Archive for the ‘特殊な不動産’ Category
周辺隣地の不動産価格への影響
周辺、隣地の利用状況は対象となる不動産の価格に影響を与える要因となります。商業地であれば店舗の連たん性や集客力のある商業施設の存在、住宅地であれば俗に街並みと呼ばれる品等の良い家が建ち並ぶなど、があれば対象不動産の価格は高くなる傾向があります。
逆に、忌み物件と呼ばれる建物が周辺隣地に存する場合、不動産の価格は低くなるのが一般的で、ゴミ置き場や携帯電波塔の存在がトラブルとなるケースも多いようです。
上記のように、明らかに周辺隣地の利用状況がわかる場合は良いのですが、最近はモンスター隣人のように住んでみないとわからないケースも多いです。このような状況を対象となる不動産の価格に反映させるのは難しいのですが、近隣相場より著しく安い価格であったり、長期にわたって売れ残っている場合などは注意が必要です。
私の事務所の近くでも、隣地の方からの長年にわたる嫌がらせのため自宅を売却し引っ越された方がいました。その後、その不動産は更地をなり買い手が家を建てられていますが、隣地の状況を知っていたか否かは不明です。
愛知県・名古屋市の不動産鑑定評価なら「松岡不動産鑑定士事務所」
大規模工場地の鑑定評価
自動車などを製造する大規模工場地の鑑定評価は難しい評価の一つになり、土地建物の価格に付属する機械・器具等の価格を加算し積算価格を試算します。このように工場財団は鑑定評価は特殊な評価にあたり、膨大な資料を分析検討する必要があることから、主に大手の鑑定事務所が行うことが多いです。
先日、岐阜県坂祝町の旧パジェロ製造の岐阜工場が大王製紙に売却されるとの記事を見ました。売却額は40億円前後、土地建物の価格だそうです。
今回のような買い手が製造業の場合、既存の工場などの設備を使用できるため建物にも価値が付きますが、工場以外の他の用途に転換する場合には取り壊し・撤去費を土地価格から控除するのが一般的です。
旧パジェロ製造の工場は、立地的に他の用途への転換が難しく、地域の雇用維持や建物等の経済的利益保護の点からも、大王製紙への売却でよかったのでは、と思います。
愛知県・名古屋市の不動産鑑定評価なら「松岡不動産鑑定士事務所」
特殊な設備のある建物の鑑定評価額
建物の鑑定評価を行っていると、時々、特殊な設備のついた建物に遭遇することがあります。私が経験したのは、防音設備のあるスタジオのある建物、同じく防音設備のあるピアノルームのある建物、地下にトレーニングルームのある建物、リビングに滑り台、庭にツリーハウスのある建物等、全て所有者の趣味で造られたものでした。
このような建物の場合、設備に多額の設置費をかけていても増加要因にはならず、汎用性が著しく劣る場合などは減価要因になります。所有者の趣味で内装などが豪華であっても、それが一般の人には奇抜ととられるような場合、市場性が劣ることから減価要因になるのと同じ理屈です。
先日、屋上に天体観測用のドームがある不動産についても記事を見ました。天体観測用のドームがある建物、名古屋でも時々見かけます。
このような建物を鑑定評価する場合、ドームを物置などに使用できる可能性はありますが、やはり一般の買い手は敬遠すると考えられ、市場性減価を考慮し、鑑定評価額は低めになると考えられます。
愛知県・名古屋市の不動産鑑定評価なら「松岡不動産鑑定士事務所」
墓地の隣のマンション価格
墓地に近接する不動産は敬遠されるためか市場性が劣り、不動産の価格や賃料は安くなるのが一般的です。理由としては、墓地が人の死に関係する施設であることはもちろん、お線香の臭いやお供え物を物色するカラスによる被害、お彼岸などの渋滞をあげる方もいました。
私は昔、アパートを探したことがありましたが、候補物件の一つが覚王山墓地の近くで、駅からも近かったのですが、夜は真っ暗でした。家賃は相場より安く感じましたが、建物も古く入居は断念しました。
