Archive for the ‘特殊な土地の評価’ Category

郊外ショッピングモールの隣地の鑑定評価

2020-07-29

休日はショッピングモールで買い物するというスタイルが定着した日本、確かに、愛知県内でもイオンモールをはじめ沢山のショッピングモールができました。

特に区画整理事業地内など、新しい街にはショッピングモールができることが多く、周辺にもおしゃれな店舗などもでき、人気の住宅地域になることが多いです。

このショッピングモール隣のマンションに価値なし、との記事を見ました。このような住宅地域はいずれ人気が廃れて人口が減り、また、ショッピングモールが建つような商業地域は住むのに適さない、というのが理由のようです。確かに、休日は人と車の往来に悩まされることになりそうです。

不動産の鑑定評価を行う際、最有効使用に基づく価格を求めることになります。郊外ショッピングモール隣の土地の最有効使用、駅距離、前面道路、容積率・建蔽率、さらには土地の規模や形状から判断することになりますが、マンションを最有効使用とした場合、将来的なことを考えると需要は弱くなるのかもしれません。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

豊洲用地訴訟の鑑定評価額

2020-07-24

先日、東京都豊洲移転用地訴訟の東京地裁判決がでました。結果は、割高購入は認定したものの、土地の取得は不合理ではなく、住民敗訴でした。

今回、東京都の購入費(取得価格)が約578億円、裁判官は、正常価格は購入費から土壌汚染対策費を引いた額、取得価格は134億円高かったと認定しました。正常価格は約444億円、但し、取得価格との差額が3割程度なので不当な高値ではない、という判断のようです。

不動産の鑑定評価額の高値上限は3割程度まで、という指標と示した今回の判決、今後の用地買収における鑑定評価に影響を与えそうです。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

埋蔵文化財の埋まっている土地の鑑定評価

2020-07-23

土地鑑定評価を行う場合、遺跡など埋蔵文化財が埋まっているか否かの地歴調査を行いますが、不動産鑑定士の調査では実際に試掘するわけではなく、市町村の教育委員会などが持っている遺跡マップにて調べることになります。

私も、過去何度かこのような鑑定評価に遭遇したことがありますが、対象地や隣接地、周辺などで試掘・本掘の記録があるか、又は実際に土器などが発見されたかなどを調査しすることになります。

少し前ですが、長崎県の県庁跡地の発掘調査で石垣群が姿を現したそうです。県庁跡地ですので、おそらく事業主体は長崎県だったと思いますが、もし、民間の事業者だった場合、本掘費用は事業者負担になるので大変な負担になります。私が学生だった頃、読売新聞中部本社の社屋で織田家の遺跡が発見され、社屋の建て直しにお金と時間が掛かったと聞いたことがあります。

埋蔵文化財、遺跡として残すことも大切ですが、事業者の負担も軽くする制度を検討すべきだと思いました。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

お寺の鑑定評価額

2020-07-14

先日、ネットでお寺を買う富裕層が増えている、との記事を見ました。お寺は全国に約7万4千件程、その内住職のいない空き寺は1万~2万件だそうです。かなりの数ですが、人口減及び檀家の高齢化などでお寺の経営も楽ではないようです。

そのお寺を買うにあたっての価格ですが、お寺を鑑定評価する場合、宗教施設として継続使用するのか、他の用途(簡易宿泊所や合宿所など)に利用するかで価格の種類が違ってきます。前者の場合は特殊価格(一般的に「市場性を有しない」不動産経済価値を表す価格)、後者の場合には通常の市場価値を有する価格、正常価格を求めることになります。今回のようなビジネス目的の売買の場合は、正常価格として鑑定評価額を決定することになると思います。

お寺の鑑定評価は私も遭遇したことはありませんが、以前、境内地(お寺の境内の土地の一部)を鑑定評価したことはあります。そこはとても大きなお寺の一部で、本堂などの修繕を行う大工さんなどの宿舎として使われていた土地でした。また、知り合いの不動産鑑定士さんは、実際のお城を鑑定評価したそうです。

お寺を利用したビジネスモデル、まだ普及していませんが今後増えていくかもしれません。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

山の鑑定評価額

2020-07-12

山の鑑定評価を行う際は、取引事例比較法(比準価格)と収益還元法(林地希望価方式・収益価格)を求めて鑑定評価額を決定することになります。但し、収益価格は収益性から価格を求める手法であり、1.その土地(山)の立木の種類(檜、赤松等)、2.傾斜度や伐採した際に運搬できる道路の有無、によっては十分な収益を確保することが難しく、収益価格はマイナスになることが多いと思われます。

先日、ある芸能人の方が、群馬県にキャンプ専用の山を購入したとの記事をみました。場所は都心から3時間以内、広さは455坪(約1500㎡)、プライベートのキャンプ場としては手ごろな広さだと思います。気になる価格は104万6000円、本当にキャンプの好きな方なら手の届く範囲だと思います。ちなみにこの土地は水道、電気、ガスはなく、固定資産税も380円とのことです。

但し、山は手を入れないと荒れていくので、固定資産税以外の費用も少しはかかるかな、とは思いますが、キャンプが大好きとのこと、有意義な買い物だったのではないでしょうか。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

