Archive for the ‘鑑定評価の話’ Category

百貨店そごう西武の鑑定評価額

2022-02-02

コンビニエンスストア大手のセブンイレブンやイトーヨーカドーを運営するセブン&アイ・ホールディングスが、傘下の百貨店、そごう・西武を売却する方針であるとの記事を見ました。入札を実施し、一括での売却を希望しているそうです。

今回のような傘下の百貨店を一括で資産評価する場合、百貨店や配送センターなどの不動産の鑑定評価を行い、さらに、附属する動産や営業権(のれん)の価値を試算することになると思いますが、その大部分は不動産の価値が占めると思います。

その百貨店など不動産の鑑定評価ですが、立地の良し悪し、路線沿いなど集客力があり百貨店経営が継続できるか否かが鑑定評価額に大きな影響を与えることになります。考えられるパターンとしては、①繁華性があり建物の当面の大規模修繕が不要→百貨店として継続使用を前提とした鑑定評価、②駅近など立地は良いが建物の老朽化などで継続使用が困難→取り壊し最有効による鑑定評価、③人口減が進む地方などに位置し、建物も老朽化足、十分な収益性が望めない→ゼロ円に近い鑑定評価額、になりそうです。

郊外型のショッピングモールの存在、人口減、ネット通販の普及など百貨店に厳しい時代が続く中、今回のような百貨店の一括売却の話はこれからも出てくると思われます。

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隣地利用の状態の鑑定評価額への影響

2022-01-31

周辺利用の状態は対象不動産の鑑定評価額への影響が大きく、忌み施設などの存在は減価要因となります。また、反社会勢力の事務所などの存在も市場性が下がるため、鑑定評価評価額は下がることになります。

忌み物件など、外観から明らかに利用状態がわかる場合はいいですが、最近、隣地の住民や利用状態など、聴き取り調査などからでないとわからない事情が問題となるケースが増えています。最近はリモートワークなどで自宅で過ごす時間が多く、隣地の利用状態は気になるものです。

騒音や悪臭などはもちろんですがが、お隣の土地建物があまり好ましくない利用がされている場合など、その存在を鑑定評価において何等かの反映をさせる必要があると思います。

私はこのような状況に遭遇したことはありませんが、聴き取り調査にも限界があり、難しい鑑定評価になると思います。

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高層マンションの鑑定評価

2022-01-27

マンションなどの共同住宅の場合、階層によって不動産価格が異なるのが一般的です。特にタワーマンションなどの高層建物の場合、眺望がよかったり、ステータスの点からも高層階ほど価格は高くなります。また、防犯面でも低層階よりも安全だと考えられます。

先日、ネットで1階に住むメリットが書かれた記事を見ました。騒音・振動を気になくて済みますし、荷物の搬入や搬出が楽とのことでした。また、専用庭が付いている物件もあり、家族向け物件として人気が上がっているみたいです。

区分マンションを鑑定評価する場合、一棟建物及びその敷地の価格を求め、その価格を対象不動産の階層と位置の効用比を求め、一棟建物及びその敷地の価格に乗じることで積算価格を求めます。階層は上層階、位置は南方位や窓などの開放口の数が多い物件が高くなりますが、タワーマンションなどの超高層階になると眺望を重視する傾向が強く、市街地の夜景が楽しめたりする物件の価格が高くなります。

コロナ禍でも売れているタワーマンション、金融緩和に加えて都心回帰と高いところに住みたいという人々の欲求が続く限り、売れ続けるのではと思います。

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三角形の土地の鑑定評価

2022-01-25

土地の形状は不動産の価格に与える影響が大きく、特に三角形の土地は有効利用率が低く、一般的な整形地よりも土地の価格は大きく下がることになります。形状による減価率ですが、土地の面積が一般的な建物建築が可能な規模である場合と建物建築が困難又は不可の場合とでは異なり、当然、後者の方が大きな減価となります。また、風水的にも三角形の土地は敬遠されることが多く、市場性減価を考慮する必要があると思います。

このような不整形地を鑑定評価する場合、その減価率の判定が重要となります。私は土地価格比準表などの減価率数値を検討し、有効利用率からの判定、坪田式による査定、仲介査定基準などの計算式を複数使用して鑑定評価額を求めています。

先日、ネットに三角形の土地に自宅を建てた建築家の方の記事が出ていました。建築家の方が設計した家らしく、随所に工夫が見られ素敵な家になっていました。

これからのマイホーム、今回のケースのように土地の価格を抑えて建物にお金をかけるスタイルが流行っていくかもしれません。

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地下埋設物のある土地の鑑定評価

2022-01-23

地中に埋まっている地下埋設物ですが、地下の正確な状態は掘ってみなければわかりませんし、広い土地であれば、なおさら掘削調査は困難となります。また、埋設物の種類も、解体さらた建物の基礎であったり、コンクリートガラであったり、電気や水を流す導管である場合もあります(埋蔵文化財も地下埋設物の一つになります。)

