Archive for the ‘特殊な土地の評価’ Category
狭隘道路付の土地鑑定評価
狭隘道路(きょうあいどうろ)は、幅員が道路法上の道路幅員である4m未満の道路であり、建物等を建築するには敷地部分の一部を道路用地に提供する、いわゆるセットバックすることが必要になります。
セットバックについては、自治体によって様々で、セットバック部分を買収するところもあれば、寄付のみ受け付けるところもあります。また、準防火地域などの防火規制のある地域の場合、測量費等を補助する自治体もあるそうです。
このような狭隘道路付きの土地の場合、住宅地であればまず車等の通行が困難になることから幅員による減価を行い、提供することになるセットバック面積を敷地面積割合から試算した率で減価することになります(幅員による減価を強く見たりして、セットバック減価を考慮しないケースも考えられます。)。
また、地域内の標準的な街路の幅員が狭くても、地域によってはほぼセットバックが完了していたり、空き地や未利用地が多く車の通行に支障がないケースもあり、これらも十分に考慮して鑑定評価額を決定することが大切になります。
先日、国交省が狭隘道路付きの建築規制を市町村が緩和できるようにする、との記事を見ましたが、このような地域内の建物の建て替えを進んでいくのか注視したいと思います。
愛知県・名古屋市の不動産鑑定評価なら「松岡不動産鑑定士事務所」
道路と不動産鑑定評価
道路は不動産の価格を決める重要な要因であり、住宅地であれば道路幅員が広ければ日照や通風を確保する上で有利ですが、広すぎても交通量が増え、結果、騒音や振動の問題がでることもあります。
商業地の場合は、特に高度利用が可能な地域の場合、道路幅員が広い方が土地上の建物の制約が少なくなるため有利であり、土地の価格も高くなります。
先日、神戸市に車道5m、歩道8mの道路の整備が進められている、との記事を見ました。車道を一方通行にするために、このようなアンバランスな道路となったそうです。
鑑定評価を行う対象地がこのような道路に接する土地の場合、道路格差をつける時に迷うのでは、と思います。住宅地であれば、日照等に関しては有利ですが、歩道が8mもあると、道というよりミニ広場に近いものになってしまうので、車道にでるのも楽ではないですし、快適性や利便性などで劣る可能性も出てくると思います。
そのことだけをテーマに本が出ているくらい奥が深い道路と不動産鑑定評価の関係、車道と歩道の関係も新たなテーマになりそうな予感です。
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軟弱地盤の土地の鑑定評価
土地は通常、建物等を建築することで有効利用できるものであり、そのためには地盤が固い方が望ましいです。
地盤が軟弱な土地、例えば田地や海岸、湖沼などの埋め立て地は、地震などで建物が倒壊したり傾いたりするリスクが高い上に、埋め立てを行っても下から湿気が上がってきて、建物の老朽化を早めることも多いそうです。
このような軟弱地盤の土地は、表層改良を行ったり、石やコンクリートを埋めたり、コンクリートを張ったり、地中にパイルを打ち込んだりして土壌を固めることになりますが、当然、費用が掛かることになり、鑑定評価を行う場合、改良工事にかかる費用を土地の価格から控除して鑑定評価額は決定されます。
先日、大阪にIR予定地が軟弱地盤であり、土壌も汚染されている、との記事を見ました。土壌汚染対策委は約790億円、膨大な金額となりました。
これほどまでの費用をかけて計画されるIR、それに見合う収益が上がるということだと思います。
世界的に成功例があるからでしょうか、IR誘致に自治体が誘致に鎬を削る理由がわかります。
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ため池の鑑定評価額
ため池は昔、用水の整備が十分でなかった頃、主に農業の灌がいを目的に造られたもので、現在も水源に乏しい地域では貴重な水がめとして用いられています。
このため池、最近では用水の整備も進み、又、農業用水の需要も減ったことから放置されているものもあると聞いたことがあります。また、災害の際、被害を発生させる可能性があるとのことで、管理する自治体も頭を悩ませているそうです。
先日、京都府にある農業用のため池を売却、との記事を見ました。ため池を住宅用地に転用し、その売却益集会所の建て替え費用に充てる意向だそうです。
このため池は広さ約4700㎡、売却に向けて今年度中に不動産の鑑定評価を受けるそうです。
今回のような宅地化を目的とした鑑定評価の場合、不動産の種別は宅地見込地として評価することになりますが、宅地としての需要が弱い地域であれば、池の取引事例から比準した比準価格を重視して価格が決まることになると思います。
このようなケースは今後増えていくと思われますが、地方のため池の需要者の想定は難しく、実際に売買が成立するケースは少ないと思われます。
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島の鑑定評価
尖閣諸島や馬毛島の売買で注目を集めた島の鑑定評価額、私は遭遇したことはありませんが、難しい鑑定評価になると思います。
最近のアウトドアブームで、瀬戸内海などの孤島が売買されるとの話は聞いたことはありますが、相場を形成する程の取引数ではなく、その売買金額が表に出てくることも少ないことが理由です。
また、実際の取引金額が分かったとしても、島は千差万別であり、個別性が強いことから比準が難しいこともあげられます。
先日、中国の女性が日本の島を購入した、との記事を見ました。広さは約70万㎡、サンゴ礁が見えるとのことなので沖縄付近の島なのかと思います。
気になるお値段は不明ですが、入札開始価格は1100万円とのこと、落札金額はそれ以上になったと思われます。
島、特に無人島は水道などのインフラがなく、交通手段となる船も必要となることから、需要者はインフラ整備にお金を掛けられる人に限られると思います。