境界のわからない土地の鑑定評価

2020-07-06

土地の鑑定評価を行う場合、まず、依頼者から頂いた書類などをもとに対象不動産の確定を行います。そのために、実際に現地に行って境界杭などの調査を行いますが、市街地の場合、擁壁などの下に埋まっていることが多く境界杭を確認できることは多くはないです。

以前、かなり広い中学校の敷地を鑑定評価した際、校庭など学校敷地以外の道路なども含まれていることが分かり、その際は境界について条件をつけて鑑定評価を行いました。また、係争中であったため、公図に地番ごとの境界線がひかれておらず、他の方法で対象不動産を確定したこともありました。

先日、有名芸能人の自宅が越境しており、越境部分にある擁壁を取り壊すことになったとの記事を見ました。1筆だった土地を分筆し、その芸能人と隣地所有者が購入、越境し擁壁設置、建物建築に至ったようです。

土地を分筆する場合、土地家屋調査士の方が測量後、関係者の立ち合いものと境界杭を設置し、建物を設計する建築士もその際作成された地積測量図をもとに図面を引くのが普通なので、通常、今回のような越境はあり得ないのですが。

今回のケース、弁護士同士の話し合いになっているようですが、責任の所在はどこのあるのでしょうか?興味深いところです。

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保育園は鑑定評価で嫌悪施設になるか?

2020-06-24

先日、お世話になっている方から保育園のことで相談を受けました。内容は、仕事場付住居の近くに保育園の設置が予定されており、その反対運動についてでした。反対者の話では、保育園の設置で地価が10%下がったとの統計がある、との主旨でした。

ちなみに、私は地価が10%下がることは大変なことで、余程の嫌悪施設(火葬場など)が設置された場合だと考えています。おそらく、この反対者の方は、財産評価基準の「著しく利用価値を減じた土地」について10%減額を認める、の文言を引用したのでは、と思います。

以前、小学校の隣の土地建物鑑定評価したことがありますが、減価はなしと判断しました。子供の声は日中の限られた時間内であり、近隣に悪影響を及ぼすとは考えにくいことが理由です。ちなみに、地価公示などでは、小学校が近いと増加要因なります。

先日、東京都練馬区の保育園の近隣住民が騒音差し止めと損害賠償の請求訴訟で、東京地裁は「騒音は我慢の範囲内」と請求を棄却した記事が出ていました。園側の騒音レベルを抑制する努力も評価したようです。

保育園は、園児の声以外にも、父兄の送り迎えの車の迷惑駐車などの問題はあると思いますが、これは保育園以外でもありえる事象であり、減価は難しいと思います。

但し、鑑定評価は地域性などを個別に判断することになるので、保育園の規模や時間なども考慮して価格は決定することになります。

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馬毛島の売買価格は約160億円

2019-11-30

難航された馬毛島の売買契約が締結されたそうです。売買価格は約160億円、当初の鑑定価評価額が45億円でした。

売主との価格交渉が難航し、売主の希望価格であった数百億円での売買ではなく、160億円で落ち着いたようです。

売主が譲歩した経緯は不明ですが、今後、訓練基地として馬毛島が活用されることになりました。防衛の拠点としての活用も検討され、馬毛島の重要度が増していくと思われます。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

反社会的勢力事務所の向かい土地の鑑定評価

2019-11-28

先日、神戸市の反社会的勢力の事務所の向かい土地が競売に出るとの記事が出ていました。広さは約400㎡(約120坪)、相場は坪200万円~300万円。通常なら2億円以上の価値のある土地になります。

このような土地の場合、環境要因で減価が発生することになります。鑑定評価を行う場合、非常に難しい評価になると思います。おそらく、かなり低い鑑定評価額(売り出し価格・最低落札価格)になると思います。

以前、ラブホテルの隣地の鑑定評価をしたことがありますが、その土地はすぐに売れました。しかし今回は反社会的勢力の事務所、しかも抗争中となると事情が違ってきます。

今回のケース、最落価格も興味深いですが、落札者がいるかどうかとても興味深いです。

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火葬場予定地の鑑定評価額

2019-11-26

火葬場は忌み施設と考えられ、通常は市街地から離れた土地に造られるこが多いのですが、ごみ処理場と同様、新規に建設される際は反対運動が起こることが多いです。

京都府亀岡市でも、現在の火葬場が老朽化し能力が不足する可能性が出てきたため移設し新設を計画したところ反対運動が起きました。1審、2審とも市が勝訴したものの、公社の購入価格8億5千万円が裁判所の鑑定評価額より約3億円高かったことが問題を長期化させたとのことでした。8億5千万円、利便性もある程度考慮された広大な敷地なののでしょうか?火葬場予定地にしては高いという印象です。また、裁判所の鑑定評価額との差3億円も大きいと思います。

このような公的な土地買収の際、得てして不明瞭な価格決定がなされることがあります。移転は決まったこととして、市は買収額の根拠を市民に説明する義務があると思います。

愛知県・名古屋市の不動産鑑定士「松岡不動産鑑定士事務所」

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