このような土地を鑑定評価する場合、聞き取り調査はもちろん、閉鎖登記簿、過去地図、過去の航空写真などで地歴調査を行いますが、詳細な調査が必要な場合は、専門業者によるエンジニアリングレポートを使用することもあります。不動産の鑑定評価においては、土地の価格からその撤去費用を積算し控除することになります。

先日、ネットにNHKが購入した土地にコンクリート片が残されており、売り主の滋賀県に約8100万円の損害賠償を求める訴えを起こしたとの記事が出ていました。8100万円の内訳は、撤去費用と工期が遅れた分の損害だそうです。更地引き渡しの条件であったたのことであり、NHKの主張は認められる可能性が高いと思われます。

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農地の鑑定評価

2021-11-15

農地の鑑定評価は、市街化調整区域内であれば農地法の縛りがあり、価格は農地としての価格となります。但し、市街化の影響が強く、農業振興地域外で農用地でなければ雑種地としての転用可能性があり、雑種地に近い価格になることがあります。

先日、畑でエビを養殖するとの記事を見ました。休耕地を有効利用することを目的に始めたそうです。以前、インドネシアで田をエビの養殖場にしたところ、結局、うまくいかず、元の農地に戻すこともできないとのことでした。但し、今回の千葉県のケースでは、巨大な水槽を利用し、排水も流さないとのことでした。環境に優しい農地の有効活用ですね。

今回のような自然に配慮した農地の有効活用、もっと普及して欲しいと思います。

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大規模商業地の鑑定評価

2021-11-07

イオンモールに代表される大規模商業地ですが、このような大規模商業地は取引が少なく、また、定期借地が多いため難しい鑑定評価になります。

先日、広島市のイケアの新店予定地の売却が決定されたとの記事を見ました。2013年6月に国有地の入札の際の落札価格は47億550万円、売却額等は不明ですが、広島市の地価上昇を考えると、相当な額の売却益が出たと思われます。

対象地は平成15年から時間貸し駐車場となっていますが、「業務・商業等の機能が複合した土地利用」を前提とした地区計画が設定されており、新たな買い手による今後の使用方法が注目されます。

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解体予定のタワーマンションの価格

2021-11-06

性能偽装された免振ゴムが使用されたことが発覚し、解体が予定されているタワーマンションの取得価格が37億4千万円との記事を見ました。このタワーマンションは2006年築、215室の全てが賃貸物件とのことです。

タワーマンション1棟の鑑定評価、難しい評価の一つだと思いますが、今回のような賃貸物件の場合は収益価格の比重が重く、今回のような解体予定の場合、価格決定のプロセスはどのようなものになるのでしょうか?

まだ耐用年数の十分残るマンションの解体、社会経済的利益保護の観点からは避けるべきとは思いますが、耐震性に問題があるのであれば解体も仕方ないのかもしれません。

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区分マンションの鑑定評価とAIの価格

2021-07-16

鑑定評価基準によれば、区分マンションの鑑定評価は、原価法(積算価格)、取引事例比較法(比準価格)及び収益還元法(収益価格)を適用することになっています。

とても作業量の多い鑑定評価の一つであり、特に原価法による積算価格は、まず、1棟土地建物の価格を求め、位置別及び階層別効用比から区分土地建物を求める必要があり、手間と判断を要することになります。

この区分マンションの鑑定評価ですが、最近、AIによる査定価格が注目されてるようになりました。ビックデータを駆使し、精度の高い価格が試算されるようです。都心部等、対象不動産と同一マンション乃至は近隣に類似性の高い複数の取引がある場合などは、精度の高い価格が求められると思います。

AIによる評価は、リート等投資物件の価格を求める際にも有用と言われており、マンション同様、都心部ではかなりの精度で価格を求められるそうです。

AIの普及、不動産の価格の世界にも浸透してきているようです。

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造成地の鑑定評価

2021-07-08

今回の長雨、各地で大きな災害をもたらしましたが、熱海市では造成地が山ごと崩落し、大災害となってしまいました。亡くなられた方のご冥福をお祈り致します。

今回の災害、現地の状況や専門家の話などから、人災の可能性が高いと言われています。開発業者は県の指導を無視し、違法な盛土を繰り返していたとの記事を見ました。非常に悪質なケースだと思います。

造成地の鑑定評価を行う場合、原価法をいう手法を適用することになります。素地(山林や湖沼、海面の場合もあります)の価格に造成に要する費用を加算して土地の価格を求める手法です。造成費の額が鑑定評価額に大きく影響することになるので、高低や傾斜のきつい山林や、水深が深く埋め立てが難しい湖沼、海面は造成費が高額となり、結果、鑑定評価額も高くなります。

今回災害が起きた土地を開発した業者は、利益を多く出すため造成等で違法な行いをしていたと考えられます。

土地の造成を行う際、盛土と切土を行いますが、傾斜地に土をもって土地を平面にする盛土は、切土に比べて地盤は弱くなります。但し、今回の災害のように、地域一面土地が流失してしまうと、切土であっても災害の危険性が高く、山を切り開いた造成地は避けた方がよいと実感しました。

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