Archive for the ‘鑑定評価の話’ Category
デューラー絵画の鑑定評価額
不動産の価格同様、鑑定評価が難しい美術品ですが、先日、約3000円で購入した絵画の評価額が11億円超、との記事を見ました。
この作品はデューラーというドイツの画家がかいた素描画で、1503年にかかれたと見られます。500年以上前にかかれた作品、個人宅の庭先での販売会で購入されたものだそうです。
絵画の鑑定評価、贋作であるかの判断はもちろんですが、評価額はどのように決められるのでしょうか?著名の画家であれば、おそらく、過去のオークションの落札価格などから判断されるのかと思います。
金余りの昨今、芸術品の価格も高騰を続けており、この作品がオークションに出された場合の落札価格、興味深いですね。
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不動産公売の鑑定評価
裁判所が行う競売不動産は、不動産鑑定士が行う鑑定評価によって開始価格が決められることは知られていますが、国税庁や自治体が行う公売不動産の価格も、不動産鑑定士が鑑定評価を行って決めることになります。
但し、競売・公売とも入札方式のため、鑑定評価額ではなく最も高い価格を付けた人が落札することになります。
先日、自治体が差し押さえた不動産を国税局が公売にかける取り組みが広がっている、との記事を見ました。自治体によっては公売のノウハウがなく、国税局と連携することで差し押さ不動産の換価を進めることが狙いのようです。
地価の二極化が進む昨今、地方の不動産の値下がり傾向続くと考えられ、差し押さえた不動産の価値が下がるのを抑えるためにも早急な売却を進めるこの制度は今後普及するものと思われます。
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レトロマンションの鑑定評価
マンション価格の高騰が激しい昨今、新築マンションの価格と同様中古マンションの価格も値上げり傾向が続いています。特に、駅至近や居住環境の良い地域、家族向けであれば学校区の良い地域のマンションは、購入価格を上回る高値で取引されるケースもあるようです。
先日、レトロマンションの価格がバブル超え、との記事を見ました。レトロマンションとは昭和の時代に建てられた築年を経たマンションで、特に、外観に拘った建物をいうそうです。確かに昭和期のマンションは、外壁の一部に壁画が貼ってあったり、ベランダやペントハウスの形状に拘りがあったり、遊び心の多い建物が多かった印象です。
そのレトロマンションの鑑定評価、特に旧耐震基準で建てられたものは築年を経ており、耐用年数に基づく方法で十分な減価がなされており、旧耐震基準であることを考慮することは少ないかと思います。観察減価に関しては、実際の老朽化、破損、陳腐化等を調査し、さらに過去の修繕履歴などを分析調査し減価額を査定しますが、外観からは判断できないコンクリートや給排水設備の劣化が推定され、修繕維持の程度にもよりますが強めの減価になることが多いです。
このようなレトロマンション、リノベーションして販売されているケースが殆どだと思いますが、前記のリスクを踏まえて慎重に購入の判断する必要があると思います。
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戸建住宅の新規賃料の鑑定評価
戸建住宅は主に自己の居住を目的とする不動産であり、本来、賃貸想定には馴染まないのですが、所有者の事情等により賃貸に供される場合があります。また、最近の不動産投資ブームにより、当初より戸建賃貸を想定して土地を購入、建物を建築し個人に賃貸するケースも見られるようになりました。
戸建住宅の賃料の鑑定評価ですが、費用性に着目した積算賃料、比較可能性を重視した比準賃料を求め鑑定評価額を決定することになります。
このような戸建住宅の賃料の傾向ですが、相当築古の案件を除き、一般的な延面積や間取りの不動産であれば、10万円/月が目安になるようです。
私がハウスメーカーの方から聞いた話では、家賃が月10万円を超えると賃貸ではなく購入を考える方が多く、法人契約や一部の高額所得者を除き、一般的な戸建住宅であればこの水準に落ち着くとのこです。
但し、最近では10万円/月を大きく超える成約賃料の物件も多く見られるようになり、リモートワークの普及等による戸建住宅の人気の高まりの影響が、賃貸市場にも及んでいるようにと感じます。
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山の鑑定評価額
最近のキャンプブームの影響か、「山を買う」に関連する記事が増えています。巷のキャンプでは飽き足らないベテランキャンパー、プライベートキャンプ場をもつことは夢なのかもしれません。
昔は山持というと、お金持ちの象徴というイメージがありましたが、国内林業の衰退で長らく山の買い手がつかない時代が続いていました。処分したい山をお持ちの方にとって、昨今の山ブームは朗報だと思います。
現状の山での使用を前提とする純山林の鑑定評価ですが、周辺の類似性を有する山の取引事例から比準する取引事例比較法(比準価格)で鑑定評価額が決まることが多いです。林地希望価方式と呼ばれる収益還元法(収益価格)は、立木の価格から伐採費や運搬費などを控除した純収益を還元して価格を求めますが、収益性を確保できるほどの十分な純収益を得ることが難しく、ほとんどの場合収益価格はマイナスになると思われます。
ある記事に「山は値段があってないようなもの」と書かれていましたが、山のような特殊な不動産は取引価格に個別性があり、俗にいう相場がないのが特徴です(必要なければタダでもいらない、という人が多いと思います。)なので山の鑑定評価は、難しい評価になることが多いです。
また、山は道路付きや傾斜、伐採の可否や受電、給排水の可否などの個別性があり、境界や面積も曖昧なことが多いです。山の購入の際には、これらのことに十分注意することが重要です。
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新築戸建住宅の鑑定評価