墓地の近くの物件のメリットとしては、価格や賃料の安さに加えて、静かであることをあげる人もいました。先程の覚王山墓地の近くのアパートも、とても静かな環境でした。
墓地の隣のマンション価格ですが、そのネット記事の中に、あるマンションが相場より1割安かった、と書かれていました。墓地の隣の不動産の鑑定評価を行う場合、市場性減価は考慮することになりますが、1割減という数字はある程度納得できると感じました。
愛知県・名古屋市の不動産鑑定評価なら「松岡不動産鑑定士事務所」
傾斜地の鑑定評価
傾斜地の鑑定評価は評価する不動産鑑定士の力が試される難しい評価になります。傾斜地は傾斜の角度によっては現状での土地利用が難しく、減価を考慮することになります。土地価格比準表、財産評価基準、固定資産税評価基準などの計算式による減価率の査定、盛土や切土、擁壁の設置で対応できる場合はその費用を積算、開発業者による見積額などを土地価格から控除して傾斜地の鑑定評価額を決定します。また、農地や山林などの場合は、傾斜の向きも考慮し減価率を査定します。
傾斜地で既に擁壁が設置されている場合は、擁壁の状態(コンクリート擁壁か石積み擁壁か、クラックや反りの有無、水抜き穴の有無など)を考慮し、鑑定評価額を決定します。擁壁の再利用が困難と判断された場合は、旧擁壁の撤去費用及び新擁壁の設置費用を考慮することになります。
先日、敷地の半分が急傾斜地に建てられた家の記事を見ました。1階部分を玄関、水回り、ビルトインガレージにした4階建ての建物でした。名古屋市でも東部の宅造区域を中心にこのような建物は多く見られますが、建物の建築費は割高になる傾向があります。
愛知県・名古屋市の不動産鑑定評価なら「松岡不動産鑑定士事務所」
レトロマンションの鑑定評価
マンション価格の高騰が激しい昨今、新築マンションの価格と同様中古マンションの価格も値上げり傾向が続いています。特に、駅至近や居住環境の良い地域、家族向けであれば学校区の良い地域のマンションは、購入価格を上回る高値で取引されるケースもあるようです。
先日、レトロマンションの価格がバブル超え、との記事を見ました。レトロマンションとは昭和の時代に建てられた築年を経たマンションで、特に、外観に拘った建物をいうそうです。確かに昭和期のマンションは、外壁の一部に壁画が貼ってあったり、ベランダやペントハウスの形状に拘りがあったり、遊び心の多い建物が多かった印象です。
そのレトロマンションの鑑定評価、特に旧耐震基準で建てられたものは築年を経ており、耐用年数に基づく方法で十分な減価がなされており、旧耐震基準であることを考慮することは少ないかと思います。観察減価に関しては、実際の老朽化、破損、陳腐化等を調査し、さらに過去の修繕履歴などを分析調査し減価額を査定しますが、外観からは判断できないコンクリートや給排水設備の劣化が推定され、修繕維持の程度にもよりますが強めの減価になることが多いです。
このようなレトロマンション、リノベーションして販売されているケースが殆どだと思いますが、前記のリスクを踏まえて慎重に購入の判断する必要があると思います。
愛知県・名古屋市の不動産鑑定評価なら「松岡不動産鑑定士事務所」
ホテルやレジャー施設の鑑定評価額
ネットで西武ホールでイングスが所有するプリンスホテルやレジャー施設など約30施設を売却検討との記事を見ました。売却額は1500億円程度とのこと、先日発表されたセブン&アイホールディングスのそごう西武百貨店の売却予想額も1500億円程度、どちらも高額な取引になることはまちがいありません。
ホテルの鑑定評価は、土地建物の再調達原価に着目した原価法(積算価格)と収益性及び投資採算性に着目した収益還元法(収益価格)を適用して鑑定評価額を決定しますが、デパートと違いホテルは実際の純収益(総収益-総費用)を把握することが可能であり、利回りについてもホテルリートの利回りなどを比較検討し、適正な利回りの把握が可能と考えれれるので精度の高い鑑定評価が可能であると思います。
一方、レジャー施設の鑑定評価ですが、映画館などは鑑定評価の方針も立てやすいですが、遊園地は十分な収益性の確保が難しく、また、施設の老朽化や陳腐化に伴う費用、修繕維持にかかる費用が多く、積算価格重視の鑑定評価額になると思います。
遊園地の鑑定評価ですが、現在、収益性がなく将来にわたって改善が見込めないと判断された場合、老朽建物及びその敷地と同様、施設や建物などの取り壊し最有効による鑑定評価額になるものと考えられます。
愛知県・名古屋市の不動産鑑定評価なら「松岡不動産鑑定士事務所」
隣地利用の状態の鑑定評価額への影響
周辺利用の状態は対象不動産の鑑定評価額への影響が大きく、忌み施設などの存在は減価要因となります。また、反社会勢力の事務所などの存在も市場性が下がるため、鑑定評価評価額は下がることになります。
忌み物件など、外観から明らかに利用状態がわかる場合はいいですが、最近、隣地の住民や利用状態など、聴き取り調査などからでないとわからない事情が問題となるケースが増えています。最近はリモートワークなどで自宅で過ごす時間が多く、隣地の利用状態は気になるものです。
騒音や悪臭などはもちろんですがが、お隣の土地建物があまり好ましくない利用がされている場合など、その存在を鑑定評価において何等かの反映をさせる必要があると思います。
私はこのような状況に遭遇したことはありませんが、聴き取り調査にも限界があり、難しい鑑定評価になると思います。
愛知県・名古屋市の不動産鑑定評価なら「松岡不動産鑑定士事務所」
ゴミ屋敷の鑑定評価
時々見かけるゴミ屋敷、庭にゴミや不要物がいっぱい置かれており、中にはゴミが道路にはみ出ているケースも見られます。このようなゴミ屋敷は近隣でも有名になっているケースが多く、鑑定評価を行う上で考慮する必要があります。
鑑定評価の手順としては、まず、土地・建物の価格を出した後、ゴミの撤去・処分費を控除し、そこから必要に応じて建物内外の清掃費などを控除することになりますが、心理的嫌悪感(スティグマ)をどう見るかが問題となります。
先日、ネットで学習塾を開く目的で購入した物件が元ゴミ屋敷だった、との記事を見ました。このような場合、減価の対象になると思われますが、ゴミ屋敷の程度や近隣の認知度などから判断することになると思います。このケースでは、ゴミはもちろん、排泄物の臭いも残っていたそうで、建物を再利用するケースでは、現状回復が可能か否か、また、回復に必要となる費用も含めて慎重に判断する必要があります。
愛知県・名古屋市の不動産鑑定評価なら「松岡不動産鑑定士事務所」
1円の空き家のお話
空き家の増加が深刻化する昨今、リモートワークの普及によりセカンドハウスや生活の拠点とすることを目的に空き家を探す人が増えているそうです。
このような目的で空き家を探す人は、完全な移住が目的ではないため都心の職場への移動が困難ではない地域を探すことになるため、首都圏では東海道新幹線での移動が可能である静岡県熱海市に注目が集まっているそうです。
その熱海市で1円の空き家を購入、とのネット記事を見ました。JR熱海駅から車で約10分に位置し、建物は築29年、これだけ見れば破格といえますが、難点もあり、高台の傾斜地で敷地内に入るにはゴンドラを利用する必要があり、駐車場はなし、建物の雨漏り、且つ、大量の残置物の処分が必要だったそうです。
メリットは高台であり景観が素晴らしく、相模湾が一望できるそうです。自然も豊かで、リモートワークの拠点としては申し分ない環境のようです。
このように一見訳ありの物件も、購入者の方の満足感は高く、空き家の購入をお考えの方はご参考になさっては如何でしょうか?
愛知県・名古屋市の不動産鑑定評価なら「松岡不動産鑑定士事務所」
« Older Entries Newer Entries »