車産業の盛んな地域であり、車普及率の高い県でもあります。なので新築の戸建住宅は、駐車2台可能な物件が一般的なイメージがありました。
最近、マンション価格や土地価格の上昇により、俗に狭小戸建住宅の需要が増えてきました。このような狭小戸建住宅は敷地規模が狭く、駐車場が1台、中には駐車場がない物件も見られるようになりました。名古屋市内の場合、地下鉄やJR,名鉄沿線の最寄駅から徒歩圏であれば、車を持たない世帯も増えているそうです。また、空き駐車場も増えており、車が必要になった場合でも、以前のように貸駐車場を探す苦労がなくなったことも理由かと思います。
先日、ネットで大都市圏以外の地方で家を購入する際重視する点の記事を見ました。結果は、駐車場付き(60.4%)、日当たりのよさ(53.3%)、治安の良さ(46.5%)、部屋の数(45.9%)となりました。やはり地方は車で移動する機会が多いためか、駐車場の有無を気にする人が多いようです。あと、部屋数については、テレワークで在宅する機会が増えたためでしょうか?大都市圏と同じ風潮となっています。
最後に、鑑定評価を行う場合、駐車場の有無の価格への影響ですが、駐車スペースの有無が直接価格形成要因になることはなく、敷地が狭小であることや、需要が劣ることなどを理由に市場性で減価することになります。
東京都の築地市場跡地の価格
東京都の築地市場跡地、小池知事の話では都が所有して有効利用する方針でしたが、今回の新型コロナウィルスの対策費による都財政の圧迫で売却する案が浮上し始めました。
築地市場跡地ですが、広さは約23ヘクタール、銀座の徒歩圏であり売却された場合の価格は1兆円との声も聞かれます。最も、コロナ禍の経済情勢が見えない中、これほどの土地に買い手が付くかの問題はありますが。
この築地市場跡地の売却の話が出る一方、従来の方針通り民間に土地を貸し出す方が得との意見もあり、すぐに売却されるか否かは不明のようです。
ちなみにこの土地、売却か貸した方が得かどちらでしょうか?鑑定評価した場合、難しい判断になると思います。
郊外の住宅団地の不動産価格
高度成長期には、大都市圏の郊外に大規模な住宅団地が造られました。名古屋市の郊外にも、瀬戸市や春日井市に区画整然としたニュータウンがあります。また、当時は入居希望者が多く、お隣岐阜県の多治見市や可児市の住宅団地に家を買って引っ越した人も多くいました。
このニュータウンとよばれる住宅団地の衰退が続いています。住民の高齢化が進み、空き家も増加しています。また、中心市街地からも離れていて、最寄り駅からも距離があるため需要も弱含み傾向にあります。
先日、埼玉県の鳩山ニュータウンの中古住宅の売り出し価格が250万円、との記事を見ました。余程買い手がいないのでしょうか、かなり安い価格が付いています。名古屋圏のニュータウンの価格も、街並みや建物の築年、程度、土地の広さなどを考慮すると割安な売値となっています。
今回のコロナ禍で言われる買い手の不動産の嗜好性の変化、駅距離より部屋の数、が本当なら、ニュータウンの不動産需要も増え、価格も上がると思うのですがその兆候は出ていません。
テレワークもコロナ禍後も続く保証はありませんし、都市の生活に慣れた人が利便性の劣る地域に住むのは難しいと思います。ニュースで報道されるように都心部から郊外への移住が進むのか、興味深く見守りたいと思います。
空き店舗と商業地の地価
新型コロナウィルス感染症の拡散は、飲食店などの経営に大きな影響を与えています。聞いた話では、管理会社は店子からの家賃の減額依頼の対応で大変だそうです。
先日、ネットで静岡市の繁華街の記事が出ていました。静岡市の繁華街である両替町では、空き店舗が目立っており、飲食店の撤退が続いているそうです。地元の不動産業者の方はあ、現時点では、行政による支援事業、持続化給付金や家賃補助などで持ちこたえている店舗の撤退が今後は続くと予想しています。この業者さんの話では、空き店舗のテナント募集する際の新規家賃は、現行家賃より1割から2割下げる提案を大家さんにしているそうです。
