Archive for the ‘公的価格・地価動向’ Category
2021年の固定資産税は据え置き
来年2021年は3年に一度の固定資産税の評価替えの年であり、特に地価の上昇が続いていた都市部では大幅な上昇が予想されていましたが、今回のコロナ禍により経済悪化に配慮し、2020年度と同額に据え置かれることになりそうです。
この固定資産税は、市町村民税の約4割を占めており、増収を見込んでいた自治体にとっては痛手となりそうです。特に他の財源に乏しい自治体は、緊縮財政を迫られそうです。
今回の据え置きは、商業地のみではなく住宅地を含む全ての土地に適用されるようで、住宅を持つ個人も据え置きの恩恵は受けられることになります。ボーナスカットなどで収入が減った家計には嬉しいニュースですね。
道州制と地価の関係
以前、導入が検討された道州制ですが、菅内閣になって再び議論にあがるようになりました。道州制は全国を11の同州に区分けする案が有力ですが、その中でも新潟県を含む北陸州と静岡県を含む東海州の各都市の地価が影響を受けそうです。
北陸州の特徴ですが、州都となることが予想される金沢市が反映する一方、元々北陸3県との距離がある新潟県の地価が下がることを予想する意見があります。同州制が具体的に実現される場合、面積が広く人口の多い新潟県が単独の州になることを主張するかもしれません。
東海州ですが、州都になることが予想される名古屋市、製造業の強い静岡県が反映、三重県、岐阜県は地価下落を予想する意見があります。私は静岡県は遠州地方(浜松市、磐田市と周辺)、三重県は桑名市、四日市市、岐阜県は岐阜市周辺の地価は安定、それ以外は距離的にも文化的にも距離があるため衰退による地価下落と予想します。
但し、上記の予想は全て道州制が導入された際のものであり、現段階での実現可能性は低いと思われます。
マンション価格の動向
素地となる土地価格の上昇に加えて鋼材等の建築費や人件費の高騰によりマンション価格が上昇しています。新型コロナウィルス感染症の影響で取引が少なかった時期を除き、新築・中古とも高値安定での取引となっています。
先日、名古屋市千種区の中古マンションの価格調査の際、過去からの価格動向を調べましたが、確実に値上がりしています。私の友人も千種区内のマンションを売却しましたが、新築での購入価格より約200万円高く売れたそうです。
現在も続くコロナ禍の中、今後のマンション価格の動向ですが、現在の金融緩和が続くようであれば、立地や施工の良いマンションであれば高値安定、条件の劣る物件であれば価格は割安な戸建住宅との競争が激化しており価格は下がっていくと予想します。
以上は私の予想ですが、新型コロナウィルス感染症の影響がいつまで続くか、本格的な経済活動の再開はいつになるか、金融政策や世界経済の動向など先が見えない中、マンションを含む不動産市場は予断を許さない状況が続くと思います。
商業地の地価動向
国土交通省は10月1日時点の地価調査「地価LOOKレポート」を発表しました。地価LOOKレポートは、全国の主要都市100地区の地価を調査したものになります。
商業地は68地区中39地区で下落、28地区で横ばい、1地区で上昇でした。新型コロナウィルス感染症の影響による外出自粛で商業施設の収益低下、それに伴う商業地の地価も下落傾向が強まったと判断しました。訪日外国人の減少によりホテルの客室稼働率も低下し、インバウンド需要が減ったことによる百貨店等の売り上げが落ちたことが響いたようです。
住宅地は、32地区中6地区で下落、26地区で横ばいでした。大学のオンライン授業の実施により周辺の賃貸マンション開発意欲が低下しているという声もあります。安定的な賃貸収入が見込める学生向けマンション、コロナ禍が長引けば経営に行き詰まる大家さんも出てくるでしょう。
商業地の下落が目立つ中、住宅地は8割以上の地区が横ばいであり、今回の地価LOOKレポートは新型コロナウィルス感染症の蔓延が住宅地の価格への影響は少ないと判断したようです。
商業地の固定資産税、負担抑制を検討
新型コロナウィルス感染症の影響で商業施設の売り上げ減が続く中、政府は商業地の固定資産税の負担増を抑制することを検討しているようです。
固定資産税は3年に1度改正され、来年1月1日が評価替えの年に当たります。前回の評価替え以降、アベノミクスによる金融緩和やインバウンド需要の恩恵から商業地の地価は上昇傾向が続いていました。
コロナ禍による地価の下落分に加えて、アベノミクス等による地価の上昇分をある程度抑制することが狙いのようです。
今回の固定資産税の負担抑制の実施が決定した場合、来年1月1日の地価公示価格にも影響を与えることはほぼ確実と思われます。
不動産鑑定評価をしてはいけない土地
土地の相続税・贈与税申告の際の評価額は、通常、路線価方式(財産評価基準)に基づいて評価されます。但し、路線価方式による価格が時価(実勢価格を上回っている場合、不動産鑑定士による鑑定評価額での申告が認められる場合があります。
私も鑑定業務の中で、何件か相続税の節税のための鑑定評価をしたことがあります。相続税節税を目的とした鑑定評価は、無道路地であったりがけ地であったり、路線価方式による評価額が明らかに時価を上回っており、取引事例や減価額の試算方法など客観的な理由付けができる場合に受けることにしています。
理由は、相続税路線価は時価の8掛け程度となっており、通常の場合、路線価方式による価格が時価(鑑定評価額)を上回ることはないからです。
先日、ネットである税理士さんが書かれたサイトを見ました。鑑定評価額による相続税申告が否認され、地裁判決でも敗訴したとの内容でした。推測される理由は、鑑定評価額を低めに出すため無理な評価をした場合などが該当します。この裁判の敗訴の理由ですが、1土地:採用した取引事例4件が著しく安い価格である、2土地:1事例は売り急ぎ事例である、とのことでした。明らかに評価に無理があったと考えられます。
このHPの中に、そもそも「不動産鑑定評価をしてはいけない土地」と書かれていました。否認された鑑定評価書が敗訴した理由は、内容ではなく不動産鑑定評価をしてはいけない土地で、内容が完璧であっても敗訴であったと。最も、この判決から推測するに、内容が完璧(この案件では少なくとも適正な事例の選択)であれば、鑑定評価額が路線価方式の価格を上回り、依頼者にとって意味のない鑑定評価になっていたと思います。
この税理士さん書かれた意図の詳細は不明ですが、私は不動産の鑑定評価ができない土地はなく、依頼目的(相続税申告)から不動産鑑定士が鑑定評価の依頼を受けてはいけない土地、と理解しました。
商業地の価格と賃料の関係
不動産の価格と賃料の関係は、元本と果実の関係と言われ、価格(元本)と賃料(果実)との間に相関関係があることが知られています。すなわち、元本、果実のどちらか一方が上昇すれば片方も上昇、一方が下落すれば片方も下落するという理屈です。但し、賃料には遅効性があり、必ずしも価格の変動率には一致しない特性があります。
ネットで、居酒屋チェーンの店舗閉鎖の記事が出ていました。大手5社の合計で今春以降、全体に1割の約420店の閉店が決まったそうです。その中でも、駅前の好立地にある居酒屋ほどコロナ禍での売り上げが厳しいとの内容でした。一方、持ち帰りの多いファーストフード店舗は売り上げが堅調となっています。
居酒屋は飲酒運転の厳罰化以降、駅近に出店することが必須条件となっていた中、コロナ禍で売り上げが減少、高額な賃料に耐えれないことが要因と考えられます。店舗の賃料減額請求が増えている理由もわかります。
コロナ禍による店舗賃料の減額が続くことがあれば、相関関係にある価格も下がって行くことになります。来年1月1日の商業地の公示価格、どの程度の下落になるのか慎重に見極める必要があると思います。
相続税路線価と地価の下落
国税庁は相続税及び贈与税の算定の基準となる路線価を補正しないと発表しました。補正を要するまでの大幅な地価の下落は確認されなかったことが理由だそうです。
大幅な地価の下落があった地点は、「名古屋市中区錦3丁目」(-19%)、「大阪市中央区宗右衛門町」(-19%)、「東京都大東区浅草1丁目」(-16%)など、繁華街や観光地の地価下落が目立ちました。
今回、土地の相続税や贈与税を算定する際、路線価(財産評価基準)と不動産鑑定士による鑑定評価額(時価)のどちらが有利かが問題となりますが、通常の場合、国税庁は補正しなくても路線価を使った方が有利と判断したようです。
なお、7月以降の補正の有無については、今後の地価動向を踏まえて再検討するとのことです。
ニセコの公示価格は?
新型コロナウィルス感染症の影響で訪日外国人が激減する中、インバウンド需要を当て込んだ商業施設は軒並み苦戦しているようです。
このような状況下、大きく地価の上昇が続く北海道のニセコに世界的なリゾートブランドのカペラが進出します。42ヘクタールの土地にホテルやコンドミニアム、スキー場などを建設し、費用は700億円超だそうです。
コロナ禍で先が見通せない中での大型の投資、国内のリゾートの中でもニセコは別格なのでしょうか。来年1月1日時点の地価公示価格、例年並みに大きな上昇となるでしょうか?興味深く見守りたいと思います。
路線価と土地の時価との関係
路線価には、国税庁が発表する相続税や贈与税の基準となるものと、市町村が発表する固定資産税等の基準となるものがあります。以前は、路線価というと国税庁というイメージでしたが、最近はホームページから市町村の固定資産税路線価も見ることができ、また、納税意識の高まりから身近になってきました。
この路線価ですが、一般的に相続税路線価は時価の8掛け、固定資産税路線価は時価の7掛け、と言われることが多いです。納税者有利という考え方と、基準額が時価を上回ることがないようにとの配慮からこのようになっていると考えられます。
先日、ネットで土地価格の試算方法として、路線価×面積、と書かれた記事見ました。確かに評価額はこのように試算しますが、必ずしも時価とは一致しないことには注意する必要があります。
理由は、相続税路線価は時価の概ね8掛けであることに加えて、10万円/㎡を超える路線価は5000円単位であること、方位が考慮されていないことなどがあげられます。
路線価はホームページから手軽に調べられますし、簡易に土地の価格を知りたい場合には便利ですが、正確な時価が知りたい場合には不動産鑑定士にご相談することをお勧めします。
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