将来、所有する無人島が開発されて生活が可能となった日には、自分一人だけのプライベートビーチでの休暇を楽しむことができる、夢のような話ですね。
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ゴルフ場のクラブハウスの鑑定評価
バブル期に大量に開業したゴルフ場、現在もゴルフ人口の減少によりオーナーチェンジしたり廃業するゴルフ場も発生しています。廃業したゴルフ場の中には、太陽光発電のソーラーパネルが設置されるケースもあり、残念に思うことがあります。
ゴルフ場、オーナーチェンジや廃業の際、不動産の鑑定評価を行うことが多いのですが、バブル後に大量の鑑定評価がなされており、評価方法は確立されているようです。
ゴルフ場の鑑定評価、原価法を適用する際、土地建物は分けて評価しますが、ゴルフ場はコース部分とクラブハウス等の建物に分けられます。
そのクラブハウスの価格ですが、先日、ネットで10億円から20億円との記事を見ました。クラブハウスや受付、ロビー、ロッカー、浴室などの設備を整える必要があり、標準的なゴルフ場の場合、上記の金額になるそうです。
ちなみにコースの造成・整備費は1ホール約2億円と言われており、開業には多額の投資が必要になることが分かります。
今後、ゴルフ人口の増加が見込めない中、新規ではなく既存のコースを改修して使用することが主流になっていくと思われます。
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土壌汚染された農地の鑑定評価
前回、「病院跡地の鑑定評価」記事で書きましたが、土壌汚染された土地の鑑定評価を依頼される場合があります。このような汚染された土地は、土地の価格から土壌汚染を除去し現状に回復費用と心理的嫌悪感(スティグマ)の減価を控除して鑑定評価を行うことになります。
先日、土壌汚染された農地の鑑定評価を行いました。この土地は、市街化調整区域内にあって、農振・農用地、本来であれば農地以外の使用は困難なはずですが、違法転用されて産廃の一時保管施設として使用されていました。現況は産廃物や建物は全て撤去されており、元通り農地となっています。
市街化調整区域内の農地、特に農振・農用地は農地として鑑定評価を行うことが原則であり、今回も農地として評価を行いましたが、当然、回復費用及びスティグマによる減価を考慮して鑑定評価額を決定しました。
今回のケースはプラスの鑑定評価額という結果になりましたが、土壌汚染地の原状回復費用は想像以上に多額であり、場合によっては土地の価格を上回るケースがあることも考えられます。
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病院跡地の鑑定評価
自治体の財政が厳しい中、公立病院の統廃合が進んでいます。私が住んでいる名古屋市でも、公立病院が廃止され、民間に売却されるケースが見られるようになりました。
昨日、ネットで病院跡地の地中から医療廃棄物が見つかった、との記事を見ました。買い手である町が、土地所有者と旧賃借人であった県を訴える、との内容です。町が求めた損害賠償額は1億9532万円、廃棄物の撤去処分費などとのことですが、心理的瑕疵も含まれた金額であると考えられます。
病院跡地を鑑定評価する場合、地下埋設物があれば土地価格から撤去費を控除して求めることになりますが、特に入院設備などがある大規模な病院の場合、何等かの心理的瑕疵も考慮して鑑定評価を行うことになると思います。
また、今回のような医療廃棄物の場合、土地が汚染されている可能性が高く、土壌の入れ替えに伴う費用が発生することにも注意が必要です。
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廃棄物の埋まった土地の鑑定評価
土地の下は外観から知ることができないので、鑑定評価を行う場合、通常は地歴調査(過去の住宅地図、航空写真、閉鎖登記簿、聞き取り調査)を行うことにになります。地下埋設物の有無はボーリング調査が理想ですが、これらを記載したエンジニアリングレポートを依頼者から頂けることは稀にしかありません。
今日、ネットで庭から大量に廃棄物が出た土地の売買に関する記事を見ました。売り主の不動産業者は買主に虚偽の説明をして売買したそうです。
このような土地を鑑定評価する場合、土地の価格から撤去費用を控除することはもちろんですが、廃棄物が埋まっていた土地であることから心理的瑕疵(スティグマ)による減価も考慮する必要があると思います。
廃棄物のような地下埋設物の埋まった土地は、郊外の広大な土地など見られることが多いですが、個人向けの住宅地に大量の廃棄物が埋まっているケースは珍しいと感じました。
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再建築不可物件の鑑定評価
再建築不可物件とは、建築基準法施行以前に建てられた既存の建物が現行法の建築要件を満たしておらず、既存の建物を取り壊して再建築が出来ない不動産を言い、接道要件不足やがけ地などに建つ物件が上げられます。
旗竿地や無道路地など、建築基準法上の道路に2m以上接面していない土地の鑑定評価は、道路用地を買収して接道要件を満たすことは理論上可能であるため、計算式によって減価額を求めることも可能です。また、がけ地の場合、現行の擁壁を取り壊して再構築することで建築許可が下りる場合は、それらに要する費用を土地価格から控除して鑑定評価額を求めることになります。
また、接面道路が建築基準法上の道路以外の道である場合、例えば昔からある長屋のような建物で、細い私道の奥にある土地などの場合、再建築は極めて困難となります。
このような不動産を鑑定評価する場合、建物の継続利用が可能な場合は建物の耐用年数を判定し、有期還元による収益還元法による収益価格を重視して鑑定評価額を決定することになると思われます。
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