Archive for the ‘特殊な不動産’ Category
不整形地の鑑定評価
不整形地の鑑定評価は難しい評価の一つで、形状が同じであっても土地の規模が違う場合、減価額も違ってくることが多いです。
規模の小さい過小地の場合、元々、有効利用率が低い上に不整形により土地の利用が制限若しくは通常の使用が困難となると、減価は限りなく大きくなります。
一方、ある程度の規模のある面大地のような土地であれば、不整形であっても建物や駐車場敷地として利用することが可能となり、過小地の場合より減価率は小さくなります。
また、形状が悪くても乗入れ可能な間口を確保できる土地であるか否かも重要になります。
先日、ネットで変形地に物流倉庫を建てた記事が載っていましたが、需要増により物流倉庫適地は少なくなっており、苦肉の策だったようです。
都心の住宅地でも不整形の過小地に戸建住宅を建てるケースも増えており、今後、不整形地の有効利用を提案するコンサルタントが増えていくかもしれません。
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人骨が発見された土地価格
地下埋設物のある土地を鑑定評価する場合、その土地の価格から埋設物の撤去に係る費用を控除することになります。また、忌み物が埋まっていた場合などは、心理的瑕疵(スティグマ)も考慮して鑑定評価を行うことになります。
先日、購入した住宅地の地中から人骨が出てきた、との記事を見ました。この人骨は100年以上前に埋葬されたもので、事件性は無いとのことでした。
埋まっていたのは深さ2.5mの地中、本格的な地盤調査を行う前だったそうです。
購入者はこの土地は心理的瑕疵物件にあたり土地価格から3%の減額を求めているそうです。
実際に鑑定評価を行う場合、何等かの減価は考慮すべきと思いますが、人骨が存在する経緯などから判断し、この程度の減価になるのかとは思います。
この事件、現在係争中とのことですが、裁判所の判断に注視したいと思います。
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他人所有が絡む不動産の問題
他人が絡む不動産として代表的なものは、共有になると思います。共有不動産の問題は、管理や売却など単独で行うことができず、また、個人居住用建物の場合、単独で使用することができないという重大な生じる恐れがあります。
先日、ある弁護士の方は書かれた「不動産のもらい事故」のようなケースの記事をみました。このもらい事故の内容は、
1.所有している土地の中に、他人名義の土地が混入している
2.不動産に既に廃業した法人の抵当権が付いている
3.所有地に接する通路の掘削をしたいが、この通路の所有者が見つからない。
1に近いケースとして、国土調査で建物敷地が他人土地であることが判明し、買取の鑑定評価を行ったことがあります。広大な敷地の一部に他人の土地が入っており、経緯も不明とのことでした。
2は借金の完済は完了しており、抵当権の抹消請求をしていなかったケースだそうです。
3はこの通路の重要性も絡むと考えます。この通路を建築基準法の接面道路として建物を建築する場合、通常、地上権、賃借権等の通路使用権が必要であり、通路の所有者が見つからないといった問題は少ないのかな、と思います。但し、この土地に二方路等複数通路があり、所有者の確認を怠った通路がある場合などにおいて、後日、このような問題が生じる可能性があります。
不動産と法律に関する問題は様々で、複雑な案件が多いのですが、不動産鑑定士の力を試される場であり、私は積極的に弁護士の方からの案件を受けるようにしています。
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旗竿地の間口の歴史
旗竿地とは読んで字のごとく、「旗竿の形をした土地」であり、袋地や敷延、延敷(延長敷地の略のようです)と呼ばれることもあります。
旗竿地の多くは、路地状部分が駐車場、その奥が建物敷地となるのが一般的ですが、建物建築には建築基準法上の道路に2m以上接面する必要があります。
不動産鑑定評価をしていると、古いミニ開発地などでは、間口が1.8mの旗竿地を見かけることがありますが、日本が以前、メートル法ではなく尺貫法であったころの名残です。現行法では再建築が出来ませんが、最近は自治体によっては条件付きで再建築を認めるところも出てきたと聞いたことがあります。
少し前に区画割された旗竿地の場合、2.5m程度の間口の土地が多いですが、駐車場の多くが幅2.5mであるように、路地状部分を駐車場として利用することを意識して決めたと考えられます。
最近は、3.0mを超える間口の旗竿地が多くなった印象ですが、車が大型化し、駐車スペース+通路を確保するために広くなったのだと思います。
先日、間口2.7m、縦17mの土地に3階建ての家を建てた方の記事を見ましたが、間口はほぼ駐車場の幅、キャンピングカーを3階建てにした感じなのでしょうか?