空き店舗が増えたり、賃料の値下げが続けば、その収益ビルから十分な収益を得られず、鑑定評価で試算する収益価格は下がることになります。また、大家さんの経営を圧迫した結果、商業ビルの売りが増え、供給が需要を上回ることになり、商業地の地価は下がることになります。
今回の新型コロナウィルス感染症蔓延の地価への影響、注意深く見守る必要があると思います。
フランク・ロイド・ライト設計の住宅の価格
先日、アメリカの有名な建築家フランク・ロイド・ライトが息子夫婦のために設計の住宅が7億7000万円で売却された、との記事が出ていました。この家は、ライト最後の傑作住宅といわれ、通称「らせんの住宅」と言われています。
このらせんの住宅は、過去、取り壊しの危機にあっており、今回の売買価格は、2018年に売買された価格の半分の値段であり、建物は保存される計画です。
日本でも、このような歴史的価値のある建物の保存運動は起こりますが、お金の問題で取り壊されることが多いのです。アメリカは理解のある富裕層が多いのか、古い建物が多く保存されていますね。
リノベーションと中古住宅の鑑定評価
日本は欧米との比較で中古住宅市場が未成熟と言われることがあります。日本の住宅は、木造家屋が中心であり、高温多湿の気候と相まって耐用年数が短いことも理由だと思います。また、施工や品等が良い場合であったも、間取りや設備などが昔の日本人の生活様式に合わせてあり、リフォームが難しく費用が掛かることも理由と考えられます。
このような理由から、築年数の経た中古住宅の鑑定評価を行う場合、建物価値は低いか、ゼロ円、場合によっては取り壊し費用を控除することが多いです。
私見ですが、最近は、間取りや設備などが今風の中古住宅が増えており、現行建物をリフォームやリノベーションで利用できるケースが多いと感じています。
そのような質の良い中古住宅は価格もそれなりになりますが、新築物件よりは割安になるので、今後、このような不動産が増えることで中古住宅市場も活性化されるのでは、と思います。
建物の間取りと鑑定評価額
戸建住宅などの建物の鑑定評価をする際、築年数、構造や使用、設備に加えて建物の老朽化・陳腐化などを考慮して価格を決定することになりますが、間取りに関しては、特に特殊な場合以外、価格形成に影響しないと考えられます。
先日、細く区切った間取りのマンションは売れにくい、との記事を見ました。昔の家族は子供が多く、それぞれ独立した子供部屋を確保する必要から狭い部屋が多くなったようです。このような鑑定評価の場合でも、特に減価が生じることは少ないですが、著しく狭小な部屋、例えば4.5畳程度の部屋が複数ある場合などは、市場性の減価が生じる可能性はあります。
間取りと鑑定評価額との関係ですが、その対象不動産が存する地域にもよると思います。例えば、都心の高齢世帯が需要者となる地域では、余裕のある間取りが好まれますし、子育て世帯が多い地域では部屋数を望む需要者が多いと思います。
また、リノベーションによる間取り変更も考えられますが、パーテーシ費用も掛かりますし、耐震性などの構造上の問題が発生する可能性があるので注意が必要です。
狭小戸建住宅の鑑定評価額
テレワークの普及に従い、狭小戸建住宅の人気が出てきた、との記事を多く見ます。実際、マンションの成約件数が減る中で、一部の戸建住宅の成約は増えているそうです。
狭小戸建住宅の定義ですが、名古屋だと100平米以下の敷地に建つ住宅とのイメージでしたが、最近では80平米程度の土地にも3階建ての建物を建てて販売しているようです。
ちなみに狭小戸建住宅ですが、土地が狭い分土地建物の配分割合が建物に多くなることになり、一般的な新築建物を想定すると鑑定評価額はそれなりの金額になることが多いです。
但し、このような狭小戸建住宅を扱っている、俗にパワービルダーと言われる開発業者は、建物の建築費を抑える独自のノウハウを持っており、一般的な需要者が買いやすい価格を設定することで売り上げを伸ばしていると考えれます。
競合するマンション価格の上昇に加えて、今回のコロナ禍によるテレワークの普及で需要を増やしている狭小戸建住宅、この傾向が続くか今後の推移を見守りたいと思います。
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