新築戸建住宅の鑑定評価は、土地の価格に建物の価格を加算して求めることになりますが、このような戸建住宅の販売価格は土地と建物の総額で表示されることが多く、その配分が問題になることがあります。
最近増えてきたパワービルダー系の戸建住宅の場合、建物価格が1000万円を下回るものの多く、また、建物にかかる消費税を極力少なくするためか、可能か限り建物価格を安くする傾向があります。
土地と建物のほかに、開発者利益の扱いが問題になることがありますが、鑑定評価の場合は開発者利益を含んだ価格が鑑定評価額になります。
先日、東京で2億円超の建売戸建住宅5戸が即日完売したとの記事を見ました。そのうちの2億7000万円の戸建住宅は12月のHP開設時に約4000人がエントリーし、5組の申し込み、抽選で購入者が決まったそうです。名古屋で2億円の不動産というと主に投資物件が該当しますが、やはり東京は富裕層の数もその資産の額も違いますね。
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解体費の鑑定評価額
建物の鑑定評価において老朽化及び陳腐化等の程度が激しく、修繕などを行っても継続使用が困難で、建物を取り壊すことが最有効使用と判断された場合、解体費を積算し鑑定評価を行うことになります。
解体費の内訳は、主に、仮設費、解体費、運搬及び処分費に分けられ、ここ近年値上がりしており、特に処分費が高騰しています。RC造や鉄骨造の場合、鉄骨部分はリサイクル可能であることから売却予想額を解体費から控除することもありますが、コンクリート片や木くずは処分されることになります。
先日、ネットで旧岐阜県庁舎の再利用に関する記事を見ましたが、解体した場合、約1億7600万円かかるとのことでした。但し、建物保存を前提に免震工事などを行った場合の工事費は約32億~52億円とのこと、この建物を鑑定評価するとした場合、最有効使用は取り壊しということになります。
この旧庁舎は歴史的建造物であり、保存を求める声も多いのですが、費用対効果を考える取り壊される可能性が高いと思われます。
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ホテルやレジャー施設の鑑定評価額
ネットで西武ホールでイングスが所有するプリンスホテルやレジャー施設など約30施設を売却検討との記事を見ました。売却額は1500億円程度とのこと、先日発表されたセブン&アイホールディングスのそごう西武百貨店の売却予想額も1500億円程度、どちらも高額な取引になることはまちがいありません。
ホテルの鑑定評価は、土地建物の再調達原価に着目した原価法(積算価格)と収益性及び投資採算性に着目した収益還元法(収益価格)を適用して鑑定評価額を決定しますが、デパートと違いホテルは実際の純収益(総収益-総費用)を把握することが可能であり、利回りについてもホテルリートの利回りなどを比較検討し、適正な利回りの把握が可能と考えれれるので精度の高い鑑定評価が可能であると思います。
一方、レジャー施設の鑑定評価ですが、映画館などは鑑定評価の方針も立てやすいですが、遊園地は十分な収益性の確保が難しく、また、施設の老朽化や陳腐化に伴う費用、修繕維持にかかる費用が多く、積算価格重視の鑑定評価額になると思います。
遊園地の鑑定評価ですが、現在、収益性がなく将来にわたって改善が見込めないと判断された場合、老朽建物及びその敷地と同様、施設や建物などの取り壊し最有効による鑑定評価額になるものと考えられます。
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区分マンションの位置による鑑定評価額への影響
区分マンションの鑑定評価を行う場合、高層階ほど日照や眺望が優れるため鑑定評価額は高くなるのが一般的ですが、階層と同じく、位置も鑑定評価額に影響を与えます。角部屋は窓などの開放部を多く設置できるため、日照や通風に優れ、鑑定評価における増加要因となります。方位も重要で、タワーマンションなどの超高層階を除き、南東角の部屋の価格が高くなるのが一般的です。
先日、ネットで角部屋のデメリット、弱点について書かれた記事を見ました。窓が多くなると家具の配置が難しくなったり、隣家からの騒音や風雨の際の音や雨水の問題があると書かれていました。確かに窓が多いのはいいのですが、窓の位置によっては家具の配置は難しくなりますね。
あと、角部屋は夏暑く、冬寒いとのことですが、隣の家がなく窓が多い家は冷暖房費が多くかかる印象です。マンションの最上階は夏暑いと聞いたことがありますが、同じ理由だと思います。
区分マンションの鑑定評価額に影響を与える位置別効用比、今回のようなデメリットを考慮して査定することは難しいのですが、今後、角部屋と中部屋との価格差は小さくなっていく可能性はあると思います。
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暗渠を含む土地の鑑定評価
水路の存在は鑑定評価額に影響を与える要因であり、水路を介して道路に面している土地の場合、その水路の幅や専有許可の可否、水路に蓋をしてよいかの有無、占有料の有無、許可される蓋の長さなどによって土地の価格が変わります。
その水路の種類ですが、蓋のされた水路を暗渠、蓋のない水路を開渠といいます。また、道路には直接接しているものの、対象土地内に水路を含む土地の鑑定評価を行う場合もあります。その場合、その水路の位置や規模、対象土地の面積や形状などを考慮し、水路の存在が対象土地の有効利用に与える影響を判断して減価額を査定し、鑑定評価額を決定します。
先日、ネットで暗渠上に建てられた朽廃建物を自治体が取り壊すとの記事を見ました。記事によるとその土地と建物は未登記とのことですが、土地が公図に載っているのであれば未登記ではなくおそらく官地だと思います。不法占拠者による違法建築物である可能性が高いです。
建物が建築されたのは1958年頃、河川法に適用前とのことですが、公費を使っての解体とのこと、長年に渡って違法状態を放置してきた自治体の責任が問われます。
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