キャンピングカーはスペースに制約がある分、機能的に造られており、間口2.7mの家もきっと機能的な住みやすい家なのだと思います。
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地域のシンボルと景観のお話
都市部であれ地方であり、その地域地域には大なり小なりシンボルがあり、その地域の住む人々は誇りとしているものです。
例えば、静岡県や山梨県の方にとって、富士山は地域のシンボルであり、その地域に行くと度々富士山をデザインしたマークを目にすることになります。
かなり前、携帯電話の基地局設置のお仕事をしていた時、富士川町で建設しないよう要請を受けたことがあります。その地域は街から少し上ったところにあり、富士山を正面に街を見渡すことのできるところでした。基地局鉄塔の存在により、景観が損なわれることを心配しておられました。
先日、京都市で夏に行われる送り火の景観が変わることを理由に、住宅建設を反対、との記事を見ました。開発許可は既に出ており、業者としては予想外の反対だったようです。
歴史のある送り火の景観を守ることと、開発業者の権利を尊重すること、この2者を両立させるのは難しい問題です。
私個人の意見としては、景観への配慮は必要ですが、開発許可基準に適合した合法の開発であれば、建物の建築を認めるべきだと思います。
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悪臭と不動産鑑定評価
悪臭というと、工場からの排煙や養豚場や肥料工場、下水処理場からの臭いなどがあげられますが、それらの施設自体が嫌悪施設になることが多く、臭いのみを原因に鑑定評価額が減価されることはありません。
但し、その中でも著しい悪臭の場合、それを減価要因として不動産の鑑定評価を行うことも考えられます。
先日、お引越し先に焼肉屋さんの匂いが流れてきて、確認しなかったことを後悔されている方の記事を見ました。食べ物の匂いは中々大変で、この方の気持ちはわかる気がします。
以前、マンションを買われた方から、下階の仕出し屋さんの匂いが気になる、と聞いたことがあります。換気扇を回すと入ってきて、その点は後悔したと言っておられました。
臭いは、日照や騒音のように、測定して影響を判定することが難しく、減価が発生する場合でも数値化が困難ですが、今後、臭い測定の技術が進歩した場合、不動産鑑定評価においても臭い減価の方法が確定されるかもしれません。
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宗教法人が大規模地購入
先日、宗教施設のある地域の不動産鑑定評価について書きましたが、今日、ネットで韓国の宗教法人が東京都多摩市に土地購入、との記事を見ました。
広さは約6300㎡、かってはお菓子を製造する会社の土地だったそうです。価格は不明ですが、周辺公示地価は14万円/㎡~15万円/㎡とのこと、そこから試算すると総額は約9億円になります。
この規模の土地であれば、宗教団体の本部か研修センターを建設を予定しているのでしょうか。
日本には天理教の本部のある天理市やPL教団のある富田林市などの宗教都市はありますが、よい意味で知名度の向上に寄与していると思います。
今回のケースがどのように進展していくか、注視したいと思います。
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工業地の地価が上昇
製造業の海外移転が進み、日本の製造業が衰退するにつれ、工業地の地価も長らく横ばいから下落傾向が続いていました。
工業地、特に大規模地の多くは沿岸や内陸など市街地から離れたところに立地することが多く、土壌も汚染されていることが多いため、取引も限定される傾向にありました。
昨今、インナーネット売買の普及により物量倉庫の需要が増え、結果、高速道路などのアクセスに優れた大規模地が高値で取引されるケースが増えてきました。このような大規模工業地の需要増が工業地の地価を押し上げる要因となりました。
現在も物流倉庫への投資人気は続いていると思いますが、先日読んだネット記事には、物流施設の供給は需要の倍近くあり、明らかに供給過剰、と書かれていました。
オフィスも供給過剰により、賃料下落、空室率が上昇局面に入ったとのニュースもあり、今まで活況であった物流施設の需要も達観的な予測ばかりではないと思われます。
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宗教施設のある地域の鑑定評価
宗教施設には色々あって、お寺や神社などのように昔から存在し、その地域に馴染んでいるものもあれば、新興宗教の施設のように、最近になって建てられたものもあります。
また、カトリック教会や天理教などの教会は、その地域のランドマーク的な存在になっており、その地域で不動産の鑑定評価をする場合、特に意識することはありません。
問題なのは社会的に問題を起こす一部の新興宗教の施設で、今でも大音響を出したり事件を起こす団体も存在しています。
では、このような施設のある地域の不動産の鑑定評価を行う場合、これらの施設の存在をどのように扱うかは難しいところです。
これらの施設が明らかに特異な建築物である場合などは市場性などで考慮することも可能かと思われますが、ビルの一室などが宗教施設の場合は、鑑定評価額の決定に迷うことになると思います。
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反社勢力の事務所の価格
法律の規制が厳しくなったからか、反社会的勢力に関連する施設の閉鎖が増える中、大阪市にある反社会的勢力の事務所が売買された、との記事を見ました。
気になる売買価格は土地建物で3億3000万円とのこと、建物は解体予定とのことですが、土地と建物の価格配分は不明です。
このような解体予定済みの建物がある場合の土地建物を鑑定評価する場合、老朽化などが進み建物の価値がないと判断される場合は建物をゼロ、又は解体費等を控除して鑑定評価額を決める場合もあります。
今回のケースでは、建物の残存耐用年数は残っていたと思われますが、特殊な不動産であり、建物の価値をどのように判定するか難しかったのでは、と思